「ドンキーコング」25年の歴史:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
東京ゲームショウの「テレビゲームミュージアム」というコーナーにあった「ドンキーコング」に、あらためてハマっちゃいました。考えてみればこの連載では、今年に入ってから任天堂のゲームを取り上げていなかったので、今回は私が大好きな「ドンキーコング」の魅力について語ります。
ゲーム&ウォッチ版にはまた違った魅力がある
ゲーム&ウォッチ版「ドンキーコング」は、「オイルパニック」に続く、“マルチスクリーン”シリーズの第2作め。現在のニンテンドーDSのように、液晶画面が2枚あった。
下の画面では、転がる樽を飛び越えながら進み、上の画面に向かう。天井の低い所ではジャンプできないので、樽が来ない間に走り抜け、ジャンプできる地点まで進むのだ。
さらに、頭上で鉄骨が運搬されていて、ジャンプしたときこれに当たるとミスになる。樽と鉄骨が同時に来たら、後戻りしなくてはならない。
そして上の画面では、コングが落とす樽を避けながら、クレーンに飛び着いて、コングの足場を支えるワイヤーを取る。
これを4回繰り返せば、足場が崩れてコングが落下し、1面クリアーとなるのだ。
ゲーム&ウォッチなので、1ドット単位での位置合わせは必要ないが、その代わりに操作のタイミングが要求される。アーケード版とは違う感覚のゲームだが、これもおもしろい。
ちなみにこのゲームで初めて使われたのが、後にファミコンにも採用され、現在の家庭用ゲーム機のコントローラーにも影響を与え続けている「十字キー」である。
あと、ゲーム&ウォッチ版のマリオ(当時まだ名前はなく、説明書には「救助マン」と表示されていた)にはヒゲがない。容姿に特徴がない分、私は自分の“分身”として、すんなり受け入れることができた。
とはいえ、ゲーム&ウォッチ版にも不満がなかったわけではない。
アーケード版もそうだが、何度レディーを救っても、コングが復活し、すぐまたレディーをさらってしまうのだ。
最後には結局コングにやられてゲームオーバー。……それまでストーリー性のなかったループゲームに、ストーリー性が出てきたがゆえの矛盾である。
私は、マリオがワイヤーを4本抜いてコングを落下させた時点で、ゲーム&ウォッチの電池を抜いて、強制的にゲームを終わらせる、ということをよくやっていた。
やはりこういう矛盾は、多くのゲームデザイナーも感じていたのだろう。その後のゲームは「スーパーマリオブラザーズ」のように、全ステージをクリアーしても最初の面に戻らず、エンディングが流されてゲーム終了となるものが、主流になっていったのだ。
「ドンキーコングJR.」登場
1983年、ファミコン誕生。
「ドンキーコング」は、「ドンキーコングJR.」「ポパイ」とともに、ファミコン第1弾ソフトとして発売された。
全4面のうち第2面(ベルトコンベア面)が削られていたものの、「ドンキーコング」や「ドンキーコングJR.」が家庭でプレイできるという魅力が、初期のファミコン人気を形作ったといっていいだろう。
ここで、「ドンキーコング」の続編、「ドンキーコングJR.」についても触れておこう。
アーケードでは「ドンキーコング」の翌年、1982年に登場。ドンキーコングの息子、ドンキーコングJR.が主人公。前作でマリオに敗れ、捕らえられた父親を救うため、JR.がマリオに立ち向かう。
そう、「スーパーマリオブラザーズ」以降のマリオしか知らない人にとっては、信じられない話かもしれないが、「ドンキーコングJR.」では、マリオが敵のボスなのだ。
JR.のアクションには、ジャンプもあるけれど、メインとなるのはツタの上り下り。1本のツタを上るより、両手で2本つかんで上った方が速く上れる。下りるときはその逆だ。「ドンキーコング」とはまた違ったアクションで、これもおもしろかった。
ちなみに、「ドンキーコングJR.」もゲーム&ウォッチに移植されている。
1画面の「ドンキーコングJR.」と、マルチスクリーンの「ドンキーコングII」、さらにはカラー液晶の、テーブルトップシリーズ、パノラマスクリーンシリーズでも発売された。
さらに、アーケードでは1983年、ファミコンでは1984年、「ドンキーコング3」が発売されている。
ハチを飛ばして花を狙うドンキーコングをやっつけるゲームだが、主人公はマリオではなくて、スタンリーという新キャラ。殺虫剤をかけてハチや毛虫を倒し、コングを追い払う。
前2作と比べると、アクションの多彩さに欠け、ステージごとの変化も乏しかったためか、あまり高い評価は得られなかった。
1990年代、そして21世紀へ
1994年、ゲームボーイ版「ドンキーコング」発売。
スーパーファミコンでゲームボーイソフトがプレイできる「スーパーゲームボーイ」を使うと、最大13色でカラー表示される(通常のゲームボーイソフトの画面は4色で表示)。
ステージは全部で101面。建設中のビルを飛び出して、船に乗ったり、ジャングルに分け入ったり、氷の上を滑ったりと、非常に多彩。また、マリオのアクションも増えていて、逆立ちやバック宙、ロープを使った大車輪などができる。
さすがに101ステージもあるので、ループゲームではない。最終面のドンキーコングを倒せば、晴れてエンディング画面が見られる。
アーケード版登場以来13年目にして初めて、「マリオとレディーのハッピーエンド」が、見られるようになったのだ。
同じく1994年、スーパーファミコンで「スーパードンキーコング」が発売された。祖父から名前を受け継いだ2代目ドンキーコングが、バナナを盗んだクレムリン軍団と戦う。
次世代ゲーム機(プレイステーション、セガサターン、3DOなど)の話題が華やかなりし頃、スーパーファミコンでもここまでできると言わんばかりに、3Dレンダリングを用いたキャラクターと、多彩なアクションで大ヒット。シリーズ化された。
そして2004年、ファミコン版「ドンキーコング」が、ゲームボーイアドバンスに移植された。ファミコン20周年を記念した“ファミコンミニ”シリーズの1作としてである。
12月2日に発売されるWiiには、ファミコンやスーパーファミコンなど、過去のゲーム機で発売されたゲームをダウンロードしてプレイできる、「バーチャルコンソール」という機能がついている。
多分「ドンキーコング」は、かなり早い段階で、供給されるソフトのラインアップに入ってくるだろう。
Wiiで初めて「ドンキーコング」に触れるユーザーも多くなると思う。25年前(ファミコン版は23年前)のゲームを、新しいユーザーがどう評価するか、今から楽しみだ。
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