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これをやらなきゃ始まらない。今年のサッカーシーンをより熱くするマストアイテム「ワールドサッカーウイニングイレブン10」レビュー(1/2 ページ)

シリーズ10周年の記念タイトルにして、10作目となる「ワールドサッカーウイニングイレブン10」がついに登場した。驚きのモード消失、難易度バランスの変化と、前作に引き続き、またもや賛否がハッキリと分かれそうな気配だ。

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えっ!? ネットワーク対戦がない

photo 「ネットワーク」という見出しがまったく見当たらない。残念な気持ちは残るものの、今後また復活してくれることをいちファンとして望みたい

 いきなりだが、このショッキングな話からしなければならない。

 「ワールドサッカーウイニングイレブン10」(以下、ウイイレ10)には、ネットワーク対戦モードが跡形もなく消えてしまっている。「ワールドサッカーウイニングイレブン8 ライブウエアエヴォリューション」と「ワールドサッカーウイニングイレブン9」(以下、ウイイレ9)の2作のみ、時間にしてみれば約1年半という短い期間をもって、終了してしまったのだ。日本人にとって、顔が見えない人間同士での「対戦」という文化は、結局根付かなかったということなのだろうか。それともインフラを維持し続けることが、ことのほか大きな負担になっていたのだろうか。

 憶測の域は出ないものの、いちウイイレファンとしては残念な結果である。これは「スポーツゲームのネットワーク対戦」の敗北なのか。いや、違うと信じたい。後にも述べるが、ウイイレは対戦こそ華だから、である。

新規に追加されたモードは2つ

 気を取り直して、まずはメニューから見ていこう。これまでには見たことのないモードが増えている。

●インターナショナルチャレンジ
●ランダム・セレクトマッチ

 の2つがそれだ。インターナショナルチャレンジは、サッカーが熱くなる今年こそにふさわしいモード。世界の代表チームを率いて、世界一を決定する大会に出場し、優勝を目指していくこととなる。前作にあった「ニッポンチャレンジ」モードを進化させたものと考えれば良いだろう。

photo ランダム・セレクトマッチは、これまでのウイイレになかった楽しみ方を与えてくれる

 それよりも、筆者が本作で一番に面白みを感じたのは、ランダム・セレクトマッチのほうだ。これは、リーグや地域から、ランダムに選手をピックアップしてチームを編成し、対戦するためのモード。これぞ、“現実にはありえない”、“ゲームならでは”の遊び方だといえる。ナショナルチームやクラブチームで友人と対戦すると、どうしてもチームの実力に左右されるため、“純粋に腕を競い合う”という勝負は楽しめない。そこでこのモードを使用すれば、選手選抜はランダムなので、運の要素は強いものの、純粋な勝負が楽しめる。限られた選手のなかで、どのようなフォーメーションを組み立て、ゴールに結びつけるか、といった戦術眼も試される。まさにサッカー好きのためにモードといえる。

より“好き勝手できる”ようになったマスターリーグ

 クラブチームを率いて年間を通して戦い抜く、本作のメインモードともいえる「マスターリーグ」。ウイイレプレーヤーを大別すると、「対戦派」と「マスターリーグ派」に分かれるといっても過言ではない。その片翼を担うマスターリーグは、今回も遊べる内容に大きな変化が起こっている。

 まずマスターリーグをスタートした時点で気づくことが。どの程度の難易度で遊びたいかを聞いてくるウィザード画面が開くである。

photo これがマスターリーグを始める時に表示されるウィザード画面。ゲーム中にこれらの設定を変更することも可能だ

 移籍交渉のしやすさや選手の疲労度はマスターリーグレベルという最大★3つの段階分けで表現されている。難易度が高ければ高いほど、交渉しづらく、疲労しやすい。また、「ワールドサッカーウイニングイレブン7」から導入された、選手の成長・衰退に関しても、する、しないを選択することができるようになった。加えて、選手の成長具合を表していた成長曲線にも変更が加えられている。過去の作品では未来の成長具合までグラフで見ることができたが、今回からは将来の成長具合を見られないようにも設定できるのだ。

 なぜこんなことを? と疑問に思う人がいるかもしれない。その答えは、マスターリーグの開発を担当している寺田敏之氏の言葉にあった。「ワールドサッカーウイニングイレブン9公式ガイド ストラテジック エディッション」の巻末インタビューで寺田氏は、“マスターリーグはもともと好きに遊んでもらうところなので、変な制限をかけることもないかな、という思いもありました”と語っている。

 つまり、ユーザーが求める「自由度」を存分に与えた結果であり、過酷なゲームにしたいのか、夢を実現するための気楽なゲームにしたいのかは、ユーザー次第でいかようにも変化させられる、ということなのだろう。

サッカーとしてはどう変わった!?

