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兵士は任務に命を賭けて戦うのみ。戦争をリアルに描くとこうなる「FRONT MISSION 5 〜Scars of the War〜」レビュー(4/4 ページ)

“一兵士の視点から戦争を描く”という新たな切り口と、前作をベースにいっそうの発展を遂げた戦闘システムが融合した面白さは、紛れもなくシリーズの最高峰。従来のファンはもちろん、未経験の方にもぜひプレイをお勧めしたい。

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“リンク”を制する者が戦場を制す

 APの効率的な使用方法を考えるとき、もっとも重要なのが「リンク」だ。味方機の支援をうけて1体の敵を集中攻撃するシステムなのだが、これを有効に使えるかどうかが、勝敗の分岐となる。

 各ヴァンツァーは1ターンにつき、「移動+何か1行動」を行うことができる。何か1行動というのは、具体的には「攻撃」、「アイテムの使用」、「味方の修理(回復)」、「特殊行動(敵機を状態異常にする攻撃)」などを指す。

 先ほど、AP15のヴァンツァーがマシンガンを装備していれば、4回の射撃を行えるといったが、単体で攻撃するかぎり、それをフルにつかうことはできないのだ。パイロットの性格(AI)により多少異なるが、だいたい2回、多くても3回射撃すれば、その機体の行動は終わりなのである。

 ところが、マシンガンをリンク武器に選択しておけば、味方が同じ目標の敵を攻撃したとき、それを支援してマシンガンで攻撃できるのだ。これにより、敵への集中攻撃が可能になり、その分早く敵を倒せることになる。

 どんなにボロボロにしても、倒しきらないと敵のターンで修理(回復)されてしまう可能性があるため、完全に倒し切るか、HPを1残すかには雲泥の差がある。リンクの重要性はここにあるのだ。

 例えば、接近戦に特化したヴァンツァーに格闘用武器を装備させ、それをリンク武器に指定したとしよう。このヴァンツァーを敵の隣接マスに移動させ、それ以外の味方が、遠距離から射撃攻撃を加えると、味方が攻撃するたびに敵を殴ることが可能だ。格闘用武器は、1回の攻撃でAPを1しか消費しないので、相当な回数分、攻撃することができる。

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リンクの有無は、戦闘画面で確認できる。線で結ばれたヴァンツァー同士がリンク状態にあることを示す。リンクはプレーヤーだけの特権ではなく、敵も同様に使ってくる。何気なく手近の敵を攻撃したら、リンクによる一斉攻撃を受けて大ダメージを喰らってしまった、なんてことにならないよう、事前の情報収集は入念に行いたい

 このようにリンクは非常に強力だが、中にはリンク不可という武器もある。じゃあそういった武器は使わないほうが良いのか、と言えばそんなことはない。リンク不可の武器はミサイルやグレネードなど、威力も高く射程も長い武器が多い。何といっても反撃を受ける心配のない遠距離から敵を一方的に攻撃できるのは魅力だし、おまけに破壊力もあるとなれば重宝すること間違いない。

 ただ、リンク不可の武器は必要APも多く、装備すると移動もままならなくなる。また、ほとんどの武器には弾切れという概念がなく、補給なしにいつまでも撃っていられるのだが、リンク不可の武器だけは装弾数に限りがあり、使い切ってしまったら打ち止めになる。何を装備するか、プレーヤーの戦術センスが問われることになるのだ。

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1回の攻撃で有効範囲内にいる複数の敵を攻撃できるグレネード。敵が密集している場合には、驚異的な威力を発揮する。ただし、爆風は敵味方の区別なく襲いかかるので、うっかり味方を巻き込まないように

プレーヤー自身の戦闘スタイルを探す面白さ

 どんな部隊を組み、どんな装備を持たせたとしても、絶対無敵、完全無欠の編成などはあり得ない。これは裏を返すと、自分流の戦い方、すなわちスタイルを確立しろ、ということになる。どう組んでも一長一短ができる部隊を、いかに長所を伸ばし、いかに短所をカバーして勝利へと導くか。ましてともに戦うのは、プレーヤー自身が選んだ戦友たちなのだ。

 一兵士の視点から戦争を描く、という従来になかった切り口と、従来の作品から発展的に継承した戦闘システムを融合したFRONT MISSION 5。その面白さは、プレーヤーが自分なりの方法で勝利を掴んでいく、という個性の追究にほかならない。シミュレーションRPGはもとより、ゲームというエンターテイメントを代表する普遍的な魅力がここにはある。

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かけがえのない戦友とともに過ごす戦いの日々。あなたは、どんな戦いを繰り広げることになるのだろうか
FRONT MISSION 5 〜Scars of the War〜
対応機種プレイステーション 2
メーカースクウェア・エニックス
ジャンルドラマティックシミュレーションRPG
発売日発売中
価格7140円(税込)
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