Xbox 360でもPCでも! 両者入り乱れての激しい撃ち合いを――銃と魔法とテクノロジーの新感覚FPS:「Shadowrun」レビュー(2/2 ページ)
6月21日、Xbox 360版およびWindows Vista版の「Shadowrun」が同時発売された。この2つの「Shadowrun」はただの同時発売ではない。初のクロスプラットフォームを実現した、画期的な作品なのだ。Windows Vista版で攻めるか、Xbox 360版で攻めるか……。とりあえず筆者はXbox 360版で攻めてみました。
トレーニングで経験を積み、実戦で大暴れしちゃいましょう
本作の基本的な操作は、Aでジャンプ、B長押しでセットメニュー(購入したマジック、テックを各ボタンに振り分ける機能)、Yで武器の切り替え、Xでリロード、そしてRTで攻撃、LT、LB、RBで装備したマジックとテックの使用だ。移動については従来ののFPSと同じ感覚で左スティックでキャラの移動、右スティックで視点移動ができる。その他にもさまざまな操作があるが、FPSに慣れている人なら、すんなり入り込める操作系統になっている。
FPSに慣れている人でも慣れていない人でも、本作のプレイに当たってまずやっていただきたいのはトレーニングだ。トレーニングはチャプター6まで用意されていて、チャプター1からプレイすることで段階的に本作でのプレイが理解できるようになっている。マジックやテックなどによる特殊攻撃、特殊移動などが非常に多い本作なので、突然オンラインにつないで対戦プレイを始めても、おそらく何をどうすればよいか分からずに死んでしまうのがオチだろう。各マジックやテックの特徴、各種族の特性をバッチリ把握するためにも、トレーニングは一通りプレイしてみてほしい。
1人用モードは、トレーニングの他に、コンピュータが操るBOTというキャラとの協力・対戦を楽しむソロプレイがある。オンライン対戦の前の予行演習としてソロプレイで実戦経験を積んでおくといい。
しかし本作の最大の魅力は、やはりプラットフォームの垣根を越えたオンライン対戦にあり!PCゲーマー対Xbox 360ユーザーの仁義なき戦いがおそらく今日もどこかで繰り広げられていることだろう。実際に筆者もオンライン対戦をやってみたところ、これがなかなか面白い。操作に慣れれば慣れるほど、マップを把握すればするほど、マジックやテックの利点を理解すればするほど、するめのように味が出てくるのである。8人対8人の対戦は、かなりの興奮もの。ボイスチャットでの仲間との連携も楽しく、思わずぶっ続けで遊んでしまったほどだ。
プレーヤーはRNA側かリネージ側、いずれかの勢力について種族を選ぶ。基本的に6回戦が行われるのだが、1回決着が着くごとにキャッシュがたまっていく(直前のプレイでのチームへの貢献度によって報酬の額も変わってくる)。スタートボタンでいつでも購入メニューを出せるので、そこで武器、マジック、テックを買い、Bボタンによるセットメニューで装備をする。
最初のキャッシュは少ないので、まず何を購入して装備するかが重要。8人中2、3人がリザレクト(死んだ仲間を蘇生させる能力)を装備し、2、3人がライフツリーを装備し、守備を固めてスタートするもよし。グライダーなどの特殊移動でとにかく相手を翻弄する作戦に出るもよし。チームでの連携と戦略が大いに問われる。
各プレーヤーの使える能力が限られている序盤も面白いが、キャッシュがたまってきて、プレイの自由度が上がってきてからの激しい攻防もまたたまらないものがある。ライフツリーなどの回復系能力は依然活躍するだろうが、加えてサモンやストラングル(敵を妨害するクリスタルを生成する能力)などのトリッキーな攻撃能力や、マジックの使用を妨害するアンチマジックジェネレーターなどが大活躍し、戦局がどちらに転ぶのかわからない、絶妙な緊張感を味わうことができる。
広大なフィールドと快適な移動操作、そしてそれらを支えるハイクオリティな描画能力。さまざまな要素が絡み合い、ハマると抜け出せない没入感を得られる作品に仕上がっている。オンライン対戦をするために作られた、と言っても過言ではないその練りに練られたシューティングシステムは、FPS好きなら間違いなく楽しめるはずだ。
オフラインは寂しいけども……相互オンライン対戦はバッチリ楽しい!
オンライン対戦の面白さは折り紙つきだが、逆に言えば、オンライン環境がない場合はちょっと寂しい。トレーニングとBOT相手のマッチだけでは本作の真の魅力の何分の一も味わえないだろう。オフラインでのソロプレイでもやりこめるような、ストーリーモードやミッションモードなどがもっと充実していればなおよかったと、非常に残念に思った。
しかしオンライン環境があって一緒に遊べるフレンドがいて、ということになれば、話が違ってくる。10以上もあるマップはそれぞれクセのあるものばかりなので、そこそこ長く遊べるだろうし、何よりも他のプレーヤーと協力し、他のプレーヤーを敵とする遊びには無限の広がりがある。ボイスチャットで「じゃあ次はこういうルールで遊ぼう」と話しあったり、エルフ8人とトロール8人で対戦してみるなど、いろいろな可能性を秘めているのだ。
FPSが苦手な人でも参加できるような配慮もうれしい。敵を銃で撃つだけでなく、味方を回復する、蘇生する、もしくはマジックの効果で敵を倒すという行動にも評価が与えられるので、味方のサポートに徹してチームに貢献する満足感も得られるようになっている。射撃がうまい人はうまい人で、敵のマジックやテックをかいくぐりながら、いかにして狙撃するかを考えながらプレイする楽しみがある。とにかく、本作の持つ戦略性は、非常に深く楽しいものになっているのだ。
Windows Vista版は今回試すことができなかったが、長い調整期間を経ているタイトルなので、2つのプラットフォームによる相互オンライン対戦についても万全な体制で臨んでいることを期待したい。今後おそらくXbox 360とWindows Vistaでオンライン環境を共有できるタイトルは次々と出てくるであろう。その栄えある第1弾として発売された本作は、“純粋にオンライン対戦が楽しい”という点においてその責務を十分にまっとうしているように思えた。クロスプラットフォームがこれからのオンラインゲームの可能性を感じさせてくれる作品だ。
「Shadowrun」 | |
対応機種 | Xbox 360 |
メーカー | マイクロソフト |
ジャンル | シューティング |
発売日 | 2007年6月21日 |
価格(税込み) | 6090円 |
対応 | Xbox LIVE:マルチプレイヤー (2〜16人)/コンテンツダウンロード (予定)/ボイスチャット/HDTV(D2、D3、D4)/Dolby Digital(5.1ch) |
CERO | D(17歳以上対象) |
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