絵本をめくるように物語を楽しむRPG:「Riviera〜約束の地リヴィエラ〜」レビュー(3/3 ページ)
過去にワンダースワンカラーとゲームボーイアドバンスで発売され、隠れた名作との呼び声も高い「Riviera」が、今度はPSPで登場。携帯ゲーム機でプレイすることを前提に考案された独自のシステムは、まるで絵本のページをめくって物語を読み進めるような感覚で楽しむことができ、他のRPGとはひと味違う。
キャラクターの魅力にぐいぐいと引き込まれる
「Riviera」をプレイしていて最も感心したのは、キャラクターの個性がしっかりと描き分けられていて、そのどれもが魅力的に映ること。主要キャラクターがみな愛らしく、バストアップで表示されるビジュアルも表情豊かでかわいらしい。今回のPSP版では声が付いたことで、キャラクターがより生き生きとしているように感じられる。大量に追加されたイベントCGも、繊細なタッチでていねいに描き込まれていて、本当に美しく、見応えがある。
ストーリーは、良くも悪くもオーソドックスで、何となく先が読めてしまう場面こそあったが、章が進むにつれて徐々に盛り上がっていく展開はなかなか見事。神界から遣わされたエクセルと、リヴィエラの精霊たちが絆を深めていく様がほほえましく、ときにドタバタ劇あり、ときにしんみりとするエピソードも交えながら、心温まるようなおとぎ話が進んでいく。また、このゲームには恋愛シミュレーション……と呼べるほど本格的でもないが、それに近い要素を含んでいる。ところどころで現れる選択肢や、戦闘時のフィニッシュを誰に任せるかなどによって、各キャラクターの好感度が変動し、それがエンディングにも影響してくる。
「携帯ゲーム機で手軽にプレイできるRPG」という着想と、そのために考案された移動・戦闘などのシステムがよく練られている点が評価できる。残念なのは、セーブが各マップを抜けたときにしかできず、途中で中断できないこと(PSP本体のレジューム機能を使うという手はあるが)。また、戦闘の回数自体はそれほど多くないものの、1回の戦闘が長引きやすいことと、セリフの言い回しにも少し気になる部分はあったが、総合的に見ればていねいな作りで満足感は高い。「バロック」に代わるスティングの代表作として、長く心に残りそうな作品だと思う。
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