最強のモンスターマスターを目指して、おなじみのモンスターたちと島めぐり 〜そして大会へ……:「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー」レビュー&イベントリポート(2/3 ページ)
本作は、歴代「ドラゴンクエスト」のモンスターをつかまえて育成できる人気シリーズの最新作。モンスター配合、スキルシステムなどによる奥深い内容が、ユーザーのやり込み心を刺激するタイトルだ。レビューとともに、先日行われた本作の編集者対抗大会の模様もお伝えしよう。
スカウトして、配合して、スキルつけて、えーっとえーっと……考え出したら止まらない魅惑の育成システム
フィールド上にいるモンスターをつかまえるには、手持ちのモンスターの力を借りる必要がある。これが「スカウト」という要素だ。主人公はスカウトリングと言う特殊なアイテムを持っている。コマンドでスカウトを選択することでスカウトリングの能力が発動し、手持ちのモンスターに不思議な力が宿る。手持ちのモンスターが敵のモンスターにスカウト攻撃を繰り出すことでスカウト成功率が上昇していき、スカウトの成否が決まる、という流れだ。
もちろんスカウト成功率が100%なら確実にスカウトできるのだが、最初はそんなにうまくいかない。20%や30%までしか成功率が上昇しないなんてこともよくある。20%でも成功する時は成功するし、80%でも失敗する時は失敗するという、当たり前の結果が訪れる。このスカウトできるかどうかを待っている時間というのが、何とも言えない緊張感があってたまらない。成功率が数値化されるというアイデアが秀逸だ。攻撃力のあるモンスターがスカウト攻撃をすればスカウト成功率もより高くなるので、モンスターを育てるモチベーションにもつながっている。
モンスター育成もまた楽しい。敵モンスターを倒して経験値を得ればレベルが上がっていくのは、その他のRPGと同じくワクワクする要素だ。戦闘をしたモンスターのみならず、戦闘に加わっていない控えのモンスターにも若干の経験値が入るので、レベル1のまま放っておいたドラキーが、いつのまにかレベル50になっていた、なんてこともありえる。この要素がプレイのテンポを上げており、本作のハマってしまう面白さに貢献していると言える。
本作のモンスターたちは、一定のレベルになるとスキルポイントがもらえる。このスキルポイントを最大3つまで所持できる「スキル」に振り分けていくことで、さまざまな「とくぎ」を習得する。レベルを上げる、スキルポイントを得る、とくぎを覚える、という一連の流れが繰り返されるわけだが、スキルの種類、とくぎの種類というのが実に多彩なので、なかなか飽きの来ないシステムに仕上がっている。
そして何と言っても本作の魅力の要となっているのが配合だ。これは別種族の♂(オス)と♀(メス)のモンスターをかけあわせることで、その2匹はどこかに去っていってしまうが、まったく異なるこどものモンスターが誕生するという本作独特のシステム。オスのスライムとメスのドラゴン系モンスターの配合でドラゴスライム(合計3つの配合結果が出るので、その中から選べる)など、多種多様な配合パターンがあり、配合したモンスターにさらに別のモンスターを配合することでより強いモンスターを生み出すこともできる。
組み合わせによって特殊な配合もあるので、それらを見つけるのも楽しみのひとつだ。また、最初はスライムやドラキーなどの非力なモンスターでも、配合して子どもの子どもの子どもを……とどんどん色々なモンスターと配合していくと、アークデーモンが生まれたり、ギガンテスができあがったりというのが面白い。このわらしべ長者のようなシステムにいったんハマってしまうと、抜け出せなくなってしまうのだ。「これとこれであれになったから、今度はあれとこれを配合してみようか」と頭の中が配合の計画で埋まり「じゃあ、今度はあれを配合したいから、あの島に行ってあいつをスカウトしてこなくては!」と日夜モンスターをつかまえては配合しまくっているプレーヤーも数多くいることと思う。かく言う筆者もスカウトと配合に明け暮れて、寝不足な日々が続いている。
配合にハマり「より強いモンスターがほしい」ということになると、避けては通れないのが前述した「スキル」と「とくぎ」だ。配合によって生まれたモンスターは、両親であるモンスターが持っているスキルから3つだけ選んで覚えることができる。また、両親があるスキルをマスター(スキルポイントが上限まで振り分けられている状態)していると、子どもの選択できるスキルに新しいスキルが登場するなどの特殊なケースもある。
