「ナゾ解明!」のカタルシスは、寝るのも忘れるほどの快感に:「レイトン教授と不思議な町」レビュー(5/5 ページ)
レベルファイブ初パブリッシングタイトル「レイトン教授と不思議な町」は、ナゾいっぱいの新感覚アドベンチャーゲーム。今回は、本作の雰囲気そのまま(?)に、推理小説風にレビューを進めてみる。
「変化」――同じ場所でも時間による変化、人物による変化が起こる。そしてWi-Fiで新たなナゾが
やはり、当初の予想通り、本作の手応えはなかなかのものだった。わたしたちのプレイは物語を進めるのに重点を置くのではなく、ゲームとして隅々まで遊ぼうと言う気概で進めていた。そのせいか、見つけられず発動できなかったナゾを扱ってくれる「ナゾーバの館」には、最後までお世話にならずに済んでしまった。隠されたナゾや住人が持っていたナゾなども、日にちが変わったり物語が進んでしまうと、もう遊べなくなってしまうものもある。そんな時にナゾーバの館に行けば、見つけられなかったナゾがそこに集まっているというわけだ。
「結局、ナゾーバの館にいつ行っても、ナゾがありませんでしね」
「それだけ、わたしたちがゲームを隅々まで遊んでいるという証拠じゃないか」
そして、本作では物語が進むと夜が訪れたり、行ける場所が増えたりと、行動範囲が変わる。その都度、画面上で様々な場所をタッチしてみよう。新たにヒントメダルが発見できたり、新しいナゾが見つかったりする。また、住人に一度話し掛けてナゾが出題されたあとも、もう一度話し掛けてみよう。中には続けて何問も出題してくる住人もいるからだ。
「ま、攻略の基本と言ったところかな」
「同じ場所にいた住人でも、物語が進むと突然ナゾを出しくる人もいますしね。結構侮れないですよ」
「とにかく、骨までしゃぶり尽くしたい人は、いろいろ動き回って、調べたり話し掛けたりしてみるといい」
「遊び方は人ぞれぞれですけどね。でも、どうせ遊ぶなら、より多くの要素をプレイしたいのが人情ってものですよ」
そう、ミシカ君の言う通り、本作に詰まっている要素は意外に多い。最後までプレイをしたとしても、そのあとにもいろいろあったりするので。エンディングを見たからと言って、レイトン教授の全てを遊んだ事にならないのだ。そのあとに、本当のナゾが待っていると言っても過言ではない。
そして、本作品は「頭の体操」シリーズでもお馴染みの多湖輝(たごあきら)氏監修の元、ナゾが100問以上収められている。しかし、ソフトに入っているものだけが、すべてのナゾというわけではないのだ。
「先生、それってどういう事なんですか?」
「ミシカ君は、Wi-Fiと言うものを知っているかね? そのWi-Fiを使用してネットワークに繋げれば、毎週新しいナゾをダウンロードできるんだよ」
「それって、無料なんですか?」
「もちろん、レイトン教授のソフトと、ネットワークの環境が必要だがね。ナゾを落とすこと自体は無料だよ」
「でも、新しいナゾが貰えるって言っても、たいした数じゃぁ……」
「いや、今のところの予定では、1年間毎週新しいナゾを配信するとアナウンスしているのさ」
「1年間って太っ腹ですねぇ」
そう、毎週毎週新しいナゾを落とせば、最初から入っていたナゾと合わせて、200問近い数になるだろう。これだけの数のナゾを、果たしてキミはすべて解くことができるのか?
「愉悦」――ナゾ解明! でアドレナリンを出しまくれ!!
これで、「ナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー」と銘打たれた本作の概要は、わかっていただけたと思う。とにかくナゾに対して頭をひねるという行為が繰り返されるわけだが、「ナゾ解明!」と正解だった時のカタルシスは何物にも変え難いと言えるだろう。
また、前述した通りレベルファイブの作品らしく、やり込み要素がとても多い。そのため、物語本編だけでなく、寄り道してしまい先に進めたくないなんて時もしばしばあるぐらいだ。おかげで、わたしなんかも止め時が見つからず、毎日毎日夜遅くまでプレイしてしまう始末。解けないナゾがあればモヤモヤし、ヒントを使うかどうするか悩み、あっけなくナゾが解けた時は、喜び勇んで次のナゾへと向かって行く。これほど、のめり込めるようにできているのは、さすがレベルファイブと言ったところ(いや、多湖教授のおかげでもある)。
なんにせよ、他の脳トレーニングゲームとは一線を画しており、純粋に頭を悩ませている自分が客観的によくわかるものだ。物語に出てくる住人たちも、全員に名前が付けられており、それぞれに性格もある。ファンタジーらしい絵柄、特徴のある住人たち、美麗なアニメーションと、世代を問わず幅広く楽しめる作品と言えるだろう。実際“中の人”の子供たちも、一緒になってプレイしていたほどだ。ただし、ナゾはほとんど理解できてはいなかったが(笑)。
セーブもどこでもできるので「ちょっと一問だけ解こう」なんて遊び方もできるし、ナゾ辞典を見れば過去の問題も遊べたりもする。まさに至れり尽くせりのソフトではないだろうか? ただ、あえて苦言を呈するならば、本当に本当に残念だったのが、一部の不具合。詳細は公式HPを見てもらうとして、回避策があるとしてもこれほど単純なものが残っていたのは、悲しい限りだ。これを糧に改めてレベルファイブには、より良い作品を手掛けて欲しいと願うばかりだ。
「さて、本編を遊びきったところで、言いたい事は言わせてもらった感じだが」
「結局、一気に遊んじゃいましたねぇ。編集者さんの挑発的な言葉も忘れるぐらいに(笑)」
「ま、本編のナゾも隠し要素もすべてやり切ったわたしにすれば、彼の依頼には十二分に応えられたんじゃないかと思うがね」
「さすがに、文句は言われないと思いますよ。ユウタン先生に掛かれば、どんな物でも、ナゾ解明! って」
「ただ、これで終わりではないんだよ、ミシカ君」
「えぇぇぇ! まだ何か残ってるんですか? 確かに、週間ナゾ通信は、まだまだ残ってますけど…」
「そうじゃないよ。この『レイトン教授』作品は、全三部ですでに次回作が決まっているのさ。その名も『レイトン教授と悪魔の箱』というタイトルだよ」
「う〜ん、悪魔なんて、なんか怖そうな感じですね……」
「そうだね、ストーリーも不思議な町とは一線を画す感じで、ミステリアスホラーのようだ。しかも、長距離鉄道が舞台らしいから、彼らのさらなる活躍も期待だ」
「と、言う事は、次作の『レイトン教授と悪魔の箱』でも、またわたしたちの出番が?」
「そうなると良いね。でも、それは編集者次第か……。そのナゾは取っておくことにしよう」
「レイトン教授と不思議な町」 | |
対応機種 | ニンテンドーDS |
メーカー | レベルファイブ |
ジャンル | ナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー |
発売日 | 2007年2月15日 |
価格 | 4800円(税込) |
プレイ人数 | 1人 |
仕様 | ニンテンドーWi-Fiコネクション対応 |
CERO | 全年齢対象 |
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