「SDガンダム スカッドハンマーズ」――ハンマーをデザインした大河原邦男氏に直撃インタビュー:+D GUNDAM その4 Wiiリモコンでガンダムハンマーを振り回せ!(1/2 ページ)
+D GUNDAMにまたも大物ゲストが登場! 連載4回目にして、早くもモビルスーツの生みの親でもあるメカデザイナー大河原邦男氏へのインタビューが実現した。Wii本体と当時発売のソフト「SDガンダム スカッドハンマーズ」で、ハンマーのデザインとキービジュアルを担当した大河原氏に、このゲームについて語ってもらった。
12月2日にWii本体と同時発売される「SDガンダム スカッドハンマーズ」は、Wiiリモコンの特性を生かして、リモコンを振り回して敵モビルスーツを倒していく爽快感あふれるアクションゲーム。出てくるガンダムの武器はハンマーのみで、劇中に登場したガンダムハンマーはもちろん、電撃をまとったエレキハンマーや、ヒットすると爆発するボムハンマーなど、さまざまな機能を持ったハンマーたちがこのゲームの最大の特徴であり魅力なのだ。
そのハンマーのデザインを担当したのが、数々のモビルスーツを生み出してきたあの大河原邦男氏だ。ユニークな形や機能を持ったハンマーたちは、大河原氏のストレートな表現力で形となり、ゲーム自体の爽快感や楽しさの部分に大きく影響を与えている。
今回は、なんとゲームの発売を前に大河原氏へのインタビューが実現。ハンマーをデザインする上での裏話など貴重な話を多く聞くことができた。また、大河原氏がメカデザイナーとして長きに渡り前線で活躍できている秘訣も公開!?
見た目で機能が分かるようなストレートなデザインのハンマーたち
――月刊ガンダムエース(角川書店刊)で連載中の「大河原ファクトリー」では、ガンダムに関連するアイテムのデザインや制作をされていますが、今回のこの「SDガンダム スカッドハンマーズ」に登場するハンマーのデザインをされたきっかけは、そのあたりとも関係あるのでしょうか? 今回のガンダムハンマーのデザインというのが、あのページに通ずるものがあるのかなと感じたのですが。
大河原邦男氏(以下、敬称略) 今回のハンマーのデザインに関しては、まずゲームの企画が先にあってスタートしたものですね。僕の場合、自分がデザインするものは自分で立体にできるというやり方なんです。昔から商品になるってことが僕の仕事で一番重要なところだったので、今回のハンマーも、自分で形にできるという一番ストレートで誰が見ても分かるようなデザインにしました。
――今回のゲームでは、全部で何種類のハンマーをデザインされたんですか?
大河原 10種類かな。本当は9種類だったんですけど、打ち合わせの場で1種類増えて(笑)。
――ガンダムハンマーにいろいろ要素を加えてデザインされたわけですが、デザインする上で注意された点や、心がけたことなどはありますか?
大河原 「機動戦士ガンダム」というのは一応リアルな世界観の中にあって、ガンダムハンマーはその中であえていろいろな武器が必要だということで加わったものですので、実はデザインした当時はそれほど真剣に考えてないんですよね(笑)。まあ、ハンマーだったらトゲトゲがついていればいいんじゃないかと。
それで今回のゲームに関しては、まさにハンマー自体がポイントになっているわけですが、あまり科学的なことは考えないで、ビジュアル的に目的やアクションがストレートに伝わるデザインにして、誰もが“どこかで見たような部分”というのは入れ込んでデザインしました。ただし、オファーの時点でハンマーの詳細がすでに書いてありましたし、アイディアラフも入っていたので、そこを僕なりにストレートに「ヤッターマン」のノリでデザインしたというとこなんですけどね(笑)。
――ある程度のハンマーの機能やデザインの詳細が企画段階であったということですが、デザインしていく中でふくらんでいったアイディアというのはありますか?
大河原 僕のデザインのやり方というのは、先ほども言ったように“見なれたものがどこかに入っている”ということです。感覚的ではなく具体的に、変化球は投げずにいつもストレートを投げるという仕事のやり方をしているんで、文字で説明しないと分からない形というのは、アニメーションもそうですけど、僕にとっては邪道なんです。
――具体的にいくつかのハンマーについてお聞きしたいのですが、まずは「エレキハンマー」ですが、これは電柱をイメージされたんですか?
大河原 変電所とかに「碍子(がいし)」がありますよね。昔から、電気というと碍子みたいな印象があって、今でも送電線には碍子がありますよね。ああいうデザインにすると、電気が出て火花が飛ぶんじゃないかとか、そういうところからきているんですけど。
――「ショックハンマー」もユニークなデザインですね。
大河原 ショックハンマーは頭を叩かれたら星が出るっていう(笑)。あとはピコピコハンマーを取り入れてハンマーにしたということで。
――「ハロハンマー」では、ハロに歯があるんだと衝撃的な事実が明かにされたわけですが。
大河原 ハロというのはもともとペットのロボットなんで、誰が持っていてもおかしくないんですよね。「機動戦士ガンダムSEED」ではあらゆる色のハロが出ているし、バンダイさんのほうでもいろいろなハロを作っているし、歯があってもいいんじゃないかと。それと、ハロというのは完璧な玩具で、誰がどう遊ぼうがいいんではないかと思ったので。もともと球だし。本当はギザギザの歯を付けようと思ったんだけど、ちょっとかわいさがなくなってしまうんで、うさぎっぽい歯にしてみたんです。ただ、このハロハンマーを本当に使うとは思っていなかったんですけどね(笑)。
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