実はこの「どのモンスターにどのスキルをつけて、どのとくぎを習得させるか」というのが本作でもっとも奥の深い部分だ。戦闘を行う3匹のモンスターの中に、ベホマなどを唱える回復役はいるのか。敵をステータス異常にするとくぎは、味方のステータスを補助するとくぎは、そして攻撃呪文や特殊攻撃は誰が持っているのか……。これらを吟味していくと、かなり深く考察・検証・実践ができるほどに、本作のシステムは懐が深いものに仕上がっている。各モンスターのステータスには、「こうげき」が高いとか「かしこさ」が高いなどの個性があるので、適材適所で効果的なスキルを身につけさせれば、より強くより楽しいバトルを味わうことができるに違いない。
対人戦こそモンスターバトルの華! 〜すれちがってもバトル、全国の誰かともバトル
まだ見ぬモンスターを手に入れるために島から島へと東奔西走する冒険は、物語が終わったあとも続く。モンスターをコンプリートするためにひたすらスカウトし、配合するというのも一興だ。そして本作の面白さは、前述した「誰にどのとくぎを持たせるか」という、やり込み要素の延長線上にある対人戦にこそあると言っていいだろう。
レベルを上げ、強いスキルを覚えさせ、鍛えに鍛えた自慢のモンスターを、同じく負けるはずがないと信じて鍛えた上げた友人とガチンコで勝負させる。この楽しさに目覚めると、やり込みに拍車がかかること請け合いだ。本作の対戦はDSワイヤレス通信で行うことができる。プレイできるのは、ほんかくバトルとかちぬきバトルの2種類。ほんかくバトルでは1対1のバトルをさまざまなルールで楽しめる。そして、かちぬきバトルは3人以上でのランダムマッチ。3人以上いるなら、ぜひプレイしてほしいモードだ。また、DSワイヤレス通信ではモンスターの交換もできる。
本作の通信と言えば忘れてはならないのが「すれちがいバトル」。すれちがい待機状態で電源を切らずにニンテンドーDS本体を持ち歩いていると、本体を同じ状態にしている見知らぬプレーヤーと接近したときにデータの交換を行い、次に本体をパカッと開けたときにバトルすることができるのだ。このバトルではスカウトも可能なので、ほしいモンスターがいたら思い切ってスカウトを狙ってみるのもいいかもしれない。ただし、すれちがいバトルでスカウトしたモンスターには、GUESTというマークがステータス画面についており、後述するジョーカーズGPに出場できないなどの制限があるのでご注意いただきたい。
実際に筆者がすれちがいバトルを挑んでみた結果だが、まずは秋葉原でのすれちがい挑戦。こちらはやはりゲームファンも多いのか比較的高確率、かつ早くすれちがいができた。新宿駅近辺も秋葉原ほどではないが、何度かのすれちがいに成功。地元の某駅では1度もすれちがうことができなかった。今までのすれちがい通信対応タイトルと同じような状況ではあるが、都市部やメインターミナルの周りでは、すれちがいの確率が格段に上がると言っていい。本編でなかなか出会えないモンスターを、相手が持っている可能性もかなり高かったので、街に繰り出す際は迷わずすれちがい待機状態にしておくことをオススメしておきたい。
周りに本作をやっている友人がいない、自分の育てた強力な3匹を誰かと戦わせたい、というプレーヤーにはニンテンドーWi-Fiコネクションを利用してプレイできる、ジョーカーズGPという選択肢もある。これは、12時から24時の間に自慢の3匹のデータをアップロードすることで、毎日更新されるランキングに参加できる、というもの。その日送ったデータは翌日のランキングに反映される。ランキングの上昇や下降に一喜一憂してしまうことだろう。
また、ランキングに登録したあとはジョーカーズGPバトルに挑むことになる。ここでは一定の法則で選ばれた5組のチーム(誰かが前日に登録したチーム)と思いっきりバトルすることができる。1回戦から5回戦まで、勝ち進むたびにゲーム内で役立つアイテムやモンスターがもらえるので、腕試しもできるうえに何かとお得なモードだ。自分が勝てなかった強いキャラを見て「あのモンスターを作りたい!」とモチベーションを上げるもよし、「こいつにこのとくぎを使わせるのかーっ」とバトルの研究材料にするもよし。毎日景品も変わるので、Wi-Fi環境があれば積極的に挑んでほしいところだ。
全国の強キャラと戦えるジョーカーズGPは大変魅力的だ。しかし、せっかくのWi-Fiなのだから、従来の対応タイトルの事例にもあるようにフレンドコードを交換しての対戦やランダム対戦、モンスター交換なども実現してほしかった。モンスターの豊富さ、スキルや戦略の多彩さがかなりよくできているだけに、これは本当に残念。Wi-Fiでのより広がった遊びに関しては、今年発売が予定されている「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」など、今後の作品に期待したい。
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