仮想の渋谷でサイキックバトル!――すばらしくやりこめるこのゲームをあなたに:「すばらしきこのせかい」レビュー(3/3 ページ)
スクウェア・エニックスから発売された「すばらしきこのせかい」は渋谷を舞台にした、タッチアクションRPG。死神のゲームにサイキックで挑むネクを操作し、仮想の渋谷を生き延びろ! 2画面同時バトルが面白い、ボリュームたっぷり渾身の一作だ。
アドベンチャーなノリでサイキック能力を発動!
本作のジャンルは冒頭で述べたように“タッチアクションRPG”だ。しかし、いざプレイしてみるとジャンル的には“アドベンチャー”と呼ぶべき謎解きパートもある。
ネクが持っているスキャンバッジは、フィールド移動時に画面右下に表示されている。このバッジをタッチすると「サイキックスキャニングシステム」が発動し、そのとき渋谷のRGにいる人間の思考を読んだり、UGに潜んでいるノイズを見つけることができる。RGの人間の思考を読むことで本作の世界をより深く楽しむことができるし、謎解きのヒントも時には見つかるかもしれない。
RGにいる誰かの思考から得たキーワードを、別の誰かの思考に刷り込ませる「サイキックインプリンティング」もアドベンチャー色の強い要素だ。何かを思い出せないでいる人間に思い出させたり、その人の思考にないキーワードを与えることで何かをひらめかせるなど、使い道はいろいろ。インプリンティングによって物語が先に進むこともしばしばある。また、合間に挿入される会話パートもアドベンチャー的なテイストで進行する。
とにかくそのボリュームとやりこみ要素に驚嘆――歯応えのあるこのせかい
先の読めないドキドキの物語、手と頭がフル回転するバトルシステム、スタイリッシュで味わいのあるグラフィック、魅力的なキャラやセリフなどなど……。それらの要素が高次元で融合している本作は、さらにうれしいことに、そのボリューム、やりこみ要素が半端ではない。
まず、ネクが手に入れるサイキックバッジは300種以上。しかもクリアしてもコンプリートできるわけではない。おのずと2週目プレイのモチベーションが上がるだろう。すれ違い通信によってBP(バッジのレベルを上げるためのポイント)を手に入れたり、ゲームをしないでいる間の時間をBPに換算したりすることもできる。装備品やフードなどのアイテムも充実していて、全て手に入れようと思ったらかなり時間がかかるだろう。また、クリア後のおまけモードもビックリするほど充実しており、ハマれば何10時間、何100時間とプレイできてしまうのではないだろうか。
逆に言えば、それだけのいろんな要素が盛り込まれている本作は、その盛り込まれっぷりにおなかいっぱいになってしまうプレーヤーもいるかもしれない。冒頭から覚えることが多く、その都度説明画面は表示されるのだが、その情報量の多さに参ってしまう人もいるように思う。初心者への配慮もありプレイしやすくすることもできるが、テトリスなどのシンプルなゲームとは真逆のベクトルにある作品だ。シンプルなゲームが大量に存在する昨今、歯応えのあるゲームを渇望していた人にはうってつけの作品だと言えるだろう。ハマると抜け出せない渋谷がここにある。
「すばらしきこのせかい」 | |
対応機種 | ニンテンドーDS |
発売日 | 2007年7月27日 |
価格(税込) | 5980円(同梱版:2万2780円) |
CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA & GEN KOBAYASHI
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