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採取して培養し、増殖させ、バトルする!?――ミクロな世界で個性的なキンたちとたわむれる「くりきん ナノアイランドストーリー」レビュー(2/2 ページ)

“集めてバトル”系のゲームは数あれど、この作品で集めたり育てたりするのは、なんとキン! 架空の微生物を育てて戦わせるという何とも不思議なこのゲームで、キンのワラワラ感にハマろう。

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キンにもいろいろあるのです

画像 上の画面にある、青と赤のゲージが、自分と相手のキンの比率を表している。終了時に青が多ければ勝利だ

 なんと言ってもこのゲームの醍醐味は「キンバトル」。体力(HP)、攻撃力、防御力、増殖力の4つの能力値を持ち、それぞれに個性のある多種多様なキンたちを戦わせ、勝敗を決するのだ。

 そして、上に挙げた基本となる4つの能力値の中で、このゲームならではと言えるのが増殖力だろう。キンは何もさせずに放っておくと、その場で分裂して増えてくれるが、そんな増殖の度合いを表しているのが、この増殖力だ。

 キンの傾向としては、増殖力の高いキンほど他の能力は低く、逆に攻撃力や防御力の高いキンほど、どちらかといえば増殖力は低くなっている。要は、少数精鋭でいくか、数で押すかという感じだ。これは、戦い方に大いに関わってくる要素で、もし、自分のキンが相手よりも増殖力が高いのなら、時間を稼いでキンが増えるのを待つ方がいいし、逆に相手の増殖力が高ければ、敵の数が増える前に、先手必勝で勝負をつけた方がいい。応用としては、キンを複数の集団に分け、一方を戦わせている間に、もう一方に増殖を担当させるといった方法もあるだろう。

 注意が必要なのはキンの“やる気”で、長時間放置したキンはやる気をなくして増殖や戦闘をしなくなってしまう。そうなったら、キン集団を軽く動かすか、最大倍率に拡大した画面で、やる気をなくしているキン(やる気の無い顔になっている)をひとつずつタッチし、やる気を回復させよう。

 また、そうした能力値に深く関わってくるのがキンのサイズ。キンには種類によってサイズが決まっており、S、M、Lの3つがある。大きいサイズほど攻撃力や防御力が高く、小さいサイズほど増殖力が高くなっているほか、移動するスピードやバトル開始時の個体数も、サイズによって違っている。特に、パワーはあるが、遅くて数が少なく、かつ増えにくいLサイズは、強力だが扱いが難しいキンとなっている。

 なお、キンバトルには、お互いに2種類ずつのキンを使って戦う「2キンバトル」という形があるが(というか、それがメイン)、その場合は敵の能力だけでなく、自分が使う2つのキンの相性も考えておきたい。片方が攻撃力の高いLやMサイズだったら、もう片方を増殖力の高いSサイズにするといったように、2つのバランスを取るのが基本だ。

 さらに、相手のキンに対する有利・不利に大きく響いてくる要素として「属性」がある。属性には、「ソリッド系」、「エッジ系」、「ヴェール系」の3つがあり、ジャンケンのグー・チョキ・パーのような三すくみの関係になっている。有利な属性が相手だと強さが格段に上がるので、相手のキン(の属性)がバトル前に分かっているなら、使うキンを選ぶ際、まずはこの属性を考慮した方がいい。2キンバトルなら、たとえ相手のキンが分かっていなくても、なるべく異なる属性を組み合わせるようにして、一方的に不利になる場合が生じないようにしておこう。

画像 学校の「バトルアリーナ」では、いつでも仲間たちとバトルできる。キンのレベルアップなどに活用しよう

 最後に説明するのが、キンバトルでの戦場となる「シャーレ」との相性を表す「適正環境」。これには、温度とペーハー(pH)のふたつがあり、そのキンに合った環境のシャーレでは増殖力が増加し、苦手な環境のシャーレでは逆に減退するようになっているのだ。

 例えば、適正環境が「高温・酸性」のキンは、高温シャーレか酸性シャーレでは増殖が早まり、低温シャーレやアルカリ性シャーレではあまり増殖しなくなる。また、適正が「中温」や「中性」のキンは、温度やペーハーにって増殖力が変化せず、常にいつも通りの能力を発揮する。

 こうしたさまざまな要素を計算に入れつつ、使用するキンを選択するのが、キンバトルの準備段階での駆け引きだ。一方的に負けてしまった相手にも、使うキンの組み合わせを変えてみたら案外あっさり勝てたりすることもあるほど、その時々でのキン選びは重要。もちろん、いつどんな相手やシャーレでの戦いがきてもいいように、なるべくいろいろなキンを集め、成長させておくことも大切だ。

