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インタビュー

MMORPGの入門編として障壁の低いオンラインゲームを目指す――「エンジェル ラブ オンライン」インタビューキューエンタテインメント&台湾UserJoy開発者インタビュー(2/2 ページ)

台湾のUserJoyが開発を手がけ、日本ではキューエンタテインメントが運営を担う「エンジェル ラブ オンライン」がまもなくサービスインしようとしている。今回は開発者にその幸運ななれそめと、本作の立ち位置について聞いてみた。

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左からUser JoyのJacky Chang氏、キューエンタテインメントの森健志氏と君塚靖征氏

―― 当初から日本を含め、他国での展開を念頭に置いていたのですか?

張氏 最初から日本を意識して製作していたのは事実です。ですから、ゲームが完成した段階で、日本のパブリッシャーを探す活動をしていたのです。そのタイミングがカチリと合わさったのでしょう。

―― 気になる日本での展開ですが、いつ頃サービスを開始する予定なのですか?

森氏 年内にはと考えています。ただ、クローズドβテストからではなく、いきなりオープンβテストとなるかもしれません。サーバー数などは未定ですが、ユーザーの動向を見ながら決定していこうかと。

―― 現在、台湾ではPvPなどが実装間近と聞きます。日本ではその時点での最新バージョンでサービスインするのでしょうか?

君塚氏 時期の問題もありますが、ほぼ最新バージョンでいきたいという希望は出しています。ユーザーのつきかたでアップデートの要素を検討していきたいなと。間に合う限りはできる限り入れ込んでいきたいです。

“試着”でキャラクターをぐるぐると回転させて確認できる

―― 日本での展開でなにか特別なオリジナル要素などは?

張氏 台湾版にも実装された“試着”の機能は、キューエンタテインメントからの要求によって追加したんです。日本向けの衣裳などもデザインしていますし、ゲーム内の仕様も台湾バージョンを修正して、日本市場に合わせています。具体的なキューエンタテインメントからの要望を現在検討している段階ですので詳細は言えないのですが。

森氏 “試着”はディレクターの君塚と相談し要求しました。それが1カ月やそこらで実装に漕ぎ着けたのは、驚きましたし、そのスピードに今後の期待感も高まりました。

通常、キャラクターが装備しているものとは別に、見た目だけ変更することができるというもの。重厚な鎧や大ぶりな剣を持ちながらも、ビジュアルは着物を着ていたり、セーラー服であったりとそのギャップを楽しめるようになっている

―― 日本向けのアイテムなどはどういったものでしょうか? すでに台湾版にもペーパードールシステムで使用できるアイテムの中に、着物など実装されていますが。

森氏 お約束ではありますが、衣裳や時期的な季節ものに関しては、台湾版から流用するものもあると思います。ただ、着物の振り袖バージョンやバレンタインなど、日本独自のものも当然お願いしようと考えています。クエストなども同様です。オバカアイテムもどんどん提供していきたいですね。

君塚氏 ペーパードールシステムは直接、キャラクターのステータスに影響を及ぼさないだけに、オバカアイテムは入れやすいんです。

―― 日本での展開において打ち出していきたい要素はどこでしょうか。

君塚氏 自分のキャラクターを“魅せる”という欲求を満たせるペーパードールシステムは強調していきたいですね。それに加え、チャットなどのコミュニケーションが充実している点でしょうか。ゲーム内でフレンドメールが送れたり、ギルドリスト表など、使いやすい機能も魅力です。それに加えて、オリジナルコンテンツなど……。コミュニケーションの強さとビジュアル、そして低スペックの3つを強く押し立てていきたいと考えています。

―― パブリッシャーとして本作で要求したい部分は?

森氏 これから実装されるものもありますが、大型のアップデートにより他タイトルにも負けないコンテンツとして成長していくかと思います。

張氏 ゲームの進行具合によりますが、今後も日本の市場に受け入れられるものを入れていきたいと考えています。

―― 今後どういったシステムを実装する予定ですか?

