絵本をめくるように物語を楽しむRPG:「Riviera〜約束の地リヴィエラ〜」レビュー(2/3 ページ)
過去にワンダースワンカラーとゲームボーイアドバンスで発売され、隠れた名作との呼び声も高い「Riviera」が、今度はPSPで登場。携帯ゲーム機でプレイすることを前提に考案された独自のシステムは、まるで絵本のページをめくって物語を読み進めるような感覚で楽しむことができ、他のRPGとはひと味違う。
アイテムの取捨選択が鍵を握る独創的なバトルシステム
移動や探索の方法があまりRPGらしくない「Riviera」は、戦闘シーンもまた一風変わっている。敵との戦闘はいわゆるターン制で、敵味方とも「WAIT値」が小さいキャラから先に動けるのだが、例えば「たたかう→○○ソード」だの「まほう→ファイア」といったコマンド選択方式のバトルとは大きく異なる。敵に遭遇すると、まず手持ちのアイテムの中から4つだけを選択することになる。戦闘中に使用できるのはその4つに限られ、しかも戦闘に参加するメンバー(最大3人)全員でそのアイテムを共用するというしくみ。武器や防具をキャラクターごとに“装備する”という概念が、このゲームにはない。
おもしろいのは、アイテムの役割が厳密に区分されていないということ。各アイテムのアイコンを見れば、それが武器なのか回復系アイテムなのかということは一目でわかるが、同じアイテムでも使用するキャラクターによっては効果が全く異なるものもある。
また、第2章の途中からは、戦闘に出撃するメンバーのフォーメーションを指示できるようになる。パーティは主人公のエクセルを含めて最終的に5人まで増えるが、戦闘時にはその中から3人を選び、敵の特性を鑑みながらフォーメーションや配置を考える必要が出てくる。
戦闘のたびにフォーメーションの指示とアイテムの選択をするのが、初めはやや面倒に思えたが、実はここに奥深い戦略性があり、そのことに気づくと戦闘が俄然おもしろくなってくる。敵にもさまざまなタイプのものがいて、攻撃方法や特性もめいめい異なるが、出現する敵に応じて最適なフォーメーションとアイテムを選ぶことで、少ないターン数で(アイテムの損耗も極力抑えながら)敵を倒せるようになるわけだ。
RPGなので、もちろんキャラクターの成長要素もあるが、Rivieraはこの点でも他のRPGと一線を画している。そもそも、このゲームにはキャラクターごとの経験値が存在しないため、ただ戦闘を繰り返しているだけではいつまでたっても成長してくれない。キャラクターではなく、個々のアイテムに経験値が設定されているので、アイテムを一定回数以上使い込むことでキャラクターのステータスが上昇していくのだ。言い換えると、新しいアイテムを入手したら、それを積極的に使うほどキャラクターの成長も早くなる。
また、一定回数以上使い込んだアイテムでは、「オーバースキル」を発動できるようになる。これは、いわゆる必殺技に相当するもので、通常攻撃よりも高い攻撃力を持つ。このオーバースキルも、使用するキャラクターとアイテムの組み合わせによって技が変化するので、新しいオーバースキルを習得するには、やはりさまざまなアイテムを使い込むことが重要。キャラクターよりもアイテムの方に重きを置いたバトルシステムというのが独創的で、実に興味深い。
戦闘終了時に、スコアとランクの判定が出てくるのもこのゲームの特徴。具体的には、戦闘に要した時間や、フィニッシュにどんな技を使用したかによって評価されるようだ。その評価に応じて、戦闘後に獲得できるアイテムやTPの数も変わってくる。戦闘だけでなく、イベントシーンでもスコアを獲得できる場面があり、それらは1つの章が終了した時点で累計される。スコアがゲームの進行に直接影響することはないが、スコアが算出されると無意識にも高得点を狙いたくなるのはゲーマーの性……?
もう1つ特徴的なのは、所持できるアイテム数の上限がわずか15個に制限されていること。普通にプレイしていても新しいアイテムはどんどん手に入るので、アイテムを入手するたびに「どれを捨てて、どれを残すか」で悩まされてしまう。実生活でも「これはもう使わないな」と思いながらも、もったいなくて物が捨てられない性格の私に、この選択はたいそう酷な仕打ちといえるかも……。そもそも、この先どんな敵が待ちかまえているかわからないだけに、何を残しておくのが有利なのかも見当が付かないまま、アイテムの取捨選択を迫られる。悩ましいながらも、これが「Riviera」のゲームバランスをちょうどよい加減にしている。使い慣れてきたアイテムを捨てるのは忍びないが、かといって新しいアイテムも積極的に使わないとキャラクターの成長が止まるわけだから、ときには思い切って捨て去ることも必要なのだ。
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