流れる景色の美しさに目を奪われて……激突してばかり:「プロジェクト ゴッサム レーシング3」レビュー(1/5 ページ)
実在する都市を舞台に、あこがれのスーパーカーで駆ける喜びを追求した「プロジェクト ゴッサム レーシング」の最新作がXbox 360で登場。精緻に描かれた街並みの美しさについ見とれるあまり、運転がおぼつかない……。
Xbox 360の特性を活かしたレースゲーム
Xbox 360が発売されてまだひと月半しか経っていないが、レースゲームはこの「プロジェクト ゴッサム レーシング3」(以下、PGR 3)で早くも3本目。次世代機の性能を示すのに、レースゲームはもっともアピールしやすいジャンルなのかもしれない。現にこのPGR 3は、Xbox 360の高度なグラフィック性能やサウンド機能、またXbox Liveのオンライン機能を巧みに活かした内容で、見どころの多い作品に仕上がっている。
旧Xboxで発売された過去2作品を含め、このシリーズの特徴は、世界に名だたる都市をゲームの中に再現し、実在するスーパーカーでレースが楽しめるということ。今回のPGR 3では、ニューヨーク、ロンドン、東京(新宿)などの大都市が驚くほど忠実に描かれているほか、車種ではレースゲームで初登場となるランボルギーニ・カウンタックなどを含め、80台が収録されている。また、ドライビングテクニックを「Kudos」(クードス)と呼ばれるポイントで評価するしくみも盛り込まれていて、タイムやゴール順位を競うだけでなく、スタイリッシュな走りで“魅せる”という要素もある。
海外から約2カ月遅れで発売されたマイクロソフトの「PGR 3」。次世代機らしい映像美が最大の見どころだが、メニュー画面はゴシックフォントで「GOTHAMキャリア」「その他」などと書かれているだけで、なんだか味気ない?
忠実に再現された街並みと、景色が流れる様にリアリティを覚える
今回のPGR 3でまず感じたのは、街並みの再現性が極めて高いこと。前作「2」でも横浜・みなとみらいがコースの1つになっていて、ランドマークタワーや大観覧車などが忠実に再現されていることに驚いたが、今回収録された新宿コースのリアルさはそれを凌駕している。建造物の形状や位置関係はもとより、ビル広告や看板などに至るまで、新宿の街並みを限りなく精密に作り上げていて、あたかもそこにいるような感覚さえある。風景の美しさを目で追うあまり、コースの把握が遅れて激突することもしばしば。やっぱりわき見運転は危ないと、ゲームを通じて考えさせられる次第……。
3連構造が特徴的な新宿パークタワーが正面に見えて、その距離感さえもリアルに感じる。企業名の入った看板なども、ざっと見渡した限りではほぼ完璧に再現されている様子。ただ、制作時期の関係からか、「東京三菱銀行」の看板が「三菱東京UFJ銀行」になっていなかったが……
この緻密に描かれた街を車で走るとき、景色の流れにも実在感を覚える。建物などが視界の左右を過ぎる際にブラーがかかり、その残像感が高速道路を走行しているときのような感覚を与えているからだ。とりわけ、フロントガラスを通しての「ダッシュビュー」(いわゆるドライバーズ視点)でプレイすると、実際に車を運転しているときの視覚にかなり近くなる。
いつもなら、レースゲームは自車を後方から見下ろす視点でプレイすることが多いのに、PGR 3に限っていえばダッシュビューの方がプレイしやすいと感じた。これは、視覚的なリアリティのみならず、アナログ感覚のアクセル・ブレーキ操作ができることによるところも大きい(PGR 3の標準設定では、Rトリガーがアクセル、Lトリガーがブレーキに割り当てられている)。Xbox 360用コントローラーのトリガーは、旧Xboxのそれよりもスプリングが強めで、アクセル・ブレーキの微妙な調節がしやすい。このコントローラーを使ってダッシュビューでプレイすると、カーブに差し掛かったときのブレーキングポイントや減速加減が直感的に把握しやすかった。
ロンドンを後方からの視点(ファービュー)で走行しているときのもの。画面ショットで見ると、周囲を風景にブラーが強くかかりすぎているようにも見えるが、実際に動いている映像ではこれがリアルな“風景の流れ”として感じられる。ただし、液晶テレビでプレイする場合は、残像感がより強く出やすいと思われるので、多少の違和感を伴うかもしれない
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.