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世界最大のゲーム競技イベント「WORLD CYBER GAMES2006」グランドフィナーレ「WORLD CYBER GAMES2006」

イタリア、モンツァにて5日間にわたって開催された「WORLD CYBER GAMES2006」(WCG)がついにフィナーレを迎える。気になる結果はいかに?

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サッカーゲーム「FIFA2006」の試合会場。実はここ、サーキットのパドック

 「BEYOND THE GAME」(ゲームを越えて)を合い言葉に2001年から開催されているゲームの国際競技イベント、WCG。今回、筆者は日本代表チームのリーダーとして現地へと赴いた。日本ではまだまだ馴染みの薄い「ゲーム競技イベント」ではあるが、その内容はどういったものなのか、改めてお伝えしていこう。

世界70カ国のゲーマーが1つ所に集う国際交流の場

 WCGの最大の魅力は、世界中のゲーマーが一堂に会し、オフラインでトーナメントを行うところにある。普段、オンラインでプレイしている顔を見たことのない相手と実際に会い、お互いの共通言語「ゲーム」から始まるコミュニケーションをとるというシーンは非常に興味深い。

 採用されているタイトルは前回ご紹介したとおり。なお、「スカッとゴルフ パンヤ」は今回参考種目として、日本・韓国・フィリピンの3カ国での対戦となった。

 今回のWCGはイタリア、モンツァ市がホストシティーとなり、全面協力の下に行われた。会場はF1発祥の地、モンツァサーキット。レース用のパドックに選手エリアを、ホームストレート上に特設ステージを設置したりと、その力の入れようは相当なもの。

 しかし、イタリア北部の10月の気候は非常に寒く、天候にも恵まれなかったため、屋外ステージでの試合を行う選手たちは、かじかんだ手をどう暖めるかが大きな問題となっていたようだ。

 筆者と同道していたXbox 360部門の選手たちは、他の国の選手たちからXbox 360のオンラインサービスXbox Liveのゲーマータグ(世界共通のプレーヤー名)を訪ねられたり、プレイスタイルについての情報を交換していたりと、大げさな言い方をすればゲームを軸にした世界交流を会場で行っていた。

 筆者も待ち時間にニンテンドーDSで遊んでいたところ、他の国の選手に声をかけられてゲームを一緒にプレイさせてもらい、それをきっかけにいろいろな話をすることができた。会場で見た限りでは、やはりニンテンドーDS人気はかなりのもので、そこかしこで無線プレイを楽しんでいる姿があった。

 基本的にほとんどの国の選手は英語を使用しているので、ある程度の英語能力があればコミュニケーションをとることは可能だった。また、アジア圏の格闘ゲームプレーヤーの多くは日本語を習得していたため、日本代表の「餅A」選手を中心に話が盛り上がっていた。

会場中央の特設ステージ。左右にある個室は「StarCraft」などの試合用のもので、実況が聞こえないようになっている。また、実況は、イタリア語、英語、韓国語などで行われていた
ミラノ市内では、様々な場所にこのような掲示があり、街全体でWCGのアピールを行っていた
「Project GOTHAM Racing3」の世界最速レコードホルダー「Handewasser」(右)と日本代表の「taka」選手。残念ながら2人とも予選突破はならなかったが、多くのプレーヤーから注目を集めていた

「DOA4」の試合風景。試合は自分のコントローラーを持ち込んでプレイする。また、選手によっては、ヘッドフォンを付けたり、軍手でプレイしたりと、そのスタイルは様々
試合エリアで時間つぶしがてらに、イタリアチームの選手たちと「マリオカートDS」をプレイする筆者。本場の「マンマミーア!(なんてこったー)」シャウトにちょっと感動

WCG2006閉幕、日本選手の試合は……?

 今回、日本人選手が参加しているタイトルはPCゲーム部門の「CounterStrike1.6」、「スカッとゴルフ パンヤ」、Xbox 360部門の「DEAD OR ALIVE4」、「Project GOTHAM Racing3」の4つ。早速ではあるが、気になる結果からお伝えしていこう。

 今回、予選が行われたタイトルの中で、もっとも注目を集めたのがXbox 360部門の「DEAD OR ALIVE4」。昨年、シンガポールで行われたWCG2005では、前作「DEAD OR ALIVE2:ULITIMATE」部門で日本代表の「活忍犬」選手が見事優勝を果たし、格闘ゲーム大国日本の強さを見せつけた。今年の日本代表は日本予選でその活忍犬選手を破って代表選出を果たした「餅A」選手。しかし、慣れない環境下での緊張もあってか、予選リーグで5勝2敗と、残念ながら本戦への通過ラインを突破することができなかった。

 続いてレースゲーム「Project GOTHAM RACING3」では、世界最速のレースゲーム集団「TTR」二名と同ブロックでの対戦となる「taka」選手。しかし、こちらも世界の壁は厚く4勝3敗と予選敗退。

