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ニッポンをとことん遊べる、地図とゲームの不思議なブレンド「ニッポンのあそこで」レビュー(2/2 ページ)

「ニッポンのあそこで」って何だ? それは世にも不思議な地図エンタテインメント。地図+ゲームな本作には、あれやこれやと遊び心と便利性を追求した要素が盛り込まれている。プレイヤー次第で長く付き合えるであろうエデュテイメントタイトルだ(※記事の後半には本作を活用したプチ旅行記もあります)。

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ぶらり途中下車するつもりはなかったのに何度が途中下車してしまった旅 with PSP

 さて。ここからは本作「ニッポンのあそこで」をかかえてプチ旅行をしてきた筆者の体験記をお伝えしよう。

 前項ではあえてお伝えしなかったが、本作には「現在地にワープする」という便利機能がある。これはPlaceEngineと呼ばれる技術を利用したもの。PlaceEngineとは、ワイヤレスLANの電波情報から現在位置を測位する技術で、なんと、ネットワーク接続や周辺機器は一切必要がない。PSPのワイヤレスLANスイッチさえオンにしておけば利用できる、お手軽なサービスなのである。

 本作のUMDには、2008年1月現在の政令指定都市の主要エリアに対応したデータベースが収録されている。PSP本体のワイヤレスLAN機能で測定可能なアクセスポイントの電波が存在し、かつ、測定された電波情報がPlaceEngineローカルデータベースに収録されている場合のみ、現在地へのワープができる。と言われれば何だか条件が限定されていそうだが、無線LANの電波はそこかしこに飛んでいる昨今、それらをキャッチすること自体はそうそう難しくはなさそうだ。筆者の家で試してみたところ、すんなりと現在地表示をしてくれた。新宿や渋谷で試しても、やはりさくっと現在地を表示する。これはなんて便利な機能なんだ! と感心することしきりな筆者であった。

 では、このPlaceEngine、どこらへんまで利用できるもんなんだろうか……。筆者の好奇心がむくむくと湧いてくる。PSPを携えて、どっか軽く遠出でもしてみようかな……。そんな気まぐれからひとつの企画がスタート! 題して“ニッポンのはこねで”。まあ要するに箱根まで行ってみよう、箱根まで行く道すがら、PSPで現在地表示をしてみてPlaceEngineの実力やいかに、という点を検証してみよう、という勝手な企画である。

“ニッポンのはこねで”

 5月某日。雨がちな5月において、曇ってはいるもののまずまずいい天気。ひとまず新宿駅へと向かう。

 新宿駅での現在地取得は、予想通りバッチリ。目には見えないが無線LAN電波がびゅんびゅん飛んでいるのだろう。

メインターミナルのひとつ、新宿駅
分かりにくいが、画面下部には“渋谷区千駄ヶ谷5丁目”と書いてある。新宿駅はなにげにすぐそばに渋谷区があるので、これはまあだいたい合っていると言える

 ここから筆者は小田急線に乗って箱根湯本駅を目指すことにした。箱根湯本駅には何度も行ったことがあり、行く度に温泉に漬かって帰ってくる筆者。ロマンスカーで行ってしまうとあまりにあっという間に着いてしまうので、急行に乗ることにした。ここで致命的なミスを犯しているとは知らずに電車に乗り込む。どんなミスなのかは後ほどお伝えしよう……。

 何となく主要な駅で電車が停車するたびに現在地情報を取得してみることに。しかし、のっけから失敗! 下北沢駅と経堂駅では位置が取得できなかったのだ。まあこれは、若干電車が走り出した頃に取得を始めたからかな、とか、電車の中じゃダメだけどホームとかに出れば大丈夫かな、などと思いつつ、お次は登戸へ。

 そして登戸にて現在地取得に成功! 神奈川県川崎市多摩区東生田1丁目という住所表示と登戸駅周辺の画像がバッチリ表示された。特に電車からは出ていない。車内のイスに座ったままだ。さらに、登戸から移動中の電車の中でも現在地が取得できたりもした。こちらは川崎市多摩区枡形5丁目。ふむふむ、これは面白いな、と、その後も位置を取得する筆者だった。

登戸、ゲットだぜ〜、なんつて。何となく“ゲット”した感を感じます
電車移動中も位置取得が可能。じゃあ下北沢や経堂は何だったのか? PlaceEngineの機嫌が悪かっただけなのか。

 その後の結果を何となく列挙していこう。

  • 新百合ヶ丘駅 失敗
  • 町田駅 相模原市上鶴間本町3丁目を取得
  • 相模大野駅 相模原市相模大野8丁目を取得
  • 中央林間駅 失敗
  • 大和駅 失敗
  • 長後駅 藤沢市を取得
  • 藤沢駅 藤沢市鵠沼石上1丁目を取得

