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兵士は任務に命を賭けて戦うのみ。戦争をリアルに描くとこうなる「FRONT MISSION 5 〜Scars of the War〜」レビュー(3/4 ページ)

“一兵士の視点から戦争を描く”という新たな切り口と、前作をベースにいっそうの発展を遂げた戦闘システムが融合した面白さは、紛れもなくシリーズの最高峰。従来のファンはもちろん、未経験の方にもぜひプレイをお勧めしたい。

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新兵訓練的な意味を持つ、最初の10時間

 ウォルターが自分の裁量で部隊を編成できるようになるまでは、実時間で10時間程度のプレイ時間がかかる。長いと思う人もいるかもしれないが、これは必要な訓練期間だと考えてほしい。

 FRONT MISSION 5の戦闘では、さまざまな機体がさまざまな行動を取ることができる。これらに精通しなければ、勝利はおぼつかないわけだが、数が多いだけにいっぺんに言われると、とても把握できない。

 それをストーリーに沿いながら、ひとつずつレクチャーしてくれるのである。そのため、最初の10時間で退屈することはまずないといっていい。そして、この時間を過ぎれば、プレーヤーはいっぱしのヴァンツァー乗りになっているというわけだ。

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ゲーム中には、指導官に該当する士官がいて、話しかけることで各種のチュートリアルを確認できる。各項目の効果や操作方法がわからなくなっても心配はいらない

多岐に渡る選択肢から最良の解答を見つけ出せ

 戦術性という点でも、FRONT MISSION 5の完成度は高い。何といっても、部隊編成におけるバリエーションの豊富さがずば抜けているのだ。原則はシンプルで、“どんな機体にどんなパイロットを乗せるか”ということに尽きるのだが、そこへ至る選択肢の数がとにかく多い。ある程度、基礎となるポイントを抑えるのは必須だが、そこから先はとても一筋縄ではいかないだろう。

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作戦内容の説明が行われるブリーフィング。ここで敵のタイプや地形などを確認し、どんな部隊を組んで、どう戦うかを考えていくことになる

 戦闘に際して、最初に考えるべき項目はAP(行動力)となる。それぞれのヴァンツァーは、機体ごとに固有のAPを持っていて、移動や攻撃を行うと、これが減少していく。APが0になるとそのターンでは、それ以上行動できない。APは次のターンにあらかじめ決められた分だけ回復するので、これでまた行動が可能になる。これを繰り返して、敵と戦っていくのである。

 例えば、APが15のヴァンツァーいるとしよう。この機体がマシンガンを装備しているとする。マシンガンは、1回の射撃にAP4を必要とする。従って、APがフルに残っていれば、3回の射撃を行うことができるわけだ。これがショットガンの場合だと1回の射撃に必要なAPは3。最大射撃数は5回になる。1発ごとの威力もマシンガンに比べると高めだ。

 と聞くとショットガンが有利に思えるが、射程が違う。マシンガンは4マス離れた敵まで届くが、ショットガンは3マス分しか射程がない。ただし、命中率という点では、遠い射撃ほど当たりにくくなる。

 ヴァンツァーは両腕に1つずつ武器を持てる。両腕ともショットガンにすれば、近接距離に強い機体が出来上がるだろう。その代わり、4マス以上離れた敵にはいっさいダメージが与えられない。マシンガンを装備した敵と戦うことになったら、こちらの射程外から撃たれ放題になってしまう危険が大だ。

 両腕ともマシンガンにすれば、安定した攻撃力が確保できるが、何ターンも戦うとトータルで与えるダメージの量が劣ってくる。左腕にショットガン、右腕にマシンガンならバランスのいい武装になるが、パイロットが取得できるスキルの中には、両腕に同じ武器を装備していることを条件とした強力なスキルがあるので、このパターンだとそれを用いることができなくなる。

 FRONT MISSION 5は、こうした思考を積み重ねていきながら、APをもっとも有効に使える組み合わせは何か、ということを考えていけるシステムを持っている。そのため、戦闘の駆け引きを存分に味わわせてくれるのである。

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戦闘画面では、味方と敵のAPを確認することができる。各機体にどれだけのAPが残っていて、そこからどんな行動ができるかを考え、作戦を立てていくのだ

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