 ヨーロッパ圏で人気のPCゲーム「CounterStrike1.6」に参戦したチーム「PARANOID」は、世界最強との呼び声も高いフィンランドチームと接戦を繰り広げるものの、惜敗。残念ながら正式種目での予選通過はかなわなかったが、参考種目として採用された「スカッとゴルフ パンヤ」では、「ゆーき(てんし)」が見事3位に入賞し、賞金4000ドルと本大会唯一のメダルを日本にもたらした。

 なお、全タイトルでの総合メダル取得数によって決定されるWCG2006総合優勝国はリアルタイムストラテジー「StarCraft」、「Dawn of War」、「WarHammer 40,000」で優勝を飾った韓国に決定した。

 なお来年のWCGは、マイクロソフトのお膝元シアトルで開催されることが決定している。興味のある方は、ぜひとも足を運んで頂きたい。

メインステージで大写しになる日本国旗。ナショナリズムをあおるわけではないが、こういった世界的なイベントで日本の旗を見るのは、やはり嬉しいものがある
スカッとゴルフ パンヤ 世界三位「ゆーき(てんし)」選手のコメント――。「韓国で行われた日韓戦から、連戦となっていたのでなかなか練習する時間がなかったのでちょっと調整不足でした。ただ、今回はフィリピンや、韓国の方と一緒にプレイすることができて、いい勉強になりました。また、この経験を踏まえてまた、日本でのパンヤシーンを盛り上げていきたいと思います」

WCG2006正式種目 試合結果

CounterStrike1.6
優勝TeamPentagram(ポーランド)
2位NIP(スウェーデン)
3位hoorai(フィンランド)

DEAD OR ALIVE4
優勝OffbeatNinja(カナダ)
2位DIVINO_XMAS(メキシコ)
3位arngrine(フランス)

Project GOTHAM RACING3
優勝TTRCh0mpr(アメリカ)
2位TTR_Mclaren_F1(スウェーデン)
3位TTR_FinPro(フィンランド)

FIFA2006
優勝hero(ドイツ)
2位ovvy(ルーマニア)
3位x4-alexx(ロシア)

Need for Speed
優勝USSRxAlan(ロシア)
2位USSRxMrRASER(ロシア)
3位Steffan(オランダ)

StarCraft
優勝IloveOov(韓国)
2位JulyZerg(韓国)
3位midas[gm](韓国)

WarCraft3
優勝SKYCN(中国)
2位Tod4k(フランス)
3位SK-HoT(ウクライナ)

WarHammer 40,000
優勝SeleCT(韓国)
2位deathgun(ブラジル)
3位sCa_Phoenix(ドイツ)

WCG2006を終えて……

 今回、筆者はWCG日本予選のXbox部門プロデューサーとして、今年の3月からWCGに携わってきた。本戦では日本選手団のチームリーダーとして選手と同じ宿舎に泊まり、同じバスで移動し、同じ食事を取り、WCGを選手の視点から見ることができた。そこで、気になる点をいくつか挙げておこう。

 まずは、試合スケジュールについて。全般的にスケジュール通りに試合が進行せず、選手控え室も用意されていないため、長時間にわたって試合エリアで選手は待機せざるを得ず、選手はモチベーションを維持するのが非常に難しい状態だった。

 また、Xbox360タイトルで気になったのはモニターの問題。操作のシビアなゲームをプレイするのには不向きなブラズマディスプレイが使用されており、操作と画面描画にずれがあるため、多くの選手が戸惑っていた。たとえ、全選手が同条件といえども、画面描画に遅延があるモニター(筆者の体感では3〜5/60秒程度)では誰しもいつも通りの実力を出し切れないだろう。「世界的なゲーム競技イベント」とうたうのであればこういった部分も今後はぜひ改善していただきたいところ。

 しかし、だからといってWCGが悪いというわけでは決してない。WCGのような世界規模のゲーム競技イベントの存在はゲームの文化的な地位向上のために必要不可欠なものだし、全世界をマーケットにしているゲームビジネスにとっても、利用価値の高いものだと思われる。日本ではまだまだこういった大会で収益を上げることは難しいのが現状ではあるが、来年はさらなる拡大を望みたい。

世界でもトップクラスの収入を誇るプロゲーマー「fatal1ty」もゲストで登場。多くのプレーヤーが憧れのまなざしで見つめる
会場の特設エリアでは、マイクロソフトやロジテックなどがブースを出展していた。未発売のタイトルをプレイできるマイクロソフトブースは多くの人々でにぎわっていた
開会式の一幕。筆者は日本のフラッグキャリアを務めさせて頂いた。ゲームをプレイしてからずいぶん時間がたったが、このような場所に立つことになるとは想像もできなかった

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