しょせん賭事だろう――競馬の本当の楽しさを知らない、こんな方にお勧めします:「ダービー馬をつくろう!5」レビュー(2/3 ページ)
セガの競走馬育成シミュレーション「ダビつく」もついに第5弾に突入。TVでもおなじみ、あの笑顔の競馬評論家、井崎脩五郎先生の出演で、ますます親しみやすくなって登場だ。
井崎節を聞き逃すな!
さて、今回のダビつく5は約1年ぶりの新作。基本的には前作を継承し、大きく変更された部分はない。これまで培ってきたゲームシステムの完成度を一層高めたという印象だ。
ダビつく5ならではの目玉は、TVでもおなじみの競馬評論家、井崎脩五郎先生の井崎節がゲームの中で聞けることだろう。井崎先生といえば、予想が当たる、当たらないにかかわらず、競馬番組で楽しそうにレースを語る姿が思い浮かぶ。あのひょうひょうとした口調で、パドック解説を担当してくれるのだから、競馬ファンはニヤリとしてしまう。
「これはバカによく見えますねぇ〜。デキに関してはねぇ、申し分ありません。一番人気も当然でしょうね〜」
「ちょっといれこんでるようですね〜。発汗も少し気になるし、レースへの影響が出なきゃいいんですけど」
「これはね、初めて見る馬なんでちょっとよくわかりませんね。ま、コメントは控えておきましょう」
井崎先生に自分の生産馬が褒められると素直にうれしい。また、GI前には山本アナとの次のようなかけ合いもある。
山本「スピードだけでもスタミナだけでも乗り切ることのできない、秋の天皇賞。井崎さん、このレースについて一言お願いします」
井崎「プリティキャストの逃げ切りは、もう4コーナーでこりゃ届かないなと、思いましたね」
山本「それは私も見てみたかったですね」
山本「秋のGIシリーズの始まりは、超高速の戦い、スプリンターズSです。井崎さん、このレースについて一言お願いします」
井崎「このレース、東京の芝1400mでやったことがあるんですけど、なんだかピンと来ませんでしたよねぇ〜」
山本「そんなこともありましたね」
山本「数々の名勝負が繰り広げられてきました、ジャパンカップ。世界の強豪を相手に、日本馬がどのような走りを見せてくれるのでしょうか。」
井崎「昭和57年の勝ち馬、ハーフアイストの厩務員さん、表彰式で最初から最後まで泣きっぱなしでした」
山本「心温まるお話、ありがとうございます」
こんな具合に華やかなGIの気分を高めてくれる。ダビつく5は演出面の強化にこだわったといえるだろう。
最強馬生産に騎手育成と大忙し
それでは、ゲームの流れに沿って本作を紹介していこう。まずは自分の牧場があるホースパークの場所を4カ所の中から選ぶ。前作にあった「山」、「海岸」、「街」に、今回は新たに「島」も加わった。
場所にはそれぞれ、メリット、デメリットがあって、どれを選ぶかは悩みどころ。たとえば海岸は、土地が広く施設をたくさん置けるが、収益は上がりにくい。一方、街はスペースは狭いが、観光客の人気は高く、経営面で有利だ。島はさらに土地が狭いながらも最初から飛行場があって、投資しなくてもすぐに海外遠征に行くことができる。どれを選ぶかで、馬の育成方針や施設の揃え方も変わってくるのだ。
次は質問コーナー。“競馬はよく血統のスポーツといわれますが、オーナーはどうお考えですか?”、“オーナーは、新人騎手にも積極的に騎乗機会を与えるべきだと思いますか?”などの質問に答える(答え方によって最初に出る牝馬のセットや新人騎手の登場時期などが変わる)。最後に繁殖牝馬を1頭選んでスタートとなる。ここから本格的に牧場経営が始まるわけだ。
4月・5月は牝馬への種付けの時期となる。クロス、インブリード、ニックスといった配合理論はしっかりあるので、これらを踏まえて種牡馬を選ぶのもいい。1年経ち、生まれた仔馬が2歳になったら厩舎に預けて調教開始。調教は細かい指示も出せるが、面倒くさい場合は厩舎任せでも大丈夫だ。
出走も「芝中心」、「マイル路線」、「ゆったりローテで」と大まかな方針を決めておくと、調教師が勝手に適レースを選んでくれる。期待の馬は、自分で直々に調教をつけて、そこそこの馬はお任せといったスタイルがオススメだ。出走登録し、騎手を選んで翌週になればレース本番となる。
ダビつくはジョッキーに細かく指示を与えられるのも長所のひとつ。逃げ、先行、差し、追い込みという脚質指示は当たり前だが、先行なら「逃げ馬の直後につけろ」、「好位をキープ」、差しなら「先行集団をマーク」、「中団で脚をためろ」と細かい位置取りや、「ラチ沿いを回れ」、「外目を回れ」といったライン取りについても選択可能だ。
レース展開を読みきって、きめ細かい指示を出せば、勝利は近づく。内側の芝が荒れているようなら外目を走らせるように指示を出す。逆に、荒れ馬場が得意な馬なら、わざと空いた内を狙う作戦もある。人気薄でも、読みがピタリとハマれば勝てることも。作戦通りにレースが運んで、勝利をつかんだときは何ともいえない快感が走るだろう。
愛馬の晴れ舞台となるレースシーンは今回から完全に3D化している。馬のグラフィックがまとまりすぎていて、荒々しさやスピード感には欠けるが、これによりダイナミックなカメラワークが可能となり、レースが魅力的に映るようになった。カメラワークは「通常」、「スペシャル」、「指定馬」と3種類ある。中でも、コーナーを馬の足元から撮ったり、はるか上空から引きの絵で映したりと、TV中継にも負けないダイナミックなレースシーンが展開する「スペシャル」はお勧めだ。
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