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手応え十分の激闘――悪魔と雌雄を決するハルマゲドンに勝利せよ「ポピュラスDS」レビュー(1/2 ページ)

刻一刻と変化していく状況。その都度要求される最善の判断。ニンテンドーDS初登場となったリアルタイムシミュレーションの開祖は、シリーズ歴代の諸作と同じく、これでもかと言わんばかりに駆け引きの妙を味わわせてくれる。1プレイの時間は30分弱だが、密度は限りなく濃い。

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信者をたくさん集める。基本ルールはいたってシンプル

 なかなかに、いや相当に歯ごたえのあるゲームだ。リアルタイムシミュレーションが好きなプレイヤーには、この難易度はたまらないだろう。だが、本当の意味で素晴らしいのは、その難しさが決してマニアックな、膨大細密なルールによって支えられているのではないこと。例えて言うなら将棋やチェスに近い。ルールを覚えるだけなら、さして難しくない。が、実際にゲームをしてみると簡単には勝利できない。戦術を磨き、相手の目論見を読んでそれを防ぐという駆け引きが求められる。「ポピュラスDS」は、そうした入口の間口が狭く、奥が深いタイプの作品だ。しかも基本となるルールは、将棋などに比べても遥かに少ない。プレイヤーが関心を払うべきなのは、ただ一点、いかに信者を増やすか、ということだけなのだから。

神には、地、風、水、火、木という5つの属性がある。写真は地の神。地震を起こしたり、隕石を落としたりといった派手な攻撃ができる
悪魔も神同様に5つの属性があり、同じ内容の奇跡を使ってくる。写真は木の悪魔。攪乱系の攻撃を得意としている

 「ポピュラス」は1989年に北米版が誕生して以来(日本版は翌1990年発売)、伝統的に神と悪魔の戦いをテーマにしている。しかし、ここに登場する神は、それなりに大きな力を持ってはいるものの、宇宙の全てを統べるような絶対的な存在ではない。それどころか、信者の祈りがなければ何も出来ないという、考えようによっては結構哀れなヤツなのだ。神にとって自分の力は信者の数に比例する。悪魔に勝利するには、とにかく信者を増やしていくことが必須なのだ。

「土地」を確保し、「家」を建てて信者を増やそう

 ゲームの流れとしては、信者の数を増やし、それによって力(サイコパワーと呼ばれる)を集め、それを使って奇跡を起こし、自陣営を増強したり、敵陣営を疲弊させたりして有利な体勢を作っていくことになる。これをリアルタイムで行っていくわけだ。

 信者を増やすには、家を建てる必要がある。それには神の力でマップの地形を変化させ、平地を作ってやらねばならない。信者ユニットは自分の意志で適当にマップをさまよっているが、平地を見つけるとそこに家を建設して住むようになる。しばらく経つと家の住人が増えるので、彼らに次の家を建てるように命令を出す。この繰り返しで人口をアップさせていく。

 序盤は土地の造成によって自領地を広げていけばいいのだが、中盤あたりになると土地が足りなくなってくる。信者には「ゲンキ」と呼ばれるヒットポイントがあり、家あるいは城にいないでマップ上を移動していると、これが時間とともに減っていく仕組みになっている。すなわち、土地不足で家を建てられなくなると、外にいる信者はバタバタと倒れていってしまうのだ。これでは何のために人口を増やしたのか分からなくなる。

マップには山あり谷あり、さらには海まである。大地を隆起させ、あるいは陥没させれば、平地が出来上がる
平地を見つけた信者が家を建てる。ここで家を囲む8マスをすべて平地にすると家は自動的に城に昇格。こうするとより多くの人口を持てるようになる
タッチペンで信者をタッチすると残りのゲンキを確認できる。残り少なくなっていたら、早急に家を建てる土地を確保せねばならない

土地が足りなくなってきたら敵から奪え

画面右下にあるアイコンをタッチすると、信者への命令画面が開く。戦況をにらみながら、的確な指示を出していかねばならない

 この段階になると、そろそろ敵との対決を考えねばならないだろう。マップには限りがあるので、足りない土地は奪って補充するしかないのだ。とはいえ、闇雲に戦闘を仕掛けると信者が戦死しかねない。それではやっぱり意味がない。そこで戦闘に先立っていくつかの準備を行う必要が出てくるのだ。

 信者に出せる命令は全部で4種類ある。そのひとつが「陣取り」で、空き地を見つけて家を建てさせるコマンドだ。ある意味、基本命令といってもいいだろう。次が「戦闘」。信者はこの命令を受けると、手近にいる敵の信者や家へ対して攻撃を始める。ただし、あまり探す時間が長くなると、その間にゲンキが減っていく。戦闘は1対1での攻防として処理されるのでゲンキが少ないと勝率が低くなってしまうのだ。それを補うのが「合体」。信者同士を合体させて強化するコマンドだ。そして4番目のコマンドが「集合」。神と悪魔にはそれぞれシンボルがあり、各マップに1つずつセットされている。集合コマンドを出すと、信者がシンボルを目指して移動し始める。これは合体と組み合わせることで効果を発揮するコマンドといえるだろう。「集合」で信者を集め、「合体」で強化し、「戦闘」を仕掛ける。これがセオリーだ。

神の奇跡を用いて信者の行動をサポート

 ところで信者がいろいろ動き回っている間、神は何をしていればいいのだろうか。もちろん、状況を見て命令を下すという仕事はあるが、それと同じくらい大切なのが奇跡だ。

 奇跡は神(あるいは悪魔)が持つスペシャルな能力だ。その効果は大きく、ゲームの流れを左右する。使用できる奇跡は属性によっても異なるが、直接敵にダメージを与えるタイプと、味方を補助するタイプの2種類がある。前者はさらに建物を破壊するタイプと、信者を攻撃するタイプに分かれる。

 例を挙げてみよう。地の神の場合、属性に付随する専用の奇跡は「地震」「沼」「隕石」の3つだ。「地震」は地形を変えてその上に建っていた家や城に甚大なダメージを与える。先ほどの区分で言えば、攻撃系で対象が建物という奇跡だ。「沼」は毒性を持った沼を大量に作り出し、そこへ足を踏み入れた敵信者を死に追いやる。こちらは攻撃系で対象が信者となる。隕石は落下地点に巨大なクレーターを造り出し、家も信者もことごとく消し去ってしまう。両タイプの効果を併せ持った非常に強力な奇跡だ。

奇跡は画面左下にあるアイコンをタッチして発動させる。専用メニューを開けて実行してもいいが、フレーム上に並んだアイコンを2回タッチするほうが速い
地震や隕石は破壊を与えるだけではなく、「岩」も作り出す。岩はその上に建物が建てられなくなる障害物で、しかも大地を陥没させて海に落とさない限り消すことができない。敵陣営のど真ん中に大量の岩を作れば、それだけで有利になる

 地の神のオリジナル奇跡はどれも攻撃的で、しかも使いやすい。敵の家が密集している地域に地震を放てばほとんどの家が崩壊して敵はサイコパワーを集めにくくなる。敵信者の通り道に沼を作れば、待っているだけで自滅してくれる。隕石の破壊力は言うまでもないだろう。

 奇跡は組み合わせて使うことで、さらに効果を高めることができる。例えば、地震で家を破壊し、敵信者が外へ出てきたところへ沼を放つといった方法だ。こうした一種のコンボを完成させるにはそれなりのサイコパワーがいるが、決まれば大きい。

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