Wiiリモコンでソニックとの一体感を楽しむ――アラビアンナイトの世界をモチーフにしたシリーズ最新作:「ソニックと秘密のリング」レビュー(2/3 ページ)
Wii向けのソニック第1弾は、アラビアンナイトが舞台。このシリーズならではの疾走感はそのままに、Wiiリモコンを左右に傾ける・振るといった操作でソニックとの一体感を味わえたり、多彩なスキルで自分なりのソニックをカスタマイズできるなど、今回のソニックはいままでとひと味違う。
スキルの付け替えでプレイスタイルがさまざまに変化
3Dタイプのソニック作品はこれまでにも数多くリリースされてきたが、今回の「ソニックと秘密のリング」に関しては、Wiiリモコンによる個性的な操作方法ばかりでなく、システム面でもいくつかの変化が見られる。例えば、今作でのソニックは、プレーヤーが何もしなくても自動的に前方へ走っていくことが大きな違い。何か障害物にぶつかったり、ブレーキを使わない限り、ソニックは速度を上げながら進んでいくのだ。過去のソニック作品を知っている方だと、初めのうちはこれに戸惑うかもしれない。
また、リングを1つでも持っていれば、敵の攻撃や障害物でダメージを負ってもミスにならないのは従来通りだが、ダメージを受けた際に所持しているリングをすべてばらまくのではなく、一律で20個だけ減るという方式に変わった。リングの所持数がライフゲージのような役割になっている。さらに、残機制もなくなったため、何度ミスしても続きからリトライができる。その点で言えば、これまでのソニック作品ほどプレイがシビアではなくなったように感じる。
今回のソニックには成長要素があるという点も興味深い。ミッションをクリアできると、倒した敵の数や集めたリングの数などからトータルスコアが算出され、これにミッションクリアのボーナスが加算される。それがそのままソニックの経験値となり、その累計に応じてレベルアップするというしくみだ。レベルが上がるとリングの最大所持数が増えたり、新しい“スキル”を習得できる。
このスキルの効果と扱い方がなかなか凝っている。スキルには、トップランまでの加速率が上昇する「ターボブースト」や、ホーミングアタックの射程距離が伸びる「H・エキスパンズ」などさまざまなものがあり、最終的には100種類を超えるスキルを習得できる。
これらのスキルは、ソニックが身につけている「スキルリング」に組み入れることで初めて使えるようになるが、どんなスキルを組み合わせるかによってソニックの性能ががらりと変わるのがおもしろい。例えば、「90秒以内にゴールへ」といった速さを求められるミッションではスピードアップの効果を持つスキルを中心に組み入れるとか、多数の敵を相手にするミッションなら攻撃力重視のスキルを軸にするなど、いろいろな組み合わせが考えられる。このように試行錯誤しながら、自分なりのソニックをカスタマイズできるところに魅力を感じる。
また、ゲームをある程度進めていくと、「スピードブレイク」と「タイムブレイク」というスキルも使えるようになる。この2つは他のスキルと扱いが異なり、スキルリングにセットする必要がなく、フィールド上にあるパールを拾い集めて“ソウルゲージ”を溜めると発動できる。「スピードブレイク」は、通常走行の最高速時よりもさらに高速で走ることができ、敵や障害物(一部を除く)も蹴散らすことが可能。「タイムブレイク」は時間の流れが極端に遅くなり、高速で動き回る障害物や敵を回避するのに有効だ。
多彩なギミックや、絶妙なカメラワークによる演出も見どころ
今回の「ソニックと秘密のリング」は、映像の美しさにも目を見張るものがある。ハードがWiiなのでHD出力には対応していないが、それでもD端子やコンポーネント端子でのプログレッシブ出力(480p)の映像は鮮明で、細部も丁寧に描き込まれており、Wiiのソフトの中でもかなりハイレベルなグラフィックと感じる。
また、ステージ上に多彩なギミックが配置されていることや、ミッションのところどころで挿入されるダイナミックな演出の数々も見どころ。とりわけカメラワークの巧さが際立っていて、どのシーンも見応えがある。
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