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戦局を見極めて、乱世を生き残れ――Wiiでロールプレイングシミュレーションの真打ちが登場「ファイアーエムブレム 暁の女神」レビュー(3/3 ページ)

ファミリーコンピュータ時代から根強いファンを持つ「ファイアーエムブレム」シリーズの最新作がWiiに登場。硬派でシビアなゲーム内容はそのままに、遊びやすさに磨きがかかった「これぞロールプレイングシミュレーション!」と言える良作だ。

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リモコンかクラシックかキューブか。コントローラの選択肢は幅広い

 本作はWii用タイトルなので、もちろんWiiリモコンがあれば操作はできる。通常のリモコン操作と同様の縦持ちでも操作することはできるが、本作の起動時に画面にも表示されるように、横持ちでのプレイが推奨されている。横持ちの場合は従来のコントローラと同じ感覚で左手親指で十字ボタンを押し、カーソルを移動させたり、キャラを選択して移動先を指定したりすることが可能。「2」ボタンが決定、「1」ボタンがキャンセルという配置も特に迷いなく対応できるだろう。

 しかし、Wiiリモコン横持ちでは多少面倒な操作も出てくる。ステータス画面を表示するためにはBボタンを押したまま「1」ボタンを押さなくてはならないし、視点を切り替えるためにはBボタンを押したままで十字ボタンを押さなくてはならない。何かにつけ“Bボタンを押しながら”という操作が要求されるのだ。慣れの問題かもしれないし、Wiiリモコンのボタンの少なさからいたしかたないのだとは思うが、左手中指でちょくちょくBボタンを押さなくてはならない、というのは個人的に何だかしっくり来なかった。

 そこで浮上する選択肢が、クラシックコントローラとゲームキューブコントローラだ。本作はそのどちらにも対応しているので、実際に操作感覚はどうなのか、確認をしてみた。まずはクラシックコントローラ。こちらは圧倒的にWiiリモコンよりもボタンが多いというのもあり、各操作とボタンの割り振りが違和感なくできているので、かなり遊びやすいという印象を受けた。十字ボタンの位置もやりやすいポジションにあり、快適度は高い。

 ゲームキューブコントローラもボタンの割り振りには違和感がない。クラシックコントローラとの大きな差異は、十字ボタンのポジションが下の方にあるので、その点に違和感を感じる人には向かないということと、ゲームキューブコントローラには振動機能があり、本作がそれに対応しているということだ。振動は相手を倒した際、ダメージをくらった際などのアタック感のあるときに反応してくれる。なくても何も困らない機能だが、あるとちょっとうれしかったりするもの(ちなみにWiiリモコンでも振動する)。

 結果としては、筆者が選んだコントローラはゲームキューブコントローラだ。コントローラのグリップの安心感はクラシックコントローラ以上にあるし、慣れればスティックでのカーソル移動にも違和感がない。最も多用するであろうAボタンが大きいのも何だか安心。オマケ程度ではあるが振動の恩恵を受ける、という点も考慮して自然とゲームキューブコントローラでのプレイに決まっていった、という感じだった。

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 ただ、人によってはクラシックコントローラの方がやりやすかったり、WiiリモコンのBボタン押しもすんなり受け入れたりするのだろう。ケーブルレスという側面から見ればゲームキューブコントローラは本体とケーブルでつながっているし、クラシックコントローラだってWiiリモコンにつながっていなくてはならないので、真のケーブルレスの快適さを享受できるのはWiiリモコンのみだ。

 自分にあったデバイスを選択すればいい、という至極当たり前な結論にたどりつくのだが、クラシックコントローラとゲームキューブコントローラを所持していない人は改めて購入せねばならないはず。Wiiリモコンでやってみて違和感やストレスを感じるならば購入を検討してみてはどうだろうか。

 ちなみに、本作をいろんなコントローラでプレイしてみて驚いたのが、ボタン受付に対する柔軟さだ。Wiiリモコンもクラシックコントローラもゲームキューブコントローラもつないだ状態だと、たとえばクラシックコントローラのいずれかのボタンを押した瞬間に本作が即座に対応する。ゲーム画面上の決定ボタンの説明もちゃんと「aボタン」となるのだ。ゲームキューブコントローラのボタンを押した瞬間に「Aボタン」、Wiiリモコンのボタンを押した瞬間に「2」ボタン、と表記が変わるので、操作において迷うことはないだろう。細かいところだが、プレーヤーのストレスをなくすための開発側の配慮が見て取れる要素だ。

闘う楽しさ、成長する喜びを味わって、貴方も今日からエムブレマー!

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 プレイ画面のグラフィックの精度はゲームキューブと比べて体感的にあまりアップしているようには感じなかったが、随所に織り込まれるムービーはさすが新ハードと思える美麗さを感じた。また、プログレッシブ出力に対応しているので、Wii本体側の設定をプログレッシブにしてコンポーネントAVケーブルかD端子AVケーブルでテレビと接続すれば、チラつきの少ないより高精細な画面でプレイを楽しむことができるだろう。元よりグラフィック偏重ではなく、システムやキャラありきでそれらが完成しているタイトルなので、通常のケーブルでプレイしてもさほど問題ではないかとは思う。

 改めて評価したいのは、本作の間口に対する徹底した配慮だ。「ハード」や「マニアック」というコアなファン向けの難易度も用意しつつ「ノーマル」でぐんと間口の広いプレイも提供しているあたりは、Wiiにおいて新たなゲーム市場(ゲームをやったことがなかったけど「Wiiスポーツ」で楽しく汗をかいているお母さんたちや、しばらくゲームから遠ざかっていたけどWiiのインタフェースが気になって、ひさびさにゲームをやってみた人など)を開拓したという意識のもと、プレーヤー層を拡大しようという意欲が見られて好印象を持った。

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 本作はロールプレイングシミュレーションが初めてだという人でもバッチリ遊べるようになっているので、少しでも興味があるのなら、ぜひ手にとっていただきたいと思う。最初は何をしていいのか分からなくても段階的に分かってくるはずだ。そしてルールやシステムを把握しきったころには、本作の奥深さが垣間見えてくるだろう。一度死んだら二度と復活しないキャラたちと、キャッチコピー通りに「共に戦い、共に生きる。」感覚、キャラが少しずつ成長し強くなっていく感覚、作戦がうまくいき敵軍を全滅できたときの勝利の感覚。それらの面白さにハマることができれば、貴方も「ファイアーエムブレム」ファンのひとりだ。ちなみに「ファイアーエムブレム」のコアなファンのことをエムブレマーと言うのだそうで。きっと本作によって新たなエムブレマーが誕生していることだろう。

(C) 2007 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS


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