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「ありえるありえなさ」を追求する「リッジレーサー」の未来E3 2006「リッジレーサー」開発者インタビュー(1/2 ページ)

ハードの機能をフルに使用するさまざまなトライアルを責務とする「リッジレーサー」最新作がPS3での発売を明らかにした。「やっぱり来た」リッジの今を、プロデューサーである寺本秀雄氏へ聞いてみた。

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 過去、PS、PS2、PSP、Xbox 360と新ハードの立ち上げには「リッジレーサー」シリーズの姿があった。新ハードのスペックをフルに活かし、使える機能はすべて使うと喧伝するリッジというタイトルは、自ら同時発売という責務を課しているのか、必ず新ハードの牽引役を担ってきた。そんなリッジの最新作「リッジレーサー7」がプレイステーション 3で発売されることがE3 2006で公開された。

 現状、PS3と同時発売とは決定していないとのことだが、目標にはしているとか。今回、E3会場にてリッジレーサー7のプロデューサーである寺本秀雄氏にインタビューする機会を得た。あくまでもイメージ映像とのことだが、そこには多くのヒントが散りばめられているとのこと。同時発売とは明かさない真意と、新リッジの目指す地平はどこなのか……。寺本氏へのインタビューから読みとってほしい。

―― 「リッジレーサー7」がついに公開されました。まずは、最新作でどういうトライアルをしたのか教えてください。

寺本氏 「リッジレーサー」というタイトルは今まで必ず新しいハードに挑戦してきました。その中で一貫していたのは、そのハードの機能を最大限に引き出そうとしていたことです。いわゆるベンチマーク的なタイトルという評価を受けているのだと自覚しているわけです。ですから、僕らが最初PS3という新しいハードに向き合った時、まずはこのハードがどんなものなのか、そしてどんな面白いことができるのかと真剣に取り組むことから始めました。具体的には、CPUのCellプロセッサの計算力であったり、RSXというGPUでどんなことができるのかとか、そしてオンラインネットワークでどんな面白いことができるのかといったところです。

―― 実際触ってみてPS3とはどんなハードですか?

寺本氏 率直に言えば面白い。だけど難しい。一筋縄ではいかせてくれないんです。なによりもCellという新しいチップをどう使うと、どうパワーがでるのかがなかなかつかめず苦労しています。とはいえ、研究のしがいもあるんですけど。度々話していることですが、F1で例えると僕らはドライバーみたいなものなのです。年度が変わり新車が出ると、「面白い車だな」、「どうしたらタイム出せるかなこいつ」というところで、さまざまなことを試しながら周回を重ねているといるのが実情ですね。その挑戦が実に面白い。

―― 新しいリッジとは? 今までのリッジとこれからのリッジの違いは?

寺本氏 「リッジ」というタイトルを冠するのであれば、ユーザーへ約束することは爽快感でありスピード感、そして“俺天才感”と呼んでいる感覚です。例えば200キロでコーナーへ突っ込んでいくことなど実際はありえなくても、それがかっこよく決められてしまうことであったり、大ジャンプを決めた際の自分はすごいかもしれない? と思わせる気持ちよさはリッジだけが提供できていることだと自負しています。ですから、新しくなってもそこは残しているところだと言えます。もちろん新しい要素も加わります。現状話せることは限られますが、言えることといえばカスタマイズ要素。過去でもクラスが上がるとボディが変わったり、「リッジレーサー5」でもエンジンの載せ替えなどやっていましたが、今回は車のボディデザイン1車種あたり、最大20万種類くらいのデザインを工夫できるようにしています。もちろん、中身の性能についてもカスタマイズできるようにしようと考えています。あとはオンラインですね。

―― 今回公開された映像でもオンラインを強く強調していますね。

寺本氏 あれはVISION 2010というコンセプトで描かれたリッジの指し示す未来像なのですが、2010年といえばすごく未来なイメージですけど、冷静に考えればたった4年後の世界なわけで、それほど目新しいことはないはずです。そんな中でも、4年後にはPS3の理解が進み、新しいゲーム世界が構築されているのではないかと想像しました。そこでは、ネットワークの常時接続が前提となっており、プレーヤー同士がすでにコミュニケーションをしながらゲームをしているのではないかと、ひとつの形を提案したいなと思ったわけです。元々リッジはアーケードの時からそうなのですが、対面して戦う面白さが根幹にあったと思うんです。それが家庭ゲーム機でのプレイになると、画面分割での楽しさはあっても、知らない人と対戦するドキドキは実現できなかった。それがネットワークでつながることで、世界中の人と同時に対戦できるようになる。それがきっかけで対戦だけでなく、そこから1歩進んだコミュニケーションが生まれるのではないかと推測したわけです。


―― 具体的には?

寺本氏 あのムービーで言いたかったことは、常に世界を感じながらレースができるということなんです。映像ではプレーヤーの名前の横に住んでいる場所が書いてあります。実装されるかは分かりませんが、ああいうことが普通になっているんじゃないかと。例えばゲームをプレイしてドイツの人と対戦をしたとします。そしてその後、ニュースでドイツのことを知る機会があれば、「そういえばあの対戦者はドイツにいたな」とか思い出せる……。例えば旅行で仙台に行ったとして、「あのすごい早かった対戦者はこの街にいるのか」と記憶と結びつけられる……。リッジを通して、現実の世界を生きる時も結びつきを意識して楽しくなると思うんです。我々は、日々の生活自体を楽しくできるゲームを提供できるんじゃないか新しいリッジレーサー7を定義しています。

―― 映像にも世界各国の言葉で世界へのつながりを強調していますね。

寺本氏 「e-Sports」ってあるじゃないですか。あれと一緒で、まるで世界共通スポーツのようにリッジもありたいと思うんです。そのルールさえ理解していれば世界中の人々が対戦でき、かつコミュニケーションができる。レースが終われば会話したり。一緒にグラスを傾けて乾杯することはできなくても、一緒にいる意識を持てる世界になっているんじゃないかなと思うんです。

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