惨劇は進化する――舞台をPS2に変えた“正解率1%の謎”の魅力:「ひぐらしのなく頃に祭」レビュー(3/3 ページ)
口コミやインターネットからうわさが広がり、異例の大ヒットとなった同人PCゲーム「ひぐらしのなく頃に」が、プレイステーション 2版で登場した。制約がなく、幅が広い表現ができる同人作品から、規制のある家庭用ゲーム機へと変わることで、本作の魅力はどう変わったのだろうか。
惨劇に萌えろ
散々怖いと言ってきたが、前半パートはほとんどギャルゲーのノリであった本作。登場キャラクターもシナリオに見合うくらい萌え萌えに描かれている。萌えがあるのならBLにだって評価する筆者。独断と偏見で、星5つからなる萌え度の別呼称“お持ち帰りぃ〜☆度”で評価してみた。
なお本作は、一部のヒロインたちの豹変ぶりも見所だ。そこで、レナと魅音に豹変度をつけている。
竜宮レナ CV:中原麻衣
引っ越してきた圭一の世話を焼く、同級生の女の子。かわいいものや人に目がなく、手当たりしだい“お持ち帰り”してしまうのはご愛嬌。ギャルゲーで言う、いわゆる正統派ヒロインにあたる。
筆者がレナをお持ち帰りしたいと思った部分は、体育の時間に鬼ごっこをしていて、鬼の圭一がレナを追いかけるシーン。体操服(主にブルマ)に身を包み逃げ惑う女の子を追いかけ回す……、かなり犯罪的な匂いを感じさせるが、やっているのはただの“鬼ごっこ”。しかし、無邪気な遊びの中にほんのり漂うエロティシズム!! これはいいブルマです。
ヒロインであると同時に「ひぐらしのなく頃に」のサイコホラーな部分の代名詞ともいえるレナ。筆者が一番に推す場面はココ。ドアの間を這う指が! 隙間から覗き込むあの目が! 恐怖で泣かされます。レナの豹変ぶりは、前半で彼女の無邪気に楽む姿を見ていればいるほど、ギャップが激しい。
- お持ち帰りぃ〜☆度:★★★☆☆
園崎魅音 CV:雪野五月
圭一やレナよりも年上の女の子。クラスでは他の生徒をまとめる委員長で姉御肌なため、みんなから慕われ、頼れる存在。それゆえ、弱音を吐くところを他人に見せないという一面を持つ。
男っぽく振舞うけど、時折見せる“女の子”な言動。そんな魅音が筆者は、……もうね、たまらなく好きだ!! だってこんな顔されたらプレゼントするしかないじゃないですか! これが筆者のツボだと教えてくれたのは園崎魅音さんでした。はぁ……、かわいいなぁ……。
レナのブルマ姿も、沙都子の首輪付きも確かに捨てがたい萌えオプションだ。しかし! それらを押しのけ、真にオススメしたいのが、このスクール水着を着こなす魅音だということを、筆者は声を大にして読者に伝えたい!! 魅音の発育状態のよろしい肢体を、伸縮性に富んだこの濃紺の薄地でピッタリと体のラインを浮かび上がらせることで、萌エロ分を十分に醸し出している。
- お持ち帰りぃ〜☆度:★★★★★
この写真を見て、一番に思ったことが「俺の魅音を返せ」だ。なぜこのような状況になったかは触れないでおくとして、あまりの豹変っぷりに愕然としてしまう人も多いはず。ちなみにこの場面はBGMが相当怖い。夜中に1人でプレイしないように。
- 豹変度:★★★★★
北条沙都子 CV:かないみか
おかしなお嬢様言葉を扱う下級生。負けず嫌いで生意気な性格をしており、圭一にちょっかいをだしては逆にからかわれ泣かされてしまう。トラップを仕掛ける才能に関しては、右にでるものはいない。
沙都子といえば「祟殺し編」。圭一を、家出した実の兄、北条悟史(ほうじょうさとし)に置き換え、兄妹のように接してくるいじらしい一面を見せる。そんな沙都子をお待ち帰りしたくならないわけがない!
- お持ち帰りぃ〜☆度:★★★☆☆
古手梨花 CV:田村ゆかり
年齢に似合わぬ落ち着いた性格をした、物静かな少女。「みぃ〜」、「にぱ〜☆」といった独特な口癖で、周りの人間を虜にする。神社の一人娘で、年配の人間に“梨花ちゃま”と神聖視されている。
ネコミミ! ネコミミッ!! と思わず腕を振りながら叫んでしまいたくなるくらい、(レナ風に言うなら)かぁいい梨花ちゃま。真の梨花ちゃまはネコミミモードになってからだと断言したくなるくらいマッチしすぎている。
- お持ち帰りぃ〜☆度:★★★★☆
正解率1パーセントの謎は健在
一通りシナリオを満喫したところ、気になる点も多々見受けられた。まずは「ひぐらしのなく頃に祭」では、“怖さレベル”がちょっと下がっていること。「ひぐらし」のような同人ソフトをコンシューマー版に移植する際には、かなりのハードルが存在するのも事実。そこをあえて「D区分」として一般化したところには苦労を感じるが、原作を知っている人にとっては、ちょっとマイルドな印象を受けるかもしれない。また、原作にあった「祭囃し編」が収録されていないのも残念だ。
そして筆者一番の要望は、原作のBGM担当のdai氏の楽曲も移植してほしかったという点だ。氏が手がけた「you」や「Confession」という楽曲を、名曲中の名曲と感じているひぐらしファンは、筆者だけでないはずだ。
ただし、前後半の変化により急転するシナリオ展開や、つい先を読みたくなってしまう物語自体の魅力は健在。原作ファンならば、新シナリオや選択肢の追加による新たなエピソード、新キャラクターデザインや音声などで、より萌え分が多くなった「ひぐらし」の世界を楽しむことができるだろう。「ひぐらし」未経験者は、親しかった人間の豹変による恐怖や、祟りといわれている事件の謎を解明するなど、“正解率1パーセントの謎”を堪能することができると思う。「ひぐらし」の経験を問わずオススメできる作品なので、ぜひお試しあれ。
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