 さて、ここからはウイイレ10の心臓部に迫ってみたい。世界を代表するリアル志向のサッカーゲームである(と筆者は信じてやまない)本シリーズだが、今回もかなりのバランス変更がなされている。

 まず最初に感じたことは、選手の動き、ボールの動きがともにウイイレ9と比べて柔らかくなったこと。ウイイレ9までのボールや選手は、鋭角に動くシャープなイメージがあったが、ウイイレ10ではアナログな雰囲気が漂っている。擬音語にすると“ヌルッ”としている感覚だ。しかしそれはウイイレ9に慣らされた目から見た感想。「ワールドサッカーウイニングイレブン6」から新しいウイイレに触っていないというライター仲間は、“ずいぶんと本物っぽくなったんだね”と感想を漏らしていた。

 そういわれると客観的に見てみたくなる。ライター仲間にプレイしてもらい、それを後ろで眺めてみた。うん、確かに本物のサッカーの試合を見ているような動きだ。細かく見てみると、選手の動きがより人間らしくなっている。選手それぞれに“重心”を感じるのだ。前に重心を置いた選手のトラップやフェイントと、後ろに重心を置いた選手のそれとでは、次のプレイへの動き出しが違うし、パスの精度、スピードも違う。

photo 写真では分かりにくいが、動いている選手を見れば、かなりリアリティを伴うようになっていることを感じることができるはずだ

 また、サッカー選手は重心を意識するために腕でバランスをとるが、それがしっかりと表現されるようになった。シャープにキリッキリッと動かせたウイイレ9に慣れていると、“腕なんか動かしてないで、さっさとボールを蹴ってくれ〜”と、もどかしさも伴うが、慣れてくるとその動きを計算に入れて早めにパスを出すようになってくる。すると、より本物のサッカーの試合に近づいていくから不思議だ。

 きっと、ほんのちょっとグラフィックを表示するタイミングをズラしただけなのだと思う。しかし、そのちょっとした違いが、サッカーらしさをアップしている。これはそのほかの面もかなり期待できそうだ。

プレスが弱く、インターセプトが強く

 ウイイレ9の時に感じたのは、ディフェンス陣の異様なまでのプレス。口の悪いプレーヤーは“こんなストレスをためるようなバランスはありえない”と憤慨していたが、慣れとは恐ろしいもので、そんななかでも簡単に点を獲れるようになっていったものだ。

photo プレスをかけてもファウルをとられないということは、攻撃側の視点で考えるとスピードの緩急によるドリブル突破が重要になった、ということだろう

 しかし、ウイイレ10の★★★(難易度★〜★★★★★まである)では、プレスが非常に甘い。ゾーンディフェンスに徹しているといえばそれまでだが、ほとんど体を寄せてこず、寄ってきても強いプレスをかけてこない。★★★★に変更してみると、ウイイレ9に近いバランスになったので、このあたりはきっと開発陣も悩んだ部分なのではないだろうか。ウイイレ9に慣れている人が★★★でプレイすれば、きっと10-0くらいの大差で勝ててしまうかもしれない。

 とはいえ、自分が相手選手にプレスをかけると、意外と簡単にボールを奪える。相手の前に体を入れ、相手を倒すわけでもなくヌルッとボールを奪い返してしまう。あれ、こんなに簡単だったっけ? と拍子抜けする思いだ。

 そのぶん、ファウルをとられる確率が劇的に減った。前作ではファウルが頻発されることにイライラを募らせたユーザーも多かったことだろうが、今回はよっぽど悪質なスライディングやプレスをしないかぎり、ファウルをとられない。これはよい改良点だ。

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