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北米での次世代機競争の行方くねくねハニィの「最近どうよ?」(その2)(2/2 ページ)

海外のゲーム動向を見ると日本の市場が見えてくる。いよいよ出そろう次世代、新世代家庭用ゲーム機について今回は考えてみようと思うの。東京ゲームショウも終わり、夜も昼も眠りっぱなしのハニィの最近どうよ2回目をよろしこ。

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3.「ネットワーク」

 北米市場はもともとPC文化だってのもあるけど、オンライン機能は日本よりも重視されるよね。ただ、誤解してほしくないのは、結構ネット環境ってそれほどイケてないの。日本のADSLなんかはアメリカの典型的なネット環境に比べればすばらしいもので、下手したら電話回線を使ってでもネットにつなぐ輩がいるらしいじょ。それでも国が広すぎるからなのかなぁ、ネットのコミュニケーション好きだよね〜。ちなみにハニィが知る限り、ネットが一番進んでるのは韓国です(周知でしたか……笑)。ってことで、日本ではイマイチはやらなかったオンライン機能も、Xbox、PS2の頃からゲームの中に取り入れられていたの。

 まずは、ゲームソフト自体のネットワーク(対戦とか協力プレイとか)について語ることにするね。MSさんは、従来機のXboxからXbox Liveなるネットワーク機能を搭載していて、ユーザーからするとソフトパブリッシャーに依存しないでXboxのマッチングサーバ上で簡単に対戦とかできるっちゅーことで、ものすごく評判がよかったわけ。MSさんはPCの世界でZoneなるネットゲームのマッチングを20年もやってきてる会社なわけさ。オテノモノなのね。でもさぁ、ネットに関してPS2は遅れていたとは言えども、「Socom」(オンライン協力プレイや対戦プレイが楽しめる、いわゆるマッシブなオンラインFPSゲーム!)とかはやってたし、最近ではオンライン機能がないと値段が保てないとかいう風潮もあったくらい。

 だけどね、ハニィが思うに、PS3のネットワーク戦略上マストなことは“しばる”こと。え? って思うでしょ? ソニーはPS2のときにオンライン接続での接続をすべてパブリッシャーに任せていたの。Xboxに比べると、ソフトによってつなぎ方が違って面倒だったから結構不評だった。ハニィが数年前に取材出張で出かけたロサンゼルスでスターバックスに入ったら、たまたまソニーパーティでもらっていたPS2のかばんを見た店員に「PS2はサイテーだ! Xboxはすごいぞ!」と訳のわからん罵声を浴びせられたのよ。お、一般ユーザーの声と思って「何で?」って聞いたら「XboxはどんなゲームでもXbox Liveで簡単につないで遊べるのに、PS2はゲームによって面倒な接続を要求するから、ゲームやる前に萎え〜だよ!」だって。なるへそ〜。

 PS3はそこんとこ解消されるんだよね? って感じですわ。だからパブリッシャーを“しばって”、PS3タイトル共通のつなぎ方を提供しないと(少なくとも入り口だけでも)ネットが苦手なPS2の印象を払拭できないと思うの。「オープンにやってるよ」は作り手や供給する側の詭弁で、ユーザーメリットではないからね〜。ただ、残念ながら今のところPS3のオンライン機能に関しては、それほど多くは語られてないの。PCオンラインゲーム用のプラットフォームとコミュニティー機能をもつ「Xfire」使われるって噂もあるけど、ソニーさんは正式に発表してないのよね。引き続きくねくねと情報を追わなきゃだわ。

 ここまでネットワークを騒いでいるくせにネットワーク機能が付いてるPS3のタイトルが少ない! とのお怒りもあるみたいだけど、まぁまぁ、手なれてくるまでお待ちくださいと言いたいハニィでやんした。

 次世代機自体の機能として、三者三様の発表(MSはもう始めてるか)をしていて、音楽とか映像とかのマルチメディア方面に向かっているのは三者ともなんだけど、Xbox Liveは、8月までの間に5千万回のダウンロードをカウントしてて、延べ20億時間の接続時間があったと言われてるの。更に、Xbox Live Arcadeなるゲームダウンロード(ネット上のゲームセンターね)やパッケージソフトの付加機能なんかもやってるの。

ここでハニィが強調したいのはXbox Live Arcadeにて展開されているミニゲームのダウンロード。Wiiで展開されようとしているメガドライブやPCエンジンのゲームなどのようなレトロゲームではなく、Xbox Live Arcadeのために開発されたゲームがメイン。これらはユーザーにダウンロードされる際に課金される(5ドルくらいからだからお手ごろよね)わけなのね。残念ながら日本のデベロッパーさんたちはコレに積極的に参加してない(日本のMSさん! お願いしますよぉ)けど、これは今後のゲーム業界に大きな影響があると思ってるの。