けなげに戦うキンたちの姿に感動です

画像 タッチパネルでは、キンの操作の他、画面の拡大・縮小、キンの色分け、操作キンの切り替えなどが可能

 キンバトルで勝つためには、キンの動かし方もかなり重要だ。キンを動かすには、まず動かしたいキンの集団を円で囲み、そのあと、円の内側から移動先まで線を引けばOK。もちろん、円を描く際にキンの集団を分割したりもできるし、2キンバトルの場合はキンの種類ごとに動かしたりもできる。かなり感覚的な操作なので、特に困るようなことは無いはず。

 少し特殊な操作としては、円を描いたあとに円の中の1点をツンとつつくと、そこにキンが集まるというものと、円で囲んだあとにニンテンドーDSのマイクに息を吹きかけると、キンが拡散するという2つくらいだ。

 バトルの定石としては、相手のキンを完全に囲む状態を目指す。キンが増殖するためには周囲に空間が必要。そこで、相手の周りをすべて覆ってしまうことで、相手のキンは増殖させず、自分のキンは増えていくという状態を作るのだ。

 そして、そのためには、バトル開始後一直線に相手に向かうのではなく、ある程度拡散しながら移動し、相手と接触したあとも、自キンの層の薄い部分ができないように気をつけつつ、増殖したところから少しずつ包囲網を広げていくように、こまめな操作をする必要がある。当然、シャーレの形なども考慮に入れなければならないし、2キンバトルの場合は、それぞれの属性などを考えてキンの位置を変化させていきたい。

画像 キンバトルのルールには、お互い1匹のキンを“ボス”にして、それを狙う「ボスバトル」などもある

 このように実際やってみると、結構忙しい操作が必要なゲームなのだ。ただ、あまり忙しくすべてのキンを動かし続けていると増殖しないので、ある程度のキンはあえて動かさずに増殖に専念させよう。

 やはり、そうなると重要なのがキンの増殖力。いったん相手の占有しているスペースが大きくなってしまうと、そこから理想的な形に持っていくのはなかなか大変。特に、制限時間1分などの短時間戦や、相手のキンを全滅させない限り勝負がつかない「ゼンメツバトル」などの形式の場合はなおさらだ。メインである2キンバトルの場合、どちらかのキンは増殖力を重視し、それで相手の動きを封じながら戦っていくのがいいだろう。

 もちろん、相手のキンの種類や組み合わせ、シャーレの形や環境などによっては、こうしたセオリーが通用しないことも少なくない。単純そうに見えて、なかなか奥が深いのがキンバトルなのだ。

画像 一定時間、さまざまな特殊効果を発揮する「必殺技」。発動すると、技に対応した演出が画面に現れる

 勝敗に深く関わる特別な要素としては、バトル中、シャーレの中に出現する、「技玉」がある。この技玉は、キンで攻撃し破壊すると、攻撃したキン固有の必殺技が発動するというもの。必殺技には、攻撃力や防御力を一時的にアップするものや、相手のキンすべてを眠らせて動けなくしてしまうものなど、キンによって千差万別。ともかく、発動させると有利になることは間違いないので、技玉が出現したら速やかにキンを向かわせよう。

 もちろん、出現した場合は、相手もそれを狙ってくる。相手の動きを別働キンで妨害したり、開いているスペースに技玉が出た時にすぐ取りに行けるよう、そのためのキンを置いておくなどの作戦を立てておくことも必要だ。他にも、相手がそれを狙うことを利用して、相手の集団を分断したりといった使い方をすることもできる。

「くりきん」プレーヤーを増殖させるのはどうでしょう?

 と、いうわけで、ここまで「くりきん」について説明してみたが、どうだっただろう。少しは理解してもらえただろうか。キンバトルの手軽さと手頃な奥深さ、キン集めの楽しさ、ストーリーに登場する魅力的なキャラクターたち、などなど、なかなか遊び応えのある内容になっていると思う。

 確かに、パッと見の印象では、なんとも判断しにくいかもしれないが、これは絶対“プレイしてみたらハマる”タイプのゲームのはず。案外、シミュレーションゲームとかが好きな人に向いているんじゃないだろうか。「Touch!Try!DS」での体験もできるので、ともかく、ちょっとでも面白そうだと思った人は、ぜひプレイしてほしい。そして、この伝わりにくい面白さを周りの人にも伝えることで、「くりきん」プレーヤーを増殖させる……というのはどうだろう。

くりきん ナノアイランドストーリー
対応機種 ニンテンドーDS
メーカー 任天堂
ジャンル アドベンチャーRPG
発売日 発売中
価格(税込) 4800円
プレイ人数 1〜2人

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