プレイステーション 3でじわじわと売り上げを伸ばす、イギリス生まれの痛快レースゲーム:「MotorStorm(モーターストーム)」レビュー(3/3 ページ)
発売以来、セールスを着々と伸ばして、ロングセラーとなりそうな気配を見せる「MotorStorm(モーターストーム)」。グラフィックの美しさや、最大7.1chのサラウンド出力もさることながら、さまざまなタイプの車が入り乱れて悪路を爆走するというのが、理屈抜きにおもしろくてクセになりそう……。
最後まで何が起こるか分からない展開がエキサイティング
「モーターストーム」では、急加速を可能にする「ブースト」も用意されていて、このブーストの使いどころも勝敗を大きく左右する。ブーストをうまく活用すれば多数のライバルカーを一気に抜き去ることもできるが、長く使い続けるとエンジンの温度が上昇し、それが限界値に達するとマシンがクラッシュしてしまうという諸刃の剣でもあるところがおもしろい設定だ。また、□ボタン(標準のボタン設定の場合)でクラクションを鳴らしたり、バイクやATVの場合は近くを走行するライバルカーを挑発したり、素手で相手のライダーを攻撃したりと、レースゲームらしからぬアグレッシブな行動も取れる。
ゲームの難易度はやや高く、プレイし始めてからしばらくはLevel 1のレースでも3位以内に入賞するのは至難の業。だが、それもアンバランスさを感じさせるものではなく、搭乗するマシンの特性やコースの形状が頭に入ると、自分がみるみる上達していくのが分かり、上位にも食い込めるようになる。
中でも感心させられたのは、最後の最後まで何が起こるか分からないスリリングなレース展開が楽しめるということ。例えば、クラッシュについても、そのレース中に一度や二度クラッシュしたからといって上位入賞の望みが絶たれるわけではなく、最後の周回で最下位から逆転勝利ということも十分可能。よく見ていると、CPUが操作するライバルカーも常に完璧な運転をするとは限らないようで、ライバルカー同士で激しいバトルを繰り広げていたり、運転ミスで壁に激突していたりするのがおかしい。その混乱に乗じて上位に躍り出るなど、同じレースでもプレイするたびに展開が大きく変わる。
惜しまれるのは、オンライン対戦も、画面分割によるオフライン対戦にも対応していないことだ。この内容で対人戦ができたらさぞおもしろいだろうと思うだけに、これは本当に残念……。今春発売される予定の海外版ではオンライン対戦もできるようだが、願わくば日本版もオンラインアップデートで追加してほしい。また、このゲームの映像出力は720pが最大で、1080i/1080pに対応していないことも気になる。720pでも申し分のない美しい映像を楽しめるのだが、D3(1080i)対応のHDTVでプレイする場合、D4(720p)での出力ができないため、解像度の低いD2(480p)出力になってしまう。
なお、この「モーターストーム」は、プレイステーション 3のワイヤレスコントローラ(SIXASIS)に搭載されている6軸検出システムにも対応していて、「SET UP」メニューかレース中のポーズメニューで「Motin sensor」をオンに切り替えると、コントローラを傾けてハンドルを操作できるようになる。
「モーターストーム」には、やや過激な描写も見られるものの(それがある種の爽快感や高揚感につながっていることも事実……)、フォトリアリティを追求した高品位映像や臨場感にあふれるサラウンド音声を存分に楽しむことができ、プレイステーション 3という次世代ハードらしさがストレートに伝わるものに仕上がっていると思う。価格も5980円(税込み)と、プレイステーション 3のソフトの中ではリーズナブルな設定になっていることもうれしい。操作もかなり簡略化されているので、レースゲームをあまりプレイしない方にも遊びやすいだろう。初期タイトルでこれだけ高い完成度を見せつけられたら、文句なしに“お勧め”と思える。モーターストームの公式サイトでは、新しいプロモーションビデオも公開されているとのことなので、持っていない方はまずそちらをご覧になってみてはいかがだろうか。
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