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タッチペンは十字キーやボタンの代わりにあらず――“ニンテンドーDSらしさ”とはこういうことだ「怪盗ルソー」レビュー(2/2 ページ)

タッチスクリーンに描いた絵で変装できる! そんな新機軸を打ち出した“変装アドベンチャー”が登場した。コミックのようなテンポのいいシナリオにプラスして、登場するキャラクターも魅力的な野心作だ。

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第1話1章の見どころをリポート

photo ここはレトロなテイストのエピソードタイトル。画面を上下に使ったデザインがなかなかしゃれている

 怪盗ルソーは全3話で構成され、各話は細かく章分けされている。ゲームは基本的にアドベンチャー形式だ。人から話を聞いて情報を集めたり、アイテムを使ったりして状況を打開し、シナリオを進める。その間に変装が挟まるといった感じだ。説明するよりもプレイリポートを読んでもらったほうが話が早い。さっそくスタートしよう。

 第1話は「登場! 正義の怪盗ルソー!」。格好いいタイトルバックとともに第1章「事件のはじまり」が幕を開ける。まずは“美しいセーヌ姫を今夜1時30分、正義の名の下、いただきに参ります。怪盗ルソー”と、怪盗ものにはお約束の予告状が登場。これは素直にワクワクする。

 怪しい屋敷に潜入したルソーに、早くも“ルソーが侵入したぞ”とガードマンが集まってきた! さっそく変装の出番か? と思いきや、まずは画面のどこかをクリックしてこのピンチを乗り切るらしい。廊下の天井から吊り下がった照明が目に入った。これにタッチするとルソーが照明につかまり、ドカッとガードマンたちを蹴り倒した! こうしたアドベンチャー的な謎解きも多い。

photo 画面をあちこちタッチし話を進める。ときにはマイクに息を吹きかけるような謎解きもある

 そして奥へ進んだルソーはまたしてもピンチになる。“うわっ! 行き止まりだ”。追い詰めるガードマン。“やつは袋のネズミだ!”。ここでついに最初の変装が登場する。右上のネコマーク(変装アイコン)をタッチすると、目の前の人やモノに変身する「変装モード」に入る。今回は追い掛けてきたガードマンになりすます。

 上の画面にはガードマンの顔が表示されるので、これを見ながら、目、鼻、口の3パーツをそっくりに描く。基本は細い線、目玉は太線で描くのが楽か……。初めてなのでなかなか感覚がつかめず、線がグニャグニャになってしまった。口がちょっと曲がってる気もする。一応消しゴムで消しとくか? うーん、まぁいいか。最初のうちは時間制限もないので、納得のいく絵ができたら「完了」ボタンを押す。

 自分の描いた絵を顔につけたルソーが「変・装・完・了!!」とキメポーズを取った。ちょっと笑える。突然出現したニセガードマンに、本物のガードマンが近づく。まずい、バレるかな? と思ったが“こんなときに何だけど…。お前、ずいぶんカッコイイな!”。判定は見事にA。ガードマンは去っていった。

 ほっとしたのも束の間、次にルソーは廊下の両側からはさまれてしまう。しかし、こんな時も心配ご無用だ。目の前にある窓をクリックすれば、今度は顔ではなく、窓枠の線を描き写す。顔に窓をつけたルソーが背景に溶け込む(画面的には体が見えたままなので、窓になりすましているルソーがちょっと情けない)。“あれ? ルソーが消えたぞ!”。まんまとだまされるガードマンたち。しかし、そのうちのひとりがじーっと窓を凝視する。汗ダラダラのルソー。そして判定は……キラリと輝くA。“窓に異常なし!”、“どこに消えやがった!”と、ガードマンたちはあわてる。あなたの目の前にいますけど……。こうして姫を助け、お礼のキスを……と思ったらなんとこれはすべて夢。今は授業中だったのだ!

photo 基本的に、お手本通りに描くのが判定基準。判定によってはセリフや展開も変わる。わざとC判定を出すのも面白い

 変装の判定はA〜Cの3段階で行われる。中盤以降は失敗すると「疑惑メーター」が増えていき、あまりミスばかりすると100%に達してゲームオーバーになってしまう。また、“10秒以内に○○になれ!”といった時間制限がシビアな変装課題もあって、ゲームとしての緊張感は思ったよりも高い。

 クリア後に出現するおまけは、本編で登場した変装に再挑戦できる「変装アルバム」、ミュージックモード「ジュークボックス」、スゴ腕警備員「片目のタツ」をどこまでだませるか試す「変装トライアル」が用意されている。

 特に面白いのは変装トライアルだろう。次々と出されるお題の絵を制限時間以内に描いていく。Cランクなら疑惑メーターが30%増え、Aランクなら5%減る。100%になるまで何人クリアできるかを競う。苦手なお題が出たときはセーヌちゃんに判定してもらうのがいいかもしれない。Aランクなら50%も疑惑メーターを減らしてくれる(ただし頼めるのは3回まで)。次第に制限時間も短くなっていくので、集中力も必要だ。ちなみに筆者は最高で40人連続でクリアした。夢中になりすぎて腕が疲れた……。

ボリューム不足が残念

photo おまけの「変装トライアル」はなかなか遊べるミニゲームだ。落ち着いてマス目を合わせれば、意外とA判定も出る

 欲を言うなら、全3話というのは正直ボリュームが少ない。テンポよくぐいぐい進めるだけに、あと2〜3話、話数があっても良かったのではと思う。また、もっと自由に絵を描ければ、さらに楽しかっただろう。自分が好きに描いた絵が重要なシーンで使われたり、自分の絵を添削してくれるキャラがいたり、といった工夫があればよかったかもしれない。

 オリジナリティは高いのだから、ぜひともシリーズ化を希望する。ニンテンドーDSのソフトは続編でより改良され、いいものが出てくるパターンも多い。せっかく魅力的なキャラクターも生まれたのだから、このレギュラー陣が活躍する話をまだまだ読んでみたい。学校でのエピソードなどはどうだろうか。夏休みや運動会と、いろいろな切り口がありそうだ。クリアまでは約10時間。もうちょっと遊びたかったのに、と思わせる力を怪盗ルソーは持っている。

怪盗ルソー
対応機種ニンテンドーDS
メーカーバンダイナムコゲームス
ジャンル変装アドベンチャー
発売日発売中
価格5040円(税込)

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