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ニッポンをとことん遊べる、地図とゲームの不思議なブレンド「ニッポンのあそこで」レビュー(1/2 ページ)

「ニッポンのあそこで」って何だ? それは世にも不思議な地図エンタテインメント。地図+ゲームな本作には、あれやこれやと遊び心と便利性を追求した要素が盛り込まれている。プレイヤー次第で長く付き合えるであろうエデュテイメントタイトルだ(※記事の後半には本作を活用したプチ旅行記もあります)。

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ニッポンのあそこってどこ? 

3D地図を巡りながら、ニッポンを楽しみ尽くそう

 「ニッポンのあそこで」というタイトルを見て、「あそこってどこ〜!」と心の中でツッコミを入れた人は多いんではないだろうか。

 ソニー・コンピュータエンタテインメントの「ニッポンのあそこで」は、3Dの日本地図を自由に駆け回る“地図・エンタテインメントソフト”。本作での“あそこ”がどこなのかは、人それぞれに違うはずだ。なんせ、本作にはまるごとニッポンが収録されており、地図としても使える大変便利なソフトだから。

 昨今エデュテイメントというジャンルが注目されている。エデュケイション(教育)とエンタテインメント(娯楽)を混ぜた造語で、楽しみながら知識・教養を身につけることができるジャンルを指す言葉だ。ニンテンドーDSやPSPなどの携帯型ハード市場では、特にエディテイメントソフトが多くリリースされている。どこにでも持ち運びできるハードの特性との相性もいいのだろう。普段ゲームをやらない人たちも巻き込んで、エデュテイメントなソフトは広く親しまれている現状がある。

 本作もジャンル的にはエデュテイメントのひとつだと言っていいだろう。国土地理院発行の2万5000分の1地図に完全準拠し、60万件以上の最新施設データを収録している。収録された日本地図にふれながら、日本各地の名所や特産物を覚えられるので、各県の地理や文化についての知識を身につけることができる。

 しかし、本作はただの日本地図ソフトにあらず。さまざまな機能を搭載し、エンタテインメントの部分もしっかりと作られた、筋金入りのエデュテイメントソフトだ。また、日本全土を3Dマップで表現しているので、全国どこでもぐりぐりと拡大、縮小、回転ができる。ニッポンを遊び倒せる、非常にユニークなタイトルなのだ。

ナビッチュのために、そして正しい日本のために、ギョをチュれ!

 本作には大きく分けて「調査モード」と「遊覧モード」がある。

 調査モードでは、ナビッチュという奇妙なキャラクターとともにニッポンを調査することになる。ナビッチュは、チキュウからはるか遠くにあるチュ星からやってきた宇宙ネズミ。巨大宇宙旅行代理店「コズミック・チューリスト」の一員として、「観光惑星開拓プロジェクト」のためにチキュウにやってきた、という設定だ。世界各地にナビッチュが訪れる中、ニッポン担当のナビッチュが現われ、プレイヤーにあれやこれやとお願いをしてくる。ナビッチュが乗ってきたUFOを操り、数々のミッションをこなしていこう。

かわいいナビッチュほか本作のキャラデザインは、「Pinky」やNEC「バザールでござーる」のバザール・デ・ゴザール、「ニャッキ!」などを世に出した伊藤有壱氏が担当している

 調査モードの日本地図は、最初は不完全な状態だ。というのも、各地の名所や特産物などを“ギョ”と呼ばれる魚型の調査用生物が飲み込んでしまっているからだ。ギョを捕まえて名所などを吐き出させることで、少しずつ本来の日本地図に近づいていく。ギョは各地にたくさん生息しているので、地図を完成させるまでの道のりは長い。

 では、ギョをどうやって捕まえるのか。魚は釣ればいいじゃない、というわけで、ギョだってチュればいいじゃない、ということになる。本作ではギョを捕まえることを「ギョをチュる」と言うのだ。ギョをチュることは、もちろんチュリと称される。

 調査モードでは左下にギョレーダーがあり、これを手がかりにギョを探すことになる。レーダーが反応しているところに行くと、ギョ影を見つけることができる。ギョ影が見つかったらさっそくチュリを開始だ。チュリにはナビッチュのUFOを使う。UFOをウキに見立てて日本上空でスケールのでかい釣りが展開する。UFOを着地させることでギョを誘い、UFOがギョにつつかれて地中にぐいっと引き込まれたら□ボタンを押してチュリ開始! ここで登場するのがバトルルーレットだ。

