アドベンチャー+RPG≒ゲームブック「クレオパトラの魔宝」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
「クレオパトラの魔宝」は、アドベンチャーゲームの画面でプレイするRPGです。このタイプのゲームは少なく、家庭用ゲーム機ではほかに、ゲームボーイの「セレクション」、「ネコジャラ物語」(ケムコ)くらいだったでしょうか。
ゲームブックっぽいのは、ゲームシステムだけじゃない
ゲームブックとは、読み進めるストーリーの中に選択肢があって、読者が主人公の行動を選ぶことのできる本である。
ゲームブックの元祖といえる「火吹山の魔法使い」(S.ジャクソン、I.リビングストン著/社会思想社)では、主人公の技術(戦闘力、器用さなど)や体力、運が数値化され、これらの能力値とサイコロを使って、敵と戦闘する場面がひんぱんにあった。
「クレオパトラの魔宝」は、「火吹山の魔法使い」や、それに続くゲームブックに、多少なりとも影響を受けているように思える。
例えば戦闘。正面からの単純な殴り合いで、ダメージはほぼ一定だが、ときどき攻撃を外すことがある。ゲームブックでは数値計算をすべてプレイヤーが行なうので、これくらい単純な戦闘システムが標準だった。
例えば、HPを回復する手段。回復アイテムも回復魔法もないので、街・塔・地下神殿にひとつずつある、HPを回復できるスポットへ行くしかない。こんなにHPを回復しづらいゲームは、コンピューターRPGでは珍しいが、ゲームブックでは非常に多い(むしろ、宿屋に泊まっても体力を少ししか回復できないのが普通だった)。
街や地下神殿の画面は、一見3D表示に見えるものの、左右や後ろを向くことができず、どこからその場所へ来ても、常に同じ方向の景色が表示される。
これは、以前この連載で紹介した、ゲームブック版「ドルアーガの塔」(鈴木直人著/東京創元社)に似ている。このゲームの迷宮では、どの方向から来ても、一度に全方向の状況が説明される(文字情報しかないので、いちいち方角ごとに分ける必要がないからだが)。
確か、同じDOGメンバーのハミングバードソフトが作った「ディープダンジョン」では、見返りがあるような雰囲気で繰り返しアイテムを要求し続け、結局いくつアイテムを渡しても何も起こらないというトラップが出てきたような記憶がある。これはゲームブック「ソーサリー」にあった“願いの井戸”に近い。
1986年〜1987年頃は、まだゲームブックがファミコンに影響を与えるような時代だったのだ。
意外すぎるラストボス
「クレオパトラの魔宝」地下迷宮の話に戻る。
ここでは、ラメラのよろいとアメンの杖が役に立つ。よろいは敵の攻撃で受けるダメージを半分にしてくれる。最初から街の武器屋で売られていたが、値段が20000Gもするので、買えるのは終盤になるだろう。
アメンの杖は、敵を一撃で倒せるアイテムだが、手に入れるためには、特定の部屋でスフィンクスを倒さなくてはならない。
神殿のいちばん奥に、大介の父親がいる。しかし仮死状態になっていて動かない。
ひとつ前にある、霧のかかった部屋に戻って、スフィンクスの持っていた“風の笛”を吹く。霧が晴れると、そこに現れたのは何と、おみやげ屋のお姉さん!
お姉さんとの戦闘になるが、お姉さんの姿ではダメージを与えられない。やはりスフィンクスが持っていた“太陽の鏡”を掲げると、お姉さんに化けていた悪霊カラドの使いが正体を現す(お姉さんが黄色いスケルトンに……)。
カラドの使いを倒して、イシスの涙を取り返し、女神像の首にイシスの涙を掛ける。すると女神像が実体化し、古代エジプト最後の女王・クレオパトラとなる。
クレオパトラは大介の父親を目覚めさせ、大介と父親はラクダに乗って、地下神殿から立ち去った。
ゲームブックもディスクシステムも、その後まもなく廃れてしまった。だが、Wiiのバーチャルコンソールで予定されているダウンロード配信で、もし新作がリリースされれば、ディスクシステムに似たビジネスモデルが展開できるかもしれない。
数百円で買える“文庫本サイズ”のゲームが登場することを、期待してやまない。
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