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ここんとこ頻繁に侵略しに来る「スペースインベーダー」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)

どうも。わたしが、「2006 CESAゲーム白書」に記事を書かせていただいた、府元晶ことゲイムマンです。ゲーム白書掲載記念&連載第25回記念。今回は超大物ゲーム「スペースインベーダー」を取り上げてみます。

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インベーダーキャップに憧れた

 この連載では過去に何度か、マンガ「ゲームセンターあらし」について触れたことがあるが、考えてみればこのマンガに出てきたゲームを、まだ1本も取り上げていなかった。

 それに、タイトーのゲームをまだ取り上げたことがなかったので、そろそろこの超大物にご登場願いたいと思う。

 「スペースインベーダー」。

 1978年、アーケードに登場したこのゲームは、同年から翌1979年にかけて、社会を揺るがす大ブームを巻き起こした。

 それまでのテレビゲームは、デパートや遊園地のゲームコーナーに、いわゆるエレメカとともに置かれることが多かった。

 だが「スペースインベーダー」のヒットで、ゲームセンターが急増。特に、このゲームばかりで占められた“インベーダーハウス”が、全国各地に誕生した。

 また、テーブル型のゲーム筐体(きょうたい)が、喫茶店にもよく置かれるようになった。

画像 今回は主にスーパーファミコン版「スペースインベーダー The Original Game」の画面写真を使用
画像 「PLAY」の「Y」が逆さになっているのを、インベーダーが回収して、正しい「Y」を持ってくる。タイトル画面から芸が細かい

 ……と書いているけれど、わたしはこのインベーダーブームについて、詳しくは知らない。当時わたしは小学生で、テレビゲームをやることを、学校から禁じられていたからだ。

 大多数の小中学校が、生徒にゲームセンターへ行くことを禁止していたようだ。「ゲームセンターあらし」でも、連載第2話(読み切りを含めると第3話)で、主人公・石野あらしの行きつけのゲームセンターが、小中学生の入場を禁止するシーンがある。

 「ゲームセンターあらし」というタイトルに反して、あらしはこのとき以降、ほとんどゲームセンターに行っていないのだ。そのかわり、各地で行なわれるゲーム大会で、あらしは次々と優勝し、名をあげていった。

 あらしのトレードマークとなる、インベーダーの絵が入った帽子「インベーダーキャップ」も、「全日本インベーダー選手権」の優勝賞品として贈られたものらしい。

実はグラフィックに凝ったゲーム

 「スペースインベーダー」は、迫り来る55匹の宇宙人(インベーダー=「侵略者」の意)を、ビーム砲で撃ち落とすゲームだ。

 インベーダーは隊列を組んで横に動き、画面端まで来たら1段下におりて、逆側に移動する。

 下2列のインベーダーを撃つと、1匹につき10点。その上2列は1匹20点、いちばん上は1匹30点。時折出現するUFOの点数はミステリーポイントで、50点〜300点。

画像 わざとシェルターに穴を開け、そこから敵を撃つ戦法もあった

 ビーム砲の前には、4つのシェルター(トーチカなどとも呼ばれる)がある。インベーダーやビーム砲の弾を防ぐが、弾が当たるごとに少しずつ崩れていき、やがて弾が貫通してしまう。

 シェルターがドット単位で崩れていくのが、いかにも土を固めて作った土塁のようで、リアルなグラフィックに見えた。

 グラフィックといえば、インベーダーの外見や、その動きもインパクトがあった。H.G.ウェルズの「宇宙戦争」に出てくる、タコのような火星人にヒントを得て、タコなど海の生物をモチーフにデザインされたのだそうだ。

 「ブレイクアウト」(アタリ)に端を発する、いわゆるブロックくずしが全盛だった時代において、「スペースインベーダー」は、そうとうグラフィックに凝ったゲームだったといえるだろう。

 また、当時のゲームで、敵が攻撃してくるものは、きわめて珍しかった。

 そのため当初は「難しすぎる」ということで、業者の皆さんからの評判は、あまり良くなかったらしい。だがプレイヤーは、エレメカの流れをくむそれまでのシューティングにはなかった、“やるか、やられるか”という緊迫感に引きつけられていったのだ。

 作者は西角友宏氏。ゲームシステムもキャラクターもプログラムも、ほとんど1人で作り上げた。しかしその名前がファンに広く知られるようになったのは、近年になってからである。

撃った弾数を数えながらプレイ

画像 インベーダーを全部倒しても990点というこのゲームにおいて、UFO3機で900点取れるのは大きい

 「スペースインベーダー」は、様々な攻略法が研究されたゲームでもある。

 まず、UFOの得点。50点と300点では大違いなので、狙って300点を取る方法が、熱心なプレイヤーたちによって研究された。その結果、UFOの得点はランダムではなく、ステージ開始からプレイヤーが弾を何発撃ったかで決まることがわかったのだ。

 スタートから23発めの弾でUFOを撃つと、必ず300点が取れる。その後は15発めごとにUFOを撃つと300点。

 もうひとつ、よく知られている攻略法が、バグ(プログラムミス)を利用した「ナゴヤ撃ち」である。

 インベーダーが画面のいちばん下の列(シェルターの下端よりさらに下)まで来ると、インベーダーの撃つ弾が、ビーム砲に当たらなくなる。これを利用して、インベーダーが最下段まで下りるのを待って攻撃するのが「ナゴヤ撃ち」だ。

画像 インベーダーの撃つ弾は、ビーム砲の背後に当たる(写真では「R」の文字あたり)

 写真のように、やや離れたところにインベーダーを1匹残す形を作る。途中に何もない空間を作ることで、インベーダーを撃った後の避難場所になるし、またここからUFOを撃つこともできる。

 インベーダーがシェルターを壊して最下段まで来たら、その正面に回りこんで撃つ。敵弾はビーム砲の背後で炸裂するが、ビーム砲には当たらない。

 注意する点は、インベーダーが少なくなるにつれ、その動きが速くなっていくことだ。特に、30点インベーダーを撃つ際には、シビアなタイミングが要求される。ビームは連射が効かないから、確実に仕留めなければならない。

 インベーダーを1匹でも撃ちもらすと、地球が占領されてしまい、ビーム砲の残機数にかかわらず、ゲームオーバーになってしまうのだ。

画像 カラー版でビーム砲がやられたり、占領されたりすると、キャラクターが赤1色になって、どきっとする
画像 ちなみに「ナゴヤ撃ち」という名前がついたのは、名古屋から広まったからとされるが、異説もあり、詳しいことはよくわかっていないようだ

 それから、攻略法ではないが、もうひとつバグを利用した裏技に「レインボー」がある。最後に10点インベーダーを1匹だけ残すと、そのインベーダーが残像を残しながら移動するのだ。

 成功しても特に何か起こるわけではなく、見た目がおもしろいというだけの技なのだが、後に登場した「スペースインベーダー・パートII」では、レインボーを成功させるとボーナス点が入る。

 今回私もレインボーには何度もトライしたが、結局成功できなかった。なので写真はナシ。

 「ゲームセンターCX」みたいに、私にも、「1機やらせてもらってよかですか?」と言ってくれるADさんが欲しい。

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