長い長い「ストリートファイターII」の話:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)
連載35回めにして初めて、カプコンのゲームを取り上げます。「ストリートファイターII」です。とにかく書きたいことがいっぱいあるので、特に文章全体の分量やまとまりなどは考えずに、思いつくままに書いてみました。
熱唱!! ストリートファイターII
「ストリートファイターII」は、BGMもまた良かった。ファイター全員にテーマ曲があるのだが、それぞれのイメージに合った曲ばかり。前奏でもう、それぞれの世界に引き込まれる。
それに、メロディーラインがはっきりしていて、覚えやすいのもいい。
ゲームミュージックCDももちろん発売されたが、そのほかに、ユニークなCDも登場した。その名も「熱唱!! ストリートファイターII」。ゲームのBGMに歌詞をつけ、12人のアーティストが歌った、ボーカルアルバムだ。
例えば、ケンのテーマを影山ヒロノブさん、ダルシムのテーマを戸田誠司さんが歌っている。
春麗のテーマは宮前真樹さん、リュウのテーマは山本淳一さんがそれぞれ歌い、アイドル歌謡っぽくなっている。
ブランカのテーマを歌うのは電撃ネットワーク。音楽CDなのに、間奏中にロケット花火を披露。
ザンギエフのテーマを歌うのは島木譲二さん。音楽CDなのに、間奏中に大阪名物パチパチパンチを披露(しかもあのYOUさんが、コーラスとツッコミを担当している)。
歌詞もすばらしい。ケンやガイルなど正統派の歌詞もあるが、ブランカのテーマの歌詞がブッ飛んでる。ブランカが街で暴れ出して、人々が逃げ惑うという内容なのだ。作詞した櫛田理子さんがすごいと思う。
こんな企画CDが発売されたことも、「ストリートファイターII」の人気の高さを物語っている。
音楽といえば、アニメ映画「ストリートファイターII」の主題歌が、篠原涼子さんの大ヒットナンバー「恋(いと)しさとせつなさと心強さと」だった。小室ファミリーがその後の音楽界を席巻するきっかけとなったこの曲にも、「ストリートファイターII」がかかわっていたことになる。
映画といえば、ハリウッドで実写映画化されたこともある。主役がガイルで、演じていたのがジャン=クロード・ヴァン・ダム。また、カイリー・ミノーグがキャミィを演じていた。
ちなみにガイルは1960年生まれという設定で、ヴァン・ダムと同い年だ。
私は、この映画を見たことはないが、映画のキャストで作られたゲーム「ストリートファイター リアルバトル オン フィルム」をプレイしたことがある。
何といっても、映画オリジナルキャラクターの、キャプテン・サワダが濃かった。必殺技に「獄殺自爆弾」というのがあって、これが何と「自らハラキリをして、飛び散った血で攻撃する」という壮絶なもの。
ほかにも「忍法神隠し」とか「カミカゼアタック」とか「サワダスペシャル」などの必殺技があったが、もう今ではハラキリしか印象に残ってない。
なかなか「III」にならなかったシリーズ
1992年、アーケードに「ストリートファイターIIダッシュ」が登場。「II」ではボスキャラ的存在だった四天王も、プレイヤーキャラとして使えるようになった。
さらに同年、「ストリートファイターIIダッシュターボ」が登場。ゲーム全体のスピードが速くなった。また新しい技もいくつか追加されている。
グラフィックが全面的に描き変えられた「スーパーストリートファイターII」(1993年)では、キャミィ、ディージェイ、フェイロン、サンダーホークという、4人のファイターが新たに加わった。
「スーパーストリートファイターII X」(1994年)では、攻撃などをしてパワーを貯めると使える必殺技“スーパーコンボ”が追加された。
……と、このように、新作が出ても出てもタイトルは「II」のままで、なかなか「III」にならないシリーズだった。それだけ「ストリートファイターII」というタイトルが、影響力を持っていたといえるだろう。
結局「ストリートファイターIII」は、「ストリートファイターZERO」「ストリートファイターEX」などが出た後の、1997年まで登場しなかった。
一方で「ストリートファイターII」は、家庭用ゲーム機でも高い評価と人気を得て、大ヒットとなった。
特に、1992年に発売されたスーパーファミコン版である。16ビットCPUの家庭用ゲーム機で、よくあれだけアーケード版の雰囲気を再現できたと思う。国内で290万本、世界で630万本という、驚異的なセールスを記録した。
また、PCエンジンに「ストリートファイターIIダッシュ」が移植されている。8ビットのゲーム機で、しかもCD-ROMではなくHuカードでの発売が実現したのは驚きだった。
1993年、スーパーファミコンとメガドライブに、「ストリートファイターIIダッシュターボ」を基にしたゲームが発売されている(それぞれのタイトルは、「ストリートファイターIIターボ」「ストリートファイターIIダッシュプラス」)。
翌1994年には、スーパーファミコンとメガドライブに、「スーパーストリートファイターII」が移植されている。私もあらためて、持っているスーパーファミコン版をプレイしてみたが、これはもうスーパーファミコンのレベルじゃない。
アーケード版は「ストリートファイターII」より性能の高いシステム基板を使っているが、そのアーケード版を、決して遜色ないレベルで再現しているのだ。
その後、家庭用ゲーム機は、いわゆる“次世代ゲーム機戦争”の時代に突入する。今、Wii、プレイステーション 3、Xbox 360の競争がこう呼ばれることがあるが、13年前には32〜64ビット機が“次世代ゲーム機”と呼ばれていた。
「スーパーストリートファイターII X」は3DOに移植されたが、3DO自体が結局あまり普及しなかった。
プレイステーションやセガサターンに移植されたのは、1997年となった。当時の新作「ストリートファイターZERO2ダッシュ」と、「スーパーストリートファイターII」と「II X」がセットになり、「ストリートファイターコレクション」として発売されている。
また1998年、カプコンの昔の作品をまとめた「カプコン ジェネレーション」シリーズの第5集として、「ストリートファイターII」と「ダッシュ」「ダッシュターボ」が移植されている。
2003年、シリーズ15周年を記念して、プレイステーション 2で「ハイパーストリートファイターII」が発売された。「ストリートファイターII」から「スーパーストリートファイターII X」までのファイターを使用でき、同じファイターでもバージョンごとに、操作方法や技の強さなどが微妙に異なる。後にアーケードとXboxに移植された。
2006年、プレイステーション 2で発売された「カプコン クラシックス コレクション」は、「カプコン ジェネレーション」シリーズ全5集に収録されたソフトをまとめて、さらに6タイトルを追加したもの。
「ストリートファイターII」「ダッシュ」「ダッシュターボ」、そして、当初は「ストリートファイター'89」として開発されていた、「ファイナルファイト」も収録されている。
そして同年12月、Wiiのバーチャルコンソールに登場。いわばWiiのローンチタイトルである。
登場から16年、「ストリートファイター」(I)登場から数えるとちょうど20年。「対戦格闘ゲーム」という新たなジャンルを確立した「ストリートファイターII」は、今なおゲーム業界で、存在感を示している。
ちなみに「ストリートファイターII」は、夏帆さんや樋井明日香さん、亀田三兄弟の三男・和毅さんと同い年。
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