次世代ハードでさらなる速さを身につけた15年目のソニック:「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」レビュー(4/4 ページ)
2006年は、セガを代表するゲームキャラクター「ソニック」の生誕15周年。そのアニバーサリーイヤーを飾る作品が、プレイステーション 3とXbox360で登場した。次世代ハードという新たなステージで、ソニックはその速さにますます磨きをかけている。
キャラクターの魅力は引き立っているが、詰めの甘さも……
原点回帰を匂わせるタイトルや、次世代ハード初のソニックということもあって期待感は大きかったが、率直なところ、まだプレイステーション 3という新しいハードを使い切れていないかな、という印象だ。グラフィックは高水準で、とりわけムービーシーンは目が覚めるような美しさに見入ってしまう一方で、プレイ中はポリゴンのオブジェクトが眼前にぼこぼこっと現れたり、一部で処理落ちする場面もあるのが残念。また、ローディングがかなり長いことも難点で、特にミッションに入る際には、長いローディングで待たされたあと、たった一言の説明があってまたローディングとなるなど、さすがにこれには閉口してしまう……。
個人的にもっとも気になったのが、カメラワークのまずさ。演出の一環で、プレイ中はカメラアングルがダイナミックに切り替わるが、これがプレイに支障を来している面がある。例えば、ワイド画面表示なのに敵が視界に入らないことがよくあり、敵が見えない状態で攻撃する羽目になったり、ジャンプ中にカメラアングルが大きく変わってしまい、向かった方向に着地できずに転落してしまうこともあって、どうにもストレスがたまる……。
ただ、ソニックをはじめとした主要キャラクターたちはより生き生きとした印象で、魅力いっぱい。モデリングやモーションもぐっとよくなり、ちょっと小生意気で、かっこつけたがりで、だけど不思議とかわいいソニックを大いに堪能できた。人間の少女が登場することについても、古くからのソニックファンの見方はおそらく二分されるだろうと思うものの、わたしはさほど違和感を覚えることがなく、むしろエリスとのやりとりにソニックの意外な一面を垣間見たような気がして、何だか微笑ましく思った。
3人のヘッジホッグが複雑に絡み合うストーリーもよくできているし、シルバーの超能力アクションに従来のソニックシリーズとはひと味違う楽しさを感じられる。何より、今回のソニックの速さはシリーズ最速と思えるほどで、最初のアクトステージをプレイしたときには、思わず「お、わわわ!?」と言葉にならない声を上げてしまったくらい。今作で気になった部分は次回作での改善を期待しつつ、ソニックにはこれからもビュンビュンと走り回ってほしい、というのがソニック歴15年になったわたしの願いだ。
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