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戦っているのは“ユーザーの無関心”――岩田社長と宮本専務との一問一答(2/3 ページ)

「Wii Preview」開催終了後、任天堂の岩田聡社長、宮本茂専務との質問会が開かれた。岩田社長は「戦っているのはライバルメーカーではなくユーザーの無関心。ゲーム人口をいかに増やすかが課題」と語った。

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さまざまな可能性を秘めた「Wiiチャンネル」

――「Wiiチャンネル」の「ニュースチャンネル」はテキストベースだけでなく、TVのように、画像などを含むインタラクティブなものになるのか。

画像 お天気チャンネル

岩田 「ニュースチャンネル」と「お天気チャンネル」のどちらに興味を引くのかは個人差があるだろう。「ニュースチャンネル」については、ニュースソースとなる会社といろいろな形で相談している最中なので、ワールドワイドのニュースソースがこうなりました、ということの詳細を発表できる段階にないため、説明が浅くなってしまったかもしれない。

 せっかくなのでテキストだけではなくて写真も出せればとか、発信地が分かるとか、聞いたことのない地名であっても、地球儀の上でここだと教えてもらえるといった仕掛けはおもしろいのではないか。これをきっかけとしてWiiの電源を入れるのが日課になるならば、そういった人が家族の中で1人でも増えてくれたら、将来的なゲーム人口の拡大になるのではないかと思う。ただ一方で、「WiiConnect24」を使って大量の動画データをばらまくのは、いくらインフラが整っていても無理だろう。現状のインフラでどのバランスがいいのかを考えて決定する。

 しかし、インターネットに接続されていれば、Wiiの「ニュースチャンネル」もバージョンアップできるだろうし、もっとインフラが変わってきたときに「このようなことができますよ」と提案できるかもしれない。

 「Wiiチャンネル」についてはいろいろな使い方があると思う。今日の発表を聞いていろいろな人が「こんなチャンネルができたらおもしろい」と考えることだろう。TVとインターネットがつながって、家族全員がだれでも触る、家族全員が対象となるマーケットは。わたしがちょっと考えただけでもいろいろなアイディアが生まれてくる。「今年の第4四半期に発売する」という公約を考えたときに「ここまでにしよう」と決めないとずるずると遅れてしまうので、今回はここまでの仕様にしている。

 ただしいろいろな可能性があるだろう。いままでのゲーム業界の枠組みにとらわれず、いろいろな人と話をしていく中で、最終的に1人でも多くの人がゲーム機に触れることになり、その結果ゲームユーザーが増え、市場が拡大するようにしていきたいと思っている。

――価格については、もっと“攻撃的”な値段に設定できたのではないか。

岩田 ハードの価格は、コストなどさまざまなことを考えて設定することになる。2万5000円は当然大赤字ではないが、すごくもうかるのかというと、ソフトを入れると採算ベースになるが、ハード単体では最初は厳しいというのが現実だ。

 ハード単体は赤字なのか、赤字幅はいくらなのかといった細かい数字は競争上の都合で言えないが、この値段で、ソフトメーカーであることを加えて考えていくと、十分初年度から収益に寄与できるだろう、となって決まった。

 ちなみに「ハードは発売当初は決まって赤字である」というのは変な議論だ。こういうことを繰り返していく業界は健全ではないと思う。ハードが赤字であるかよりも、あるべきペースでちゃんと普及するのかどうかが大事であろう。あるべきペースでハードが普及していくだろうと考えたときに、自分たちでベストだと思う値段を考えている。もちろん、ゲームに興味がない人に対してアプローチしなければならないので、プロモーションにコストがかかるだろう。このためには予算を多く取らなければならない、ということを考えてこの値段にした。

 ローンチの際にはマーケットに混乱が起きてはいけない。Wiiは今日現在ですでに量産を始めているので、発売する気になれば発売日を繰り上げることもできる。ただしそのときにものすごく少ない数量ではユーザーに迷惑をかける。このため、商戦期を逃さずゆったりとやろう、ということで進めている。ただし今日現在で発売日に用意できる数量を語るのは早すぎるので、機会があれば改めて話をしたい。

――ニンテンドーDSの勢いが出るまでは1年程度かかったが、Wiiについてはどう考えているのか。

岩田 確かにニンテンドーDSは、史上最速ペースの販売台数として突き抜けたのは、販売から1年くらいたってから。なぜそうなったかというと、ゲーム人口拡大の努力が少しずつ実ってきて、ユーザーに伝わってきたからだろう。そもそもゲームに興味がない人はまったく関心がないので、任天堂がいくら鐘や太鼓をたたいて騒いでもまったく目に入らない。わたしは男性だし、女性用化粧品の宣伝をいくら見せられても、そのブランドがどのような価値を持つのかまったく理解できない。おねえさんの顔は印象に残るが(笑)。ゲームしない人にとってのゲームの広告も同じで、おそらくものすごい時間が必要だろう。

 いまのニンテンドーDSが過去にない状況を作り出したのは、もともとゲームに興味があってプレイしていたユーザーの上に、いままでいなかったユーザーが上乗せされているからだ。このため、季節外れの時期に毎週15万台出荷しても全然足りない状況となる。これはご迷惑をおかけしている話なので喜んでばかりいられないのだが、そういう状況が作り出されて、広がるまでには時間がかかる。Wiiについては1年後ではなく、発売直後からそうなってほしいのだが、同じように少し時間が必要かもしれない。ただしニンテンドーDSでの実績があるので、前より短い時間で達成できればいいな、という願望はある。

画像

宮本 ソフト次第と言われているようで(笑)。確かに、本当にハードを使いこなしたソフトができるのには1年近くかかる。ただ、ニンテンドーDSもシンプルなアイディアでゲームを作れるし、ベテランのスタッフが作れば、ゲームボーイアドバンスより早く作れることもある。

 Wiiはポリゴン能力もあり、ゲームキューブで使ってきたものもそのまま使えるし、ゲームキューブよりもパワーがある。ゲームキューブベースの技術を使えば、すごく早く作ることができるので、アイディア1発の決定的なソフトが登場すればと思う。1つのソフトで市場が変わるということを実現できればと思っている。「ヘルスパック」は1つの可能性かと思っているのだが……。

岩田 (「ヘルスパックには」)すごく期待をしている。これまで脳を鍛えること、犬を飼うこと、英語を勉強することはゲームではなかったと言われてきたが、全部ニンテンドーDSで実現している。なので今度は、体重を計ることを宮本がゲームにしてくれることを期待している(笑)。

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