 バトルルーレットとは“ギョのライフを減らす”“UFOライフを減らす”などさまざまなピースで構成されているルーレット。うまく目押しをしてギョのライフを減らせる青いピースで止まるようにしていけば、やがてギョを捕まえることができる。逆にUFOのライフが減る赤いピースにばかり止めているとUFOのライフが減りチュリ失敗となる。アナログパッドをギョの進行方向と逆に動かす(釣りでいうところの竿をぐいっと引っ張る感覚)と、ルーレットのスピードが遅くなり目押ししやすくなるようになっている。

ギョをチュる作業は、慣れるまではちょっと大変かも。目押しに慣れればこっちのもの。どんどんチュりまくれるようになるはずだ

 ザコ的なギョであれば比較的簡単にチュれるはずだが、調査モードにはさまざまなミッションがあり、ミッションに関わるギョは通常のギョよりも青いピースが少なかったり、頻繁に移動方向を変えたりする(アナログパッドさばきが大変になる)ので、厄介だ。

 ミッションは「お笑いに関するもの」を集めたり、「ホタルに関するもの」を集めたり、「絶叫マシンに関するもの」を集めるなど、ユニークな着眼点の内容が多い。それぞれ関連した場所にワープすることが可能で、ワープした先でギョレーダーを手がかりにターゲットを探すことになる。自分のプレイで少しずつ日本地図が元に戻っていく達成感もあり、なかなか楽しいモードだ。

 ミッションを進める過程で、プレイヤーはチューロという本作独特の通貨を得る。プレイの進行に伴ってたまったチューロは、ヴリコさんのショップでのアイテム購入にあてられる。ここではご当地ウェア(各県の特産物にちなんだウェア)や特別ウェアを取り扱っており、これらを購入してナビッチュに着せることが可能だ。また、さまざまなテーマに沿ってスポットを集めたガイドブックの引換券や、遊覧モードでのスポット登録時に使うシンボルを買えたりもする。

自分の地元アイテムをまず集めたくなりますよね〜
ナビッチュにお気に入りのアイテムを着させてみよう

日本をまるごと遊べる遊覧モード スポットをブックに登録しちゃおう

気になるところはすぐさまスポット登録! という使い方をしていけば、本作が手放せなくなるかも?

 遊覧モードは、調査モードとは違って、本作に収録されたすべての地図要素が最初から揃っているモード。要は、普通に地図として使う場合は、遊覧モードにすればよいのである。

 遊覧モードにおいてもカーソル的な役割をするのはナビッチュのUFOだ。駅名や住所から検索するなどして日本のどこでも表示できる。表示の拡大や縮小を駆使して、日本中を移動しながら見て回ることも可能。正直なところGPSの代わりになるほど細かい表示はできないが、それでも主要な建物やコンビニなどの情報が充実しているので、まずは自宅の周りを調べるだけでも楽しいはずだ。

 遊覧モードでは好きな場所を気軽にスポット登録できる。あらかじめユーザーブックを作っておけば、ブックに登録することで、いつでもそのスポットを表示できるようになるわけだ。旅行に行った時に訪れた場所をユーザーブックにまとめておくのもいいし、友人の家リストなんてものを作ってみるのもいい。いきつけ居酒屋リストとか、行ったことがある温泉地チェックリストなど、好みに合わせてどんなブックでも自由に作れる。とにかく自分が便利になるように自分が楽しくなるように自発的に活用すれば、本作の面白さ、有用さは無限大だと言っていい。

 そして本作には、遊覧モードの面白さを促進する数々の要素がある。PSP本体にカメラを接続することで、スポット情報に自分が撮影した写真を貼れるようになるのだ。カメラはPSP専用ソフト「ちょっとショット」もしくは「MyStylist」に同梱されている周辺機器なので、入手するには少し敷居が高いが、すでに持っている人ならばぜひ試してみてほしい。友人がもし本作を持っているならば、アドホックモードで通信し、お互いのブックを交換することができるのも面白い。

 また、ペタマップ(PetaMap)という、地図上のスポット情報を作成・共有できる無料のWebサービスにも対応している。PSPのインフラストラクチャーモードでペタマップにアクセスすることで、ブックのダウンロードやアップロードができるのだ。事前にペタマップのサイトにPCからアクセスしてIDを取得しておかなくてはならない、などの手続きは必要だが、一度取得しておけば自由に利用できるので、興味がある人はペタマップを覗いてみるといいだろう。

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