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HDクオリティで描かれるレスラーは、似すぎていてむしろ不気味?「レッスルキングダム」レビュー(2/3 ページ)

プロレスゲームの開発でつとに知られているユークスが、満を持してXbox 360に参入。HD画質で初めてのプロレスゲームは、実在レスラーの再現性が恐ろしく高い作品に仕上がっている。

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HDTVでは、皮膚の微細なシミやシワまで見える

 ゲームシステムもさることながら、今作でわたしが特に注目していたのが、720pの高解像度やXbox 360のグラフィック性能によって、実在のレスラーがどこまでリアルに再現されるのかということ。実際に720pでHDTVに映し出してみたとき、真っ先に感じたのは“どことなく不気味”という感覚だった……。

 いや、確かによく似ている。顔形は本人そのものと思えるほどだし、体型も筋肉の付き方も特徴を実によく捉えていると思う。とりわけ、筋肉の丸みが非常に滑らかに描かれていて、プロレスラーらしい体の厚みが見事なまでに表現されている。また、皮膚表面のごくわずかなシミやシワ、着ているタイツのファブリックまで感じさせるほどにテクスチャも緻密さだ。

 ただ、見た目から受けるリアルさとは別に、例えようのない違和感もあって、プレイしていてちょっと不思議な気分になってくる。といっても、よく言われるような「CGで人間をリアルに描こうとすると、ある一線を越えたところから途端に気持ち悪くなる」という感覚とも違うような気がする。強いて言うなら、極めて精巧に作られたろう人形を見ているような感じに近いかもしれない。

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個人的に、特によく似ていると思ったのが、この永田裕志選手。これは入場シーンのもの
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こちらは、後述する「DRAMA」モード内での西村修選手。体つきや皮膚の質感にリアリティを感じる。ただ、話すときに口や眉などは動くものの、何となく表情の乏しさが感じられるためか、試合中の姿よりも違和感が強くなる

 また、モーションについては非常に滑らかで、「エキサイティングプロレス」シリーズと比べると少しもっさりしたような感はあるものの、ひとつひとつの動きが忠実に再現されているように見える。過去のプロレスゲームでは、ある動きから別の動きへと移る際に、レスラーがマット上をすーっと滑るように動いてしまう場面もあったが、そうした不自然な動きがほとんど見られなくなった。静止しているときも、呼吸で肩を上げ下げするだけでなく、胸部がゆっくりふくらむ様子までわかる。

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60fpsで表示されていることもあり、モーションは実に滑らか。また、いろいろなところに芸の細かさが見られ、例えば足にダメージが蓄積すると、このように足を抱えて痛がったりする

 少し心残りなのが、サウンド面。このレッスルキングダムもドルビーデジタル5.1ch対応で、試合中、会場のあちこちからレスラーへのかけ声や歓声が聞こえる。これによってプロレス会場独特の空気感が演出されているが、かけ声のバリエーションにやや乏しく、同じ声が違う方向から聞こえる程度。歓声は試合運びによって多少変化もあるが、いささか唐突な感じも否めない……。このあたりまで凝ってくれると、ゲーム全体のリアリティがいっそう高まったかもしれない。

過去の経歴や性格テストで、誕生するレスラーが変わる「EDIT」モード

 ユークスのプロレスゲームといったら、やはり「EDIT」モードの存在が欠かせない。これを“面倒”と思うか“楽しい”と思うかで、このゲームの受け止め方も変わってくるのかなと思う。もちろん、わたしは後者。ひとりのレスラーを作り上げるのに何時間も費やしては、ちっともゲーム本編へ進めないことが多々ある……。

 今回のEDITモードは、後述する「DRAMA」モードで育成するレスラーを作るためという位置づけから、過去のユークス作品に見られるものとはやや毛色が違う。多彩なパーツと非常に細かいパラメーターで顔を作れるところは同じだが、体型については“バックボーン”(過去に取り組んでいた競技や経歴)を選び、そのバックボーンごとにプリセットされた3パターンのベースボディから1体を選ぶという形式になった。

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「アマレス」や「柔道」など、12種類の“バックボーン”から1つを選ぶと、3パターンのベースボディが表示されるので、その中から1体を選ぶ。写真は「総合格闘技」を選んだ場合。体全体のサイズは変更できるが、例えば胸部だけを大きくするといった微調整はできなくなった
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その後、性格テストのような10問の質問に直感で答えていく。この答え方によって、そのレスラーの初期パラメーターが変動するようだ
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顔については、非常に細かく調整可能。例えば、“目”だけでもこれだけ多くのパラメーターがある。部位ごとにプリセットされたサンプルも用意されているので、そこから選んで手早く作るのもよい。なお、体型や顔の造形などは、そのレスラーで「DRAMA」モードを開始以降は変更できなくなる(タイツなど、コスチュームは変更可能)
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髪型は33種。種類はやや少なめだが、クオリティは高く、髪の毛や地肌の質感もリアル

 コスチュームについては、試合用、練習用(「DRAMA」モードの練習時)、入場用の3パターンを設定しておくことができる。例えば、試合時はマスクマンで、練習時は素顔というシチュエーションもおもしろそう。なお、「技設定」で最初から装備できる技の数が少ないように思えるが、これにもちゃんと理由がある。まず1つは、最初に選んだ“バックボーン”によって初期装備可能な技が変わること。もう1つは、「DRAMA」モードで対戦した相手から固有の技を獲得する機会があり、育て方によって装備できる技が変わるしくみになっているためだ。

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