簡単接続・低価格――ヘッドフォンで簡単サラウンド(1/2 ページ)
Xbox 360が発売され、PS2ゲームでもサラウンド対応タイトルが増えてきた。でも、サラウンド機器ってスピーカーがいっぱいあって接続が大変だし、そもそも家で大音量で鳴らせないし……、という人のための「ヘッドフォンでサラウンドを楽しむ」講座です。
ワイヤードだったら1万円切るのも
Xbox 360がリリースされて約2カ月、次世代機としてくくられるハードウェアが今年にかけてさらに投入される予定だ。現在、Xbox 360ではサラウンドサウンドが標準となり、サラウンドの必要性のないゲームでない限り(テトリスとか麻雀とか)サラウンド非対応作品は出ない方針だ。プレイステーション 3は当然として、レボリューションもDVD再生機能が標準で搭載されることを考えると、サラウンド対応が標準化することが考えられる。
さらに、Xbox 360のアナログサウンド出力設定では「モノラル」と「ドルビープロロジックII」しかない。「ドルビープロロジックII」は5チャンネルサラウンドサウンドをステレオに畳み込むことができる技術なので、Xbox 360ではその特徴を活かし、ステレオ再生、サラウンド再生、両方とも「ドルビープロロジックII」モードで可能にしたのだ。これはプレイステーション 2(PS2)/ゲームキューブ(GC)タイトルでもたびたび採用されている「ステレオ(ドルビープロロジックII)」というモードと同義である。
また、近作の国産PS2タイトルでも、「キングダムハーツII」「シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」「悪魔城ドラキュラ 闇の呪印」「バイオハザード4」と、メジャータイトルでの対応も本当に多くなってきている。スクウェア・エニックスやカプコンのように、先の東京ゲームショウに出展された重点作品については全部サラウンド対応になっている会社も増えてきた。これから、次世代機でのゲーム開発に移行する過程でサラウンド化の対応を始める会社もあり、現世代機でのサラウンド対応もさらに加速していくものと思われる。
とはいえ、5〜6万程度するミドルクラスのサラウンドシステムが欲しくても、住宅事情などで大規模なサラウンドシステムを導入できない人も多いだろう。
そんなゲームユーザーにも朗報が。最近は立て続けにサラウンドヘッドフォンの新製品が登場しており、しかもワイヤードタイプなら1万円を切るものもある。今回はサラウンドヘッドフォンの紹介を兼ねて、この冬オススメのサラウンドゲームを紹介していこう。
据え置き型サラウンドヘッドフォンシステムをテスト――それに良く合う3Dゲームとは?
まずは、どうやってサラウンドをヘッドフォンで実現するかを簡単に説明しよう。要は「仮想空間に設置した最大5本までのサラウンドスピーカーから聞こえる音を計算で作り、それを両耳で聴かせる」ことでサラウンドの疑似体験ができるというわけだ。ドルビーでは「ドルビーヘッドフォン」という技術があり、多くの会社が採用している。「ドルビーヘッドフォン」という名称から、よく「ヘッドフォン自体に工夫がされている」と思われがちだが、そうではなくアンプ側にドルビーヘッドフォン技術を採用したプロセッサが搭載されており、プロセッサを介して音声を聞くことによって、ヘッドフォンでサラウンド音声が聴けるのだ。
ヘッドフォンそのものはインナータイプから本格的なものまで、自分の好みのタイプのものを使用することができる。さらに、ドルビーヘッドフォンには3つのモードがあり、「DH1」は残響音の少ないスタジオのモニタールーム、「DH2」は適度な残響のある一般的なリスニングルーム、「DH3」は映画館のような広い空間、といったように、モードの数値が上がるにしたがって仮想空間が広がっていき、その音響空間に実際にいるようなサラウンド体験を実現する。ただし、すべての機種において3つのモードが選択できるわけではなく、機種によってはモードを制限していたり、モード選択そのものがないものもある。