張氏 メインストーリーで新しいクエストを入れていきます。新しいダンジョンを作り、次なるボスモンスターを実装、あとは結婚システムを予定しています。マップの中に仲間しか入れない異次元空間のようなダンジョンを作成し、ボスと戦うというMO要素も検討中です。トリガーアイテムでモンスターが出てきたり。大きなアップデートは年間で3回くらい、4カ月に1回くらいでしょうか。PvPが入るほか、エピソードの追加などがすでに計画されています。

MMORPGの入門編にも最適

 本作は当初から10代を中心とした初心者向けに開発された経緯がある。森氏は個人的意見として、「オンラインゲーム市場が拡大していると言われていますが、蓋を開けて見るとユーザー数は爆発的には増えていません。それというのもプレイ準備が難しくなりすぎたことが一因だと思っています。Mixiしかやっていないなど、MMORPGに触れたことがない人にとってみれば、小学校で司法試験を受けているようなもの。だからこそ、低スペックで誰でも遊べ、コミュニケーションする楽しさを広めていきたいんです。だから、このゲームを介して他のオンラインゲームに興味を持っていただいたり。本作はそういう意味でも、MMORPGユーザーに楽しんでいただくのはもちろんのこと、MMORPG初心者には入門編となってもらえれば幸い。」と答える。低スペックで簡単に遊びたいという潜在MMORPGユーザーが、多数存在していると判断した。カジュアルゲームで国内トップを走るハンゲームとの提携もそういう意味ではうなづける。

 森氏は以前同窓会を開いた際、オンラインゲームを知る人が皆無だったと振り返る。最近、ようやく5〜6人と増えてきたのだと言う。現状、これだけと言うべきか多いと言うべきか判断するには早いのだが、まだまだ拡大する余地はあると推測している。PCの普及率も上がっているが、森氏の兄弟4人のうち、自分以外PCを持っていないというのは何も特別なことではないと語る。持っていない人たちは、コンテンツの存在すら知らないのだ。オンラインゲームに携わる人々は、そういう層への訴求を考えなくてはならないのではないだろうか?

公式サイトのゲーム内容に関する情報公開はある程度抑え、ファンサイトに育って欲しいと一同。公式サイトで紹介されていない部分をファンサイトが補完することでコミュニティの拡大になれば、と語る。大きなMMORPGになるほどそう言う傾向にあるとか。今後はギルドマスターやファンサイト管理人を招いての情報交換会など開きたいと意欲をみせる

 最後に森氏と張氏に本作に興味ある方々へのメッセージをいただいた。

森氏 今まで携わった中では経験をしたことのないゲームボリュームです。サービス開始を心待ちにしている人たちに、いち早く楽しんでもらえるように努力したい。

張氏 パブリッシャーがキューエンタテインメントに決まって安心している。ユーザーがいったん遊んだら、ずっと恒常的にプレイしてもらえるという自信がある作品ですので、どうか試しに遊んでみてください。

―― どうもありがとうございました。


UserJoyはビルのフロア2階分、約150人のスタッフが在籍している。開発1部が「ALO」を、開発2部が「オンライン三国群英伝」を主体とし、開発3部が「幻想三国志」や小説を原作とする「THE TWIN HEROES」を手がけている。台湾の朝は早いが夕方にもなると早々に引き上げるスタッフの姿を見かける。聞くところによると、作業効率的にも早朝からきっちり働き、夕方以降はきっちりプライベートを充実させているのだとか。台湾は夜市などが有名なことから深夜まで活気づいている。しかし、早朝から元気だったりもする。この溢れんばかりのバイタリティーが、本作開発にも色濃く反映されているようだ
(C)2006 UserJoy Technology Co., Ltd. (C)2006 Q ENTERTAINMENT INC.
※画面は開発中、もしくは台湾版Angel Love Onlineのものです。


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