「ありえるありえなさ」を追求する「リッジレーサー」の未来:E3 2006「リッジレーサー」開発者インタビュー(2/2 ページ)
ハードの機能をフルに使用するさまざまなトライアルを責務とする「リッジレーサー」最新作がPS3での発売を明らかにした。「やっぱり来た」リッジの今を、プロデューサーである寺本秀雄氏へ聞いてみた。
―― あと映像には「Real Unrealtty」という象徴的言葉が登場しますね。
寺本氏 あれは開発チームの中でのひとつのキーワードです。日本語でいう「ありえるありえなさ」と訳しますが、リッジのよさはそこにあるのではないでしょうか。ありえない大ジャンプ、ありえない200キロドリフトのようなものが、現実感をもって味わえる。ただスピードを早くしたり大ジャンプさせることは簡単ですが、それにありがたみを感じさせないようにしたい。数字上ではマッハ2とか出せますが、それが本当にマッハ2であれ、400キロ、300キロ、200キロを現実的に感じられなければ、そのスピードである意味もないし、ありえなさに達成感は伴わないと考えています。だから僕らはありえない体験を提供しながらも、本当にこれはありえることなんだと感じさせるゲームにしなくちゃいけないんです。それを映像に込めたわけです。最初の質問にもありましたが、この「ありえるありえなさ」は、今までのリッジから踏襲しているものです。
―― 永瀬麗子も?
寺本氏 彼女には新しい役割を果たしてももらおうと考えています。もちろんイメージガールとしての側面もありますが、もう一歩進んだ形でプレーヤーと関わってくるようにしたい。象徴でもありますが、プレーヤーに何かしら語りかけることがあってもいいと思うんです。楽しみにしてください。
―― リッジの面白さは対戦にあるとのお話ですが、最大14人というのは変わりがないのですか?
寺本氏 はい。最大14人を目指しています。とはいえ、この数はXbox 360で実現している数ですので、できない数ではないし、もっと増やせばいいのにと思われるかもしれない。ではなぜ増やさないかというと、14人あればまず楽しめると踏んだからです。これで計算パワーが余るのであれば、より遊びの内容を増やす方向に持って行きたい。レース内で起こるさまざまな事象にパワーを割いていきたいのです。レース自体が面白くなるように。すでに明かされていますが、本作には協力プレイが導入されます。それがどういうものになるのかは具体的には述べませんが、誰かのためにレースをするのも面白くなる。もちろんオンラインだけでなく、画面分割対戦でも楽しんでほしいし、様々なレースルールみたいなものを提供したいと思っています。
―― 今回あえて新ハードと同時発売ということは言及してませんが。
寺本氏 もちろん同時発売を目指してはいます。過去そうしてきたように努力はしているのですが、明言は避けています。ですが、なるべく早い段階でPS3でのゲーム世界はこれだけ面白いのだと伝えるのがリッジの使命だと思っているので、なるべく早い時期には発売したい。同時発売に向けて頑張っているという言い方でしか今は言えないのです。察してください(笑)。
―― 発表を受けての反応はどうですか?
寺本氏 期待感は感じています。これからの反応を楽しみにしているといったところですね。「リッジやっぱりね」と思われるかもしれないけど、それは期待されることの裏返しだと思っています。SCEのカンファレンスで映像が公開されたわけですが、HD標準搭載と考えた際、ダウンロードはやっていくべきものですし、データの蓄積も考慮しないといけないと考えています。
―― 新コントローラはどうですか?
寺本氏 あの発表を受け、スタッフがすでに考え始めています。きっと面白い使い方をしてくれると思いますよ。なんせ我々はハードの機能を使い切ることを使命としていますから。ハードの機能で使わないものはないと思っていますが、本当に入れられるかは別問題。だから今のところは入れる気満々とだけ言っておきます。他のところのも見てみないと。
―― ほかのPS3タイトルも多々発表されましたが気になりますか?
寺本氏 苦労は感じてます。そして、こういう使い方をするんだと刺激も受けていますね。特にレースゲームの世界はまた独特で。レーシングゲームチームは世界中にあって、これらを牽制しつつもライバル関係として互いに高みを目指すわけです。F1のコンストラクターのようなもので。影響を受けつつ、こっちも負けないぞと。
現状では同時発売を言及しないのは、単に現段階での明言を避けただけとのこと。新ハードにリッジありと言わしめた自負があるので、近いうちには発売したいと語る。いまだイメージ映像だけの公開ではあるが、PS3の機能を存分に発揮するために日々挑戦を続けているのだという。寺本氏は公開された映像にたくさんのヒントを散りばめたのだとか――「これが我々からのメッセージです」。寺本氏のリッジに対する自信は揺るがない。
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