また、大手AVメーカーが独自のバーチャルサラウンド規格を使い、商品化しているケースもある。
まずは、ソニーのワイヤードサラウンドヘッドフォン「MDR-DS1000」を紹介しよう。これはソニーの独自バーチャルサラウンドによるワイヤードヘッドフォンとプロセッサで構成されているもので、価格もお手ごろで実売では1万円を切る価格帯だ。
本機種には2人でゲームなどを楽しむ際に便利なようにヘッドフォン出力が2つ付いている。そこで、2ヘッドフォン出力を活かせるサラウンドゲームである対戦格闘ゲームを試してみた。
対戦格闘ゲームというのは、根本的なゲームシステム上、サラウンド化の恩恵が薄いタイトルでもあるが、今回用意した「ソウルキャリバーIII」(PS2・ナムコ)では、主に背景音をサラウンドで鳴らしている。リング周辺にある水車の音や川のせせらぎを繊細なサウンドで表現し、それをサラウンドによって、その場にいるような臨場感を与えてくれる。ただサラウンドで鳴らすだけでなく、ゲームの状況に応じてサラウンド感を活かす音声演出がなされている。たとえば、リングアウトエリアに近くなると、そこから吹き上げる風の音などが大きくなる、というものだ。オプションでBGMの音量を落とし、サラウンド効果を体感してもらいたい。
「バーンアウトリベンジ」のような2画面分割ゲームでサラウンドを試してみたが、両方の画面で起こった音がサラウンド化されてしまった。2つのゲームの効果音を同時に鳴らすようなもので、臨場感は出るものの、ゲームとしてのサラウンドの利点はかき消されてしまうのが残念なところだ。
たぶん世界初。PSPで本格的サラウンド
「ドルビープロロジックII」はゲームの世界においては、ゲームソフト側で5チャンネルサラウンドをステレオサウンドに落とし込み、デコーダー側で復元する技術である。この技術を使うと、プログラムの処理が軽いため、マシンへの負荷をかけずリアルタイムでサラウンド音響を再生できるのだ。ちなみにドルビーデジタルのリアルタイム再生処理を行えるゲーム機は、現状ではXbox、Xbox 360、PCだけとなっている。
で、それほどまでに処理が軽いのであれば、PSPあたりでも可能なのでは? という話もあった。しかし、実際問題として「PSPに接続するデコーダが存在しない」ということもあり、海外でもドルビープロロジックII対応タイトルは発売されていなかった。
しかし、12月1日に発売された「モンスターハンターポータブル」ではパッケージ上やディスクレーベルになんと「ドルビープロロジックII」ロゴが掲載されている。社名ロゴに引き続きドルビープロロジックIIのロゴも出てくるという気合の入れ方だ。カプコンは、東京ゲームショウでもサラウンドに力を入れているだけのことはある。
まずは自室のサラウンドシステムに接続してみた。ただし、PSPのオーディオ出力はヘッドフォン端子のみ。従って、サラウンドシステムに接続するためには、ステレオミニプラグ←→ピンプラグ×2のケーブルが必要となる。ちなみに、最近発売されたデノンの「DHT-M370」や「D-MG55DV」などではiPodなどのオーディオプレイヤー入力用に前面のアナログ入力端子を搭載している機種もあるので、検討してみるのもいいだろう。もちろんこの場合は、両端がステレオミニプラグのケーブルが必要となる。
それでは、オプションでドルビープロロジックIIを設定し、実際にプレイしてみよう。本作ではBGMはほとんどなく、敵の動作音がほとんどということもあり、画面外の敵の位置が音で分かるというのは、ポイントが高い。3Dゲームの音響環境をPSPで体験できるのだ。
とはいっても正直なところ、家でPSPを見ながらサラウンド、というのは正直寂しいものがある。そこで、今回はこのような秘密兵器を用意してみた。
携帯型ドルビーヘッドフォンユニットでサラウンド環境を持ち歩く
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