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ファミコン初のRPG「ハイドライド・スペシャル」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)

連載第57回は、「ハイドライド・スペシャル」(東芝EMI)。PCで人気のあった、T&EソフトのアクションRPGをファミコンに移植したもので、実はファミコン初のRPGなのです。ナムコから発売された「ハイドライド3 闇からの訪問者」もあわせて取り上げます。

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まずはスタート地点でレベル上げ

画像 「ハイドライド」を作ったティーアンドイーソフトは、名古屋市営地下鉄・藤が丘駅の近くにあった。愛・地球博の開催期間中、駅前では地下鉄からリニモへの乗り換え客が行列を作っていた

 今回は、リクエストが多かった「ハイドライド・スペシャル」(東芝EMI)を取り上げてみよう。

 PC版の「ハイドライド」は、1984年に発売された、アクションRPGの草分け的存在。後のゲームにも影響を与えた。

 ファミコン版「ハイドライド・スペシャル」が発売されたのは、1986年3月18日。PC版との大きな違いは、主人公が魔法を使えるようになった点。すでに発売されていたPC版「ハイドライドII」のシステムを取り入れたのだ。

 実はこの「ハイドライド・スペシャル」、ファミコン初のRPGである。「ドラゴンクエスト」(エニックス)が同年5月27日発売なので、「ハイドライド・スペシャル」の方が2か月ちょっと早い。「ゼルダの伝説」(任天堂)は同年2月21日発売で、ゲームシステムにも近い部分があるが、メーカー側が“アクションアドベンチャー”としており、また経験値を貯めてレベルアップするシステムではないので、RPGには含めないことが多い。

 「ハイドライド」「ハイドライド・スペシャル」の舞台は、3つの宝石によって平和が保たれていたフェアリーランド。宝石の1つが盗まれたことで、封印されていた悪魔バラリスが復活してしまった。勇者ジムは、バラリスを封印するのに必要な3つの宝石と、3人のフェアリーに姿を変えられたアン王女を探しに旅立つ。

画像 「ハイドライド・スペシャル」のスタート地点。この画面から外に出ないで、まずは2レベル上げよう

 まずはバラリスが放ったモンスターを倒していこう。今のRPGに慣れた人はとまどうかもしれないが、下に1画面進んだところに出てくる毒バチ・ワスプがもう強敵。スタート地点でひたすらスライムやコボルドと戦って、経験値(EXP)を稼ぐのだ。

 攻撃はモンスターの横や後ろから行なうのが鉄則。正面から当たると、受けるダメージが半端じゃない。Aボタンを押せば、ATTACK状態とDEFEND状態が切り替わる。ATTACK状態だと敵に与えるダメージが大きいが、自分が敵から受けるダメージも大きくなる。

 敵を攻撃するときはATTACK状態にするが普通なのだが、すごく弱い敵ならDEFENDでも倒せる。反対に、すごく強い敵と戦うときにもDEFENDは有効。少しずつ敵の体力を削って、危なくなったら体力を回復できる場所に避難する(草原でじっとしていれば体力が速く回復する)。ヒット&アウェイ戦法だ。

 モンスターを倒すとEXPゲージが伸びる。ゲージがいっぱいになるとレベルアップし、攻撃力と体力、魔力の最大値が上がる。ストーリー志向の強い最近のRPGとは違って、「ハイドライド」はこのレベル上げがゲームのメイン。レベルが上がるたびに少しずつ強くなっていって、今まで太刀打ちできなかったモンスターを倒せるようになる。単純だけどこれがおもしろい。

 セーブは2種類ある。1つはパスワード。後日続けてプレイできるが、経験値はそのレベルの最低値で切り捨てとなる。

 もう1つ、ゲーム内で“SAVE”と表示されているコマンドは、「電源を切らない限りその状態から再開できる」というもの。ゲームオーバーになったとき、“LOAD”コマンドを使えばSAVEしたときの状態に戻れる。こまめにSAVEして、少しずつ経験値を貯めていくのがクリアへの早道だ。

ノーヒントで謎解き

 レベルアップして行動範囲を広げていき、3つの宝石と3人のフェアリー、それから冒険に役立つアイテムを探し出すのだが……。行く先々で“謎”に行き当たる。それに引っかかってゲームが先に進まなくなってしまうのだ。

