シネマゲームの歴史をまとめた一冊「ゲームになった映画たち」:日々是遊戯
ビデオゲームの歴史が始まって以来、ゲームと映画は常に切っても切り離せない関係にあった。そんな「ゲームと映画」の歴史と関係をまとめた書籍「ゲームになった映画たち」が三才ブックスより発売された。
100作品以上のシネマゲームを網羅
僕がはじめて遊んだ「シネマゲーム」(映画を題材に作られたゲーム)は、たぶんファミコンの「グーニーズ」だったと思う。まだまだグラフィックが未発達で、楽しさのほとんどを想像力で補っていたような時代には、「映画」というバックグラウンドがあるだけで、画面にぐっと奥行きが出るのを感じたものだ。
そんなシネマゲームの歴史を一冊にまとめた書籍「ゲームになった映画たち −シネマゲーム完全読本」が、このたび三才ブックスより発売された。著者の吉田武氏は、“ジャンクハンター吉田”名義で過去多くの映画・ゲーム関連の記事やコラムをあちこちで連載していた、まさに「シネマゲームの第一人者」とも呼べる存在。それだけに、ゲーム好き、映画好きのどちらが読んでも満足できる、非常に「濃い」一冊に仕上がっている。
中身は全6章構成となっており、それぞれ「監督別」、「ジャンル別」、「俳優別」といったくくりで、100タイトル以上もの「シネマゲーム」を分類し、紹介している。単なるゲーム内容紹介のみにとどまらず、スピルバーグやタランティーノ、ジャッキー・チェンやジョニー・デップなど、名だたるハリウッド監督・俳優のコメントやショートインタビューが随所に挿入されており、読みごたえは十分。筆者も一応、そこそこの映画・ゲーム好きを自称してはいるものの、それでも「これってゲーム化されてたんだ!」という発見が多々あり、シネマゲームの奥深さにあらためて驚かされてしまった。ほかにも、ゲーム版「グーニーズ」でも使われていた名曲「The Goonies “R” Good Enough」が当時は無許可で使用されていたとか、プレイステーション 2版「ジョーズ」を手がけたのは「エコー・ザ・ドルフィン」のスタッフとか、マニアックなこぼれ話も豊富で、読み物としても楽しめることうけあい。価格は1890円(税込)とやや高いものの、それに見合うだけの満足度は保証できる。映画・ゲーム好きはぜひ一度手にとってみてほしい良書だと思う。
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