 ここまでそこそこ順調に取得できているように見えるが、小田急線に詳しい方なら筆者が犯した致命的なミスについてもうお気づきだろう。何を隠そう(何も隠していない)筆者は藤沢行きの急行に乗ってしまったのだ! どういうことかというと、小田急線は相模大野で分岐している。筆者が藤沢行きに乗ったのはまあいいとして、相模大野で乗り換えなければ箱根湯本までたどり着けなかったのだ。そこんとこよく分かっていない筆者は、なんとなく藤沢で乗り換えればいい、という間違った認識のもとに、のんきに位置取得をしていたのだった。

 そのことに気づいたのは長後のあたり……。時すでに遅く、結局藤沢まで行ってしまった。

藤沢まで来たがもちろん降りなかった。私が降りたいのは箱根湯本なのだッ!

 しょうがなく上りの電車で相模大野まで引き返し、相模大野−藤沢間の往復で1時間ほどのロス。まあそんなにタイトなスケジュールではなかったので問題はない。本当は箱根湯本駅行きに乗ってぶらり途中下車を一切しない旅にしたかったのだが、最初の電車選択ミスから、とんでもなく途中下車をしてしまった。トホホ……。

 気をとりなおして、相模大野から小田原行きに乗り換え。小田原で箱根湯本行きに乗り換えて、今度こそ箱根湯本に到着した。そこまでの取得結果は以下の通りだ。

  • 海老名駅 海老名市中央3丁目
  • 本厚木駅 厚木市旭町1丁目
  • 小田原駅 小田原市城山1丁目
  • 箱根湯本駅 失敗
海老名駅周辺
こちらは本厚木駅周辺 なかなか栄えている様子が分かる

 箱根湯本では、降りたあといろんなところで現在地取得を試してみたが、無線LAN電波はついぞキャッチできなかった。確かに主要都市からははずれたスポットではあるが、観光地として人のにぎわいもあるので、現在地を取得できなかったのは残念だ。それでも小田原までけっこういい感度で取得できたというのは収穫だった。電車の中でもこれだけ取得できるのだから、街中はもっと取得しやすいのではないだろうか。なかなか使える機能だと言える。

 余談ではあるが、箱根湯本に着いた筆者は適当に蕎麦を食べ、駅近くのかっぱ天国という日帰り露天風呂に入ってきた。かっぱ天国には初めて入ったのだが、値段が安い分かなりこじんまりとした印象。駅からも看板が見えるので気になっていた人もいるのではないだろうか。少人数でちょろっと入る分にはまずまずな感じの、素朴な温泉だった。

箱根湯本駅の構内は大規模な工事中だった
大自然に囲まれた温泉町。いいですね。こうした記録を自分なりにユーザーブックにまとめてもよし

人力車なんてシャレたものもあります。もちろん、ユーザーブックに記録
かっぱ天国……。素敵なネーミングです

プレイヤーが積極的に楽しめれば、活用法は限りなく広がる

 本作の評価は、ゲーム性に重きを置くか、地図としての有用性に重きを置くかで変わってくるように思う。ゲーム性だけを取り沙汰してみれば、正直なところ奥深さはない。チュリの要領はすぐに把握できるし、チュリというアクションだけをとってみれば、そんなにやり込み要素はないのだ。ただ、チュリをすることで手に入るさまざまなアイテムに価値を見出せれば、コレクション的なハマり方、やり込みプレイはできるように思う。

 また、地図としての有用性においては、前述もしたが、GPSの代わりにはならない。詳細情報に限界があるので、本作だけを頼りにドライブする、というわけにはいかないだろう。とはいえ、3Dで描かれた日本全地図という意味では十分価値がある。スポット登録による活用には可能性を感じるし、写真貼り付け、ペタマップとの連動、PlaceEngineによる手軽な現在地取得、など、地図ソフトとしてかなり便利かつ斬新な機能が盛り込まれているので、それらをフル活用する人にとっては値段以上の価値あるものになるように思う。要は使い方次第、使う人の裁量に任されている部分が大きいタイトルだと言える。ニッポンをとことん楽しみたい人にオススメの一本だ。

「ニッポンのあそこで」
対応機種PSP
ジャンル地図・エンタテインメント
発売日2008年5月1日
価格(税込)3980円
対応インフラストラクチャ対応、アドホック対応、PSP専用カメラ対応
プレイ人数1人
(C)Sony Computer Entertainment Inc


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