プレイステーション 3でじわじわと売り上げを伸ばす、イギリス生まれの痛快レースゲーム:「MotorStorm(モーターストーム)」レビュー(2/3 ページ)
発売以来、セールスを着々と伸ばして、ロングセラーとなりそうな気配を見せる「MotorStorm(モーターストーム)」。グラフィックの美しさや、最大7.1chのサラウンド出力もさることながら、さまざまなタイプの車が入り乱れて悪路を爆走するというのが、理屈抜きにおもしろくてクセになりそう……。
「モーターストーム」では、全部で7種類のマシンが登場し、それぞれに特性や操縦性が異なる。例えば、最軽量の「バイク」は加速性に優れ、小回りも利くが、耐久力が低いゆえライバルカーとの接触に弱い。一方、重量がある「マッドプラッガー」は、スピードでやや劣るものの、路面対応力はずば抜けて高く、どんな悪路もものともしない安定感が魅力。そして、同じコースでも走行可能なルートはいくつもあるので、自分が搭乗するマシンの特性を生かせるルートを探し出せば、レース展開をより有利に運べるというわけだ。
このゲームで一番の見どころは、やはりクラッシュシーンだろう。ライバルカーや壁などと接触するたびに自分のマシンは少しずつ壊れていくが、マシンの耐久力を超えるダメージを負うと、画面がスローモーションになって、車が大破する様子をさまざまなアングルから見せる演出が入る。
これと似た演出は、エレクトロニック・アーツの「バーンアウト」シリーズにもあったが、「モーターストーム」のクラッシュシーンはマシンの壊れる様が尋常でない……。マシンを構成していたパーツが無数の破片となってばらばらっと飛び散り、バイクやATVではライダーが宙に投げ出され、地面に強く叩きつけられる。こうした表現も綿密な物理計算によって描かれ、ただでさえ画面がリアルなだけに、「もしも本当にこんな事故に遭遇したら……」と想像するだけでぞっとするほどいたましい光景……。そのはずが、どういうわけだかこれがちょっとあぶない快感を誘い、奇妙なことにカタルシスまで感じさせてしまう。このゲームをプレイし始めて、最初にクラッシュシーンに出くわしたときこそ唖然としたが、それがいつしか薄ら笑いに変わってくる。我ながら空恐ろしい感覚と思うが、妙な気持ちよさがあって、その魅力に抗えない。
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