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やっとすべてを発表できた――SCE久夛良木健氏プレスイベント直後インタビューE3 2006「SCEAプレスカンファレンス」

ソニー・コンピュータエンタテインメントが現地時間の5月8日、北米ロサンゼルスでプレスイベントを開催し、PS3の全容が語られた。そのイベント終了後、社長兼CEOの久夛良木健氏にお話をうかがった。

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 ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCE)は現地時間の5月8日、北米ロサンゼルスで行われたプレスイベントにおいて、SCEの次世代家庭用ゲーム機「プレイステーション 3」(以下、PS3)を日本において11月11日に発売。20GB搭載のPS3の価格を税込みで62790円、60GB搭載モデルをオープンプライスにて販売すると発表した。


 このイベントでは、すでにお伝えしたとおり昨年のE3 2005で発表されていたPS3のコントローラがコンセプトモデルであり、製品版は従来の「Dual Shock 2」とほぼ同型のものとなることが明かされた。ただし、コントローラ部分には、Roll(左右傾き)、Pitch(前後傾き)、Yaw(左右振り)の3軸に加え、加速度をリアルタイムで検知可能で、高精度・高速応答の6軸検出システムを内蔵している点と、無線ワイヤレス時の接続はBluetoothで行われるが、USB端子へと接続すればシームレスに有線ケーブル(有線接続中はコントローラ内のバッテリーが充電される)へと切り替えられる点が大きな変更とのこと。

 また、イベントではPS3のソフトラインアップも発表され、本日スクウェア・エニックスのプレスイベントにて発表された「ファイナルファンタジーXIII」、「FINAL FANTASY ヴェルサス XIII」などの映像出展タイトルのほか、現地時間の5月10日〜12日の期間中開催されるE3 2006においてプレイアブル出展される「グランツーリスモ HD」や「GENJI 2」なども公開され、さらに充実した内容だった。

イベント終了後には壇上に鎮座するPS3とコントローラを撮影できた。ちなみに初期出荷を200万台、2006年末にまで400万台、2007年3月末までに600万台出荷が予定されている
こちらはイベントで実際動かしているところを小ウィンドウで同時に見せながら作品紹介をしていた「GENJI 2」。一ノ谷のステージで、前作同様に義経と弁慶のチェンジもスムーズに行っていた
会場横には開発機材ベースで動く試遊台が設置されており、イベント終了時から体験できるようになっていた。写真は「グランツーリスモ HD」に群がる取材陣の様子。同じく体験できた「WARHAWK」を手に取って遊んでみたが、意地悪な傾け方でもちゃんと反応してくれた

 このプレスイベント終了後、SCE社長兼CEOの久夛良木健氏にお時間をいただき、お話を聞くことができた。そこから見えるPS3の将来像とは。やっと語るべきことが語れたと安堵する久夛良木は、壇上でかけていた眼鏡を外し、質問に答えてくれた。なお、SCEプレスイベントの詳細については関連記事を参照のこと。

ロンチを前に、これだけのソフトをプレイアブルでそろえることができた

SCE社長兼CEOの久夛良木健氏

 久夛良木氏はまず、今回のイベントについてすべてを発表できたと胸を張る。イベント終了時には会場横に20台設置された開発機材ベースで動くPS3の試遊コーナーを見渡し、これと同じものが5月10日から開催されるE3 2006に設置され、実際体験できるようにしていると明かしてくれた。ちなみに試遊コーナーでは、「グランツーリスモHD」、「GENJI 2」、「singstar」、「Formula 1 06」、「Heavenly Sword」、「WARHAWK」、「SONIC THE HEDGEHOG」などが体験できた。


ステージ横に設置されていたネットワーク接続された開発機材。E3のSCEブースには、これと同様のものが設置されているという

 これらの体験版は、昔であればいちいちディスクに焼くという作業をしなくてはならなかったが、PS3がネットワークプラットフォームのためその作業をしなくてもよくなったとのこと。今回のE3 2006期間中でも開発チームからコードが送られさえすれば、日々更新され高度が上がっていくのだという――「昨日、一昨日のグランツーリスモHDと今日のグランツーリスモHDとは違うわけです。以前であれば数日前のものを出展せざるをえなかったが、こういうことができるようになったため、E3 2006でのSCEフロアは度肝を抜くような設営にしており、ここ20年で初めての試みをしています。フロア内をネットワークでつなぎ、プレイアブルなものがたくさん遊べるようにしているわけです」

 E3の期間中毎日コードがFTPで送られるだけ進化していく……。ネットワークでの配信によっては、現状のものを販売することだってできるのだという。久夛良木氏も言及していたが、これだけのタイトルがロンチの段階でプレイアブルで出展されるのは異例といえる。プレスイベントで試遊できたタイトル以外のものもE3では出展されるとのこと。

 当然、コントローラも今回発表されたものでの試遊となる。無線ワイヤレス時の接続をBluetoothにしていることにも触れ、ただ紐がなくなったに過ぎないのではなく、精度の問題は置いておいて、そこにいなくてもできるということをどうするのかを考えた結果なのだと語る。ネットワーク越しでできるということが大事なのだ。

 また、気になる価格について久夛良木氏は、「安すぎたかも」とそれぞれ内包する技術や原価を考慮した発言をする。久夛良木氏はプレイステーション 2(PS2)の発売時を振り返り、「これはPS3の価格です。高いとか安いとか、“ゲーム機として”というくくりでは考えてほしくないんです。PS3というものは他にはないわけですから。例えば、高級なレストランで食事をした時の代金と、社員食堂での食事の代金を比べるのはナンセンスですよね? これは極端な例ですが、まさにそういうことなのです。そのゲーム機で何ができるか、というのが問題なのです。すばらしい体験ができるのなら、価格は問題じゃないと考えています。プレイステーション(PS)の価格を発表した時も高いと言われました。プレイステーション 2(PS2)のときもそう。しかし、いざ発売されると、どちらもそれまでのゲーム機では考えられないような売れ行きを示しました。それは、どちらもそれ以前のゲーム機では味わえない体験ができたからです。PS3でも、次世代のグラフィックや、ネットワークを介したさまざまなサービスなど、これまでには体験できなかった次世代のゲーム体験ができるようになっています。そして、PSやPS2のように、ゲームの好きの人なら間違いなく買ってくれると思っています」と、価値観をどこに見いだしてくれるかによるのだと言う。

 初回出荷台数を200万台、またその後の出荷台数も発表されたが、この件に関しても「もちろん、これはきちんと用意できると確認した上で発表した数字です。地震や盗難といった突発的な問題が発生する可能性もあるので絶対とは言えませんが、そういったトラブルさえなければ、まったく問題ない数字です。ですから、きちんとこの数を出荷しますので安心してください」と自信をのぞかせる。「こうしたE3直前の最高の舞台で発表できたことをうれしく思う」――すべてをやっと話すことができ人心地つけたと、ひとまずは安堵しているとのことだった。

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