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インタビュー

PSP「鬼嫁日記」――見た目はかわいいけど、中身は虎です(2/3 ページ)

2月23日にAQインタラクティブから発売されるPSP「実録鬼嫁日記 〜仕打ちに耐える夫の理不尽体験アドベンチャー〜」。そのプロデューサーと開発者にインタビューを試みた。結果として浮き彫りになったのは、細部までこだわりを持って作られた職人技と、データのアップロードによる新しい遊びだった。

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遊びやすいゲーム、高いユーザビリティを追い求めて

――本作のメインターゲットはどういった層ですか?

原田 基本的には原作ブログのファン、「実録鬼嫁日記」ファンに遊んでいただきたいです。でももちろん、アドベンチャーゲームなどが好きなゲームファンが遊んでも楽しめるように、いろいろと工夫しています。エディットモードの操作のとっつきやすさにもこだわっていますし、「実録鬼嫁日記」を知らない人でも、本編をプレイすれば「『実録鬼嫁日記』って面白いんだな」と魅力が伝わるようになっています。“鬼嫁”というと範囲が限定されますが、“鬼彼女”というところまで範囲を広げると思い当たる節がある人も多いんじゃないでしょうか(笑)。

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――ゲームとしてはかなり難易度が低い印象を受けましたが、これは普段ゲームをしない人たちにも触れてほしいという意図があるのでしょうか。

原田 そうですね。私の周りにも昔はゲームをやっていたけど、プレイステーション 2あたりからゲームはプレイしていないという人が非常に多いんです。そういう人にもう一度ゲームに触れてほしい、というのはありますね。普段ゲームをしない、原作ブログの読者の方々にも楽しんでいただきたかったので、板野さんにも当初から「ライトユーザーでもすぐ遊べる形で」とお願いしました。

板野 説明書を見なくてもすぐに遊べるようにしました。すべてのシーンでセレクトボタンを押せばヘルプが出るようにしていますし。特にこだわったのは、操作感はもちろんなんですけども、オリジナルモードで最初に出るチュートリアルですね。そこは担当者が寝食を忘れて何度も作り直しました。説明書を見ずにちゃんとエピソードを作れる、しかも簡単に作れるものを目指しました。

 従来のゲームでは、今回の「エディットモード」のような、ユーザーが自由に作成できるパートだと、メニューがたくさん開いて選択項目がいっぱい表示されて、それを見ただけでうんざりして「もういいや」となってしまうユーザーも多かったと思うんですよ。今回はゲームを普段プレイしない方でも何の違和感もなくブログを作成できることを目指して作りました。

原田 板野さんには「携帯電話でメールを打つ感覚でできなければNGです」と伝えました。

板野 キャラクターを選択してセリフを入れる、という2ステップを繰り返していけば作れるように設計しています。もっとこだわってブログを作成したい人向けにもメニューを用意してあります。これを使えば、BGMや演出などを細かく設定して、本編に近いものを作ることができるようになっています。

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―― ○ボタンだけでなくLボタンでも決定できるのが非常に便利だと思いました。これは最初から搭載が決定していた機能ですか?

板野 終電を逃すほどの会議に次ぐ会議の成果ですね。ユーザビリティを考えてそのように対応させています。ブログビューでの操作も練られていて、実はこのほかのボタンでも、いろいろなアクションに対応しているんです。画面を縦表示にしたときはこのボタンを押すと画面がこう動いたほうが便利かな、などかなり考えました。ですので、みなさんも手に取ったときにいろいろなボタンを押して試してみてください。マニュアルには書いてないボタンが対応しているかもしれませんよ。

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クリエイターとしてのこだわりの数々 〜気合い入ってます

――本編もそうですが、パチスロの部分がけっこう細かく作りこまれていますよね。

板野 こだわりましたね。本作は3本柱だと思っているんです。まずは本編のアドベンチャーモードですが、最初の命題は「ブログをいかに楽しく見せるか」という点ですね。元々ブログだったものに映像や音を入れるわけですから、2倍、3倍に面白くしないと「負けだな」というのはありました。次にオリジナルエピソードです。先ほども触れたように、エディットモードでいかに簡単に作れるか、という点にはこだわりました。

 そして、3本目の柱というのがパチスロなんですよ。最初はミニゲームで「実録鬼嫁日記」の世界観を取り入れたパチスロを作ろうよ、という話があったんです。しかし担当したスタッフがスロッターで、原田さんもスロッターなので「どうせ作るなら」と、どんどんこだわりはじめちゃいまして。

原田 ヒートアップしました(笑)

板野 もちろんパチスロを知らない人でもとっつきやすいように演出しましたが、実は猫をかぶっていて、パチンコホールに実機で出しても通用するくらいに作り込まれています。

原田 パチスロ機として攻略もしていただけるかな、というくらいのできですね。スロッターへの挑戦状ということで。

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板野 いったんできあがったんですが、またここでもこだわっていまして、さらにじゃあ何か遊びを入れようということで、オリジナルの歌も入れてしまいました。歌を入れるんなら踊りも、ということで鬼嫁さんを踊らせよう、と。関節の動きも細かく作っていますし、歌に合わせた口パクは、コンマ何秒という単位で合わせました。気合い入ってます。

 このほか、パチスロで表示される花火のエフェクトですが、花火の光がキャラにあたる「照り返し」も凝りました。各モードの演出にも、かなりの低確率でしか見ることができないレア演出があったりします。ぜひ攻略してください。

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――実写背景と絵理すけ☆さんのイラストを3D化したキャラの融合が、書籍ともドラマとも違ったアプローチで面白く感じたのですが、企画の段階でこの形式以外のゲーム性で展開する可能性はありましたか。

原田 嫁さん側の視点で作ろうという話も出ましたし、各エピソードをゲームにしたミニゲーム集にしようというアイデアもありましたね。

板野 鬼嫁を育成するという企画も出ましたね。

原田 最終的にはブログのファンを裏切りたくないという点と、ゲームファンにも楽しんでほしいという点を考えて、現在のテキストアドベンチャー形式になりました。

板野 本編のアドベンチャーモードに関しては、とにかく演技の“間”にこだわりました。原作が持つ、改行による空白の“間”をそのまま再現していてはダメなんです。Webサイトの画面をスクロールするときの間と、キャラの演技の間は違いますから。プログラムがだいたい終わったあとでも、最後までこだわって詰めていたのは、演技の間の部分ですね。

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