画像 木にぶつかると、強いうえに動きのすばやいワスプが出てくる。フェアリー救出はある程度レベルが上がってから

 まず、宝石がどこにあるか、フェアリーがどこにいるか、手がかりが全然ない。例えば最初のフェアリーは、ワスプの飛び交う森の中の、1本の木に隠れていて、その木に体当たりすれば発見できる。

 でもそれに関するヒントが、ゲーム中に一切出てこないのだ。だからフェアリーを見つけるには、しらみつぶしにいろいろなことをやってみるか、偶然木に当たって見つけてしまうかのどちらかしかない。

 当時のPCゲームでは、この種の謎は珍しくなかった。当時どころか、その後5、6年ほどこういう傾向は続く。謎が解けない人も、「ログイン」や「コンプティーク」などのゲーム専門誌を見れば攻略法が載っていたから、問題はなかったのかもしれない。

 しかし、そういうタイプのゲームに慣れていないファミコンのユーザーには、「ドラゴンクエスト」のような難度の低いRPGのほうが受け入れられた。「ハイドライド・スペシャル」は、「ドラゴンクエスト」の発売より前にファミコンに移植されながら、ファミコンRPGの歴史の中では、浮いた存在になってしまった。

 わたしは過去に、MSX版と携帯電話版の「ハイドライド」をクリアしたことがあるが、ファミコン版「ハイドライド・スペシャル」は初めて。そこで、実際にプレイをしていきながら、このゲームの流れを解説していこうと思う。

 さて、スライムとコボルドで経験値を稼いでレベルを上げると、教会の前にある迷宮の、吸血コウモリにも立ち向かえる。しかし、迷宮内をはいかいしている吸血鬼が倒せない。吸血鬼に対抗できるアイテムは、地上で楽に入手できるのだが、レベル3くらいではまだ歯が立たないのだ。

 おまけにレベル3ともなると、スライムやコボルドをいくら倒しても、経験値が得られない。そこで、地上にある別の迷宮で、ローパーを倒して経験値を稼ぐことにした。

地下迷宮と砂漠と2人めのフェアリー

 迷宮の入口付近でローパーと戦い、体力が少なくなったら外に出て休む。これを繰り返して2レベル上げた。この間に、ワスプの出る場所へ行って1人めのフェアリーを救出。

 レベル5でバンパイアをやっつけて、暗くて通路が見えない地下迷宮を明るく照らす「永遠のランプ」を入手。このランプで通路が見えるようになった、ひとだまのいる迷宮で、「勇者の剣」を手に入れて攻撃力アップ。

 続いて、2種類のよろいを着た戦士がうろついている迷宮へ。ピンク色のレディアーマーを何匹か倒すと、防御力の上がる「正義の盾(たて)」が手に入る。一方、ゴールドアーマーのほうを何匹か倒すと宝箱が出現。だが開けられない。

 この迷宮にある別の出口から出ると、川の向こうの砂漠に渡れる。砂漠では動きの速いサンドウォーム(大ミミズ)が襲ってくるので、急いで横断。動く木が何本かあるが、このうち1本にフェアリーが捕らわれている。ぶつかれば救出できるが、ほかの木に当たると大ダメージ。木を倒す必要はないので、フェアリーを助けたら、無理せずにさっさと退散だ。

画像 アーマー軍団はバラリスの親衛隊。1種類だけを数匹倒していかなければならない
画像 さえぎる物のない砂漠で、ジムを囲むように襲ってくるサンドウォーム。横や後ろから攻撃するのは至難の業
画像 裏技。ウェーブの魔法でウォームを3匹まとめて倒すと、砂漠に足跡が出現。しばらく魔法が無制限に使える

 砂漠の隅には、さっきの迷宮からの出口以外に、あと2つ出口がある。

 左下の出口に行くと、いきなり川の中へワープしてしまう。元の場所へは戻れないので、陸地に上がれる場所を探さなくてはならない。実はすぐ上に進むと砂漠に戻れるのだが、そこが見つからないと、川の中を延々と歩きまわるはめになる。しかも川の中には大ウナギ(イール)という強い敵もいる。川幅が細く、大ウナギをよけて進むのは難しい。

 もう1つ、砂漠の右下の出口からは、さっきローパーがいた迷宮の地下へ進める。宝箱がいっぱいあるが、ほとんどがカラ。しかし、ゴールドアーマーをよけながら宝箱を根気よく開けていくと、その中の1つに「秘密の鍵」が入っている。

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