 今後家庭用ゲーム機向けのソフトを開発する開発者達は次世代に向けて作っていくわけだけど、すべての開発者達が平均で10億円以上と言われる開発費を負担できるわけはなく、才能や新しいアイディアを持つ若い人たちがお金がないためにチャレンジができない、という悲しい現実もあるわけ。だとすると、Xbox Live Arcadeへのミニゲーム供給は値段的に言ってもリターンは少ないかもしれないけど、コストリスクも同じく少ないわけで、小規模でチャレンジできる土壌ではないですか! 成功してお金も入って有名になって、という夢も見られることになるわけだわ〜ん。すてきぃ。新しいジャンルや遊び方は任天堂さんのような大きい会社じゃないと提供できないってのは、ハニィにしてはナンセンスだし、下克上のないエンターテインメントなんて面白くないって思っちゃう! PS3でも同じようにミニゲームダウンロードを考えているみたいなので、楽しみだよね〜。ぜひMSさんのように日本の若いデベロッパーを育てるしくみを作ってくださいまし。

 やっぱ北米はネットワークがキーなんだろうな。ってことで、このテーマも「最近どうよ?」で語っていきますので、楽しみに&よろしこ。

ハニーのあとがき

 「リアル」が命、要はグラフィックが美しくないとダメ! と言われていた北米市場でのPS3への期待が高まっとります。ソニーの強みは家電製品とのプロダクトミックス。一時は家電の一部と成り下がった「テレビ」がハイデフ化(日本では地デジだね)によって、またまた注目を浴びているよね〜。日本円で20万円以上もするテレビがガンガン普及していく中で、それに見合う映像や品質を求めるのは自然の流れだから、PS3のスペックはハイデフテレビを持つ人々には相当魅力的なはず。テレビというイマドキ製品を持つソニーが、家庭においてPS3をどのような位置づけにしていくかには注目したいよね〜。波に乗ってテレビもPS3も売っちゃえ〜!

 だからこそPS3はBlu-rayのほかにどんな付加価値がつけられるかが鍵。それはハード本体としていうよりは、ソフトか、または機能であって、「このハードが欲しい」ではなくて、「このハードで○○がしたい!」とか「なんと○○ができるのよぉ〜」であるはず。11月発売にも関わらずそれが不透明なところがとても心配。これから発売に向けて急激に情報量が増えてくるだろうから、それも要チェックだね!

 そんでもってそんな中、任天堂がグラフィックより新しいゲーム性重視を説いてきたからますます面白くなってきたよね。リアル性を追求するPS3とXbox 360、ゲーム性をとことん詰めていくWii では同じ次世代と言っても「別モノ」と考えたほうがいい。

 海外ではXbox 360が優勢、国内ではWiiが優勢ってのがゲバ評。ハニィもそれに対しては異論がないけど、いずれにしてもPS3/Xbox 360の高スペック機とWiiは違うものかもしれないよね。実際に性能としては高スペック機はグラフィックやスピード感のような品質もそれなりに求められるはずだし、Wiiに対してはコントローラの特性を生かしたゲーム性を求められるはず。ハード特性に合わせてソフト開発をしていかなくちゃならない。

 心配なのは日本のゲーム業界だよね。数億から数十億かかるといわれる開発費は日本市場だけでは回収できるわけがないのに、ハードにあわせて企画しなきゃいけなかったり、テリトリー別に優勢ハードが違うなんて! 何をターゲットに作ったらいいのか、どこの市場向けに作ったらいいのか、慎重に進めなきゃいけなくなるよね。まぁ、でも、そのためにハニィがいるのよ♪ 日本のデベロッパーとパブリッシャーのために生きていく覚悟なんだから!

 ただね、こうやって予想とか批評とか勝手にしてるけど、ゲーム業界はマジックだらけ。「めざせ!100万台!」って言ってたプレイステーションがここまで売れることをダレが予期した? ニンテンドーDSがこんなに爆発的に売れることを希望的に見ていた人はいても最初から予言した人はいなかったでしょ? だからゲーム業界はおもしろい。ハードの移行時はいろんなサプライズがあって、いろいろな予想が覆されて。だからこの業界が好きなハニィでした。

くねくねハニィのプロフィール

1967年アメリカサウスダコダ生まれの日本人。

小学生からはゲームセンターに通いまくって育つ。

1990年に都内K大学を卒業後、大手ゲーム会社にて海外ソフト担当となり、2001年に退職。それ以降は自称フリーのゲームアナリストとして暗躍。暗躍しすぎたので名前を変えて表舞台に。くねくねと唐突に現れて「親父ギャグ」をかまして周りの人々のレベルを下げまくる困ったやつ。


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