MMO化に後れを取るな:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その24)(3/3 ページ)
「最近どうよ?」の連載24回目。「冬ソナ2」で初めてアタリを見て感動し、Wii版シレンを待ち望むくねくねハニィが、海外に連れて行ってくれるスポンサーを募集しながらオンラインゲームについて語ることにしてみたのでよろしこ。
お行儀が悪いユーザーたち
日本人がMMOに入って海外の人と遊ぶとびっくりすることと言えば、MMOのユーザーたちは意外にお行儀が悪くて(もちろん良き人もたくさんいるんだけどね)、要求されているインフラ水準に達してないのに参加したり(転送速度128Kbps以上って言っているのに、電話回線64Kbpsで入ってきたりとか)、負けそうになると回線を切ったり、チャットでありえな〜い暴言を奮ったりと、なかなかマナーの悪い人も多いのですな。これは匿名性が高いからってのもあるんだろうけど、何とかしてほしいものです。ま、2人対戦の場合は相当な被害を受けますが、たくさんの人と遊んでいれば、たまにそんな人もいるのよね、って割り切れなくもない。
そんな前提条件も踏まえて設計されてるMMOもあれば、それによってユーザーにやりたい放題にされてしまって大騒ぎになっちゃうMMOタイトルもあるのだよ。自由度が高いからこそ人気を博しているのだけど、だからこそ規制しなくちゃいけないこともあるわけ。スタンドアロンのパッケージゲームとは違って「起こりうる問題を予期して作る」と言う意味では、とてもハードルが高いよね。
止められないMMO化への移行
がたがたといろいろな側面から語ってきましたけど、MMOという言葉はもうとっくにPCだけに語られていることではない、というのは認識していただきたいなと。PS3やXbox 360では、もはやオンラインプレイはもうゲーム機には欠かせないものになってるし、欧米ではアイテムのダウンロードやランキングのアップロードなんかでは「Online」とはみなされない時代になってきているのだ。
作り手としてどうか? と言えば、スタンドアロンが業界で当たり前だったコンソールの開発に目を向けると、考え方を大きく変えないと対応できないよね。「最近どうよ?」(その11):くねくねハニィが語る日本と欧米のゲーム作りの違い、で述べた通り、欧米ではPCで作ったものをコンソールに落とし込むから、特に新しい努力はいらないのだ。強いて言えば、PCに追いつかないスペックにどうやってダウンサイジングするか、ということだけで、日本の業界のように大きなパラダイムシフトは求められないのだね。
別の言い方をすれば、欧米にとってはマルチプラットフォームの一環なので、もともとPC向けで考えていたオンランプレイが、やっとコンソールでも実現できるようになった、ってだけなのだ。手ごわいですね〜。年季が違うので、日本のメーカーは心しなければいけません。オンラインゲームを作るときは、「スタンドアローン+オンライン機能」ではないのだ。「オンライン」は「オンライン専用」くらいの気持ちで作らなきゃ太刀打ちできない!
では日本の開発はどうしたらいいんじゃろか? いえいえ、悩むことではないのさ。良質なPC向けのオンラインゲームは日本でも古くからあるし、モバイルコンテンツだってオンラインがバリバリに入っている! そこで!ハニィからの提案! 「コンソール向け」の開発に「PC向け」や「モバイル向け」を融合させていきましょう。過去に優良な日本発のMMOタイトルがたくさん出ているじゃあないですか! 日本発のモバイルコンテンツがいっぱい評価されてるじゃぁあ〜りませんか!
MMOといえばPCの世界のこと、ってのは古い。PCとコンソールが開発の意味でも流通の意味でも特に交わらずに来た日本の事情が、色濃く出た結果なのかもしれませんけど。Xbox 360の「Gears of War」だって「Halo」だって、PS2の「SOCOM」だってMMOへ足を半分以上突っ込んだようなもんなんだから(ちなみにこれらのオンラインゲームはMMOではなくMO=Multiplayer Onlineと言われています)。と言う意味では、閉じられたコンソール開発にPCの風を吹き込んでみるもよしかなぁと。そういえば話題の「GTA」シリーズも最初はPCでしたね〜。
そろそろプラットフォームの垣根を取っ払って、「ワンソースマルチユース(1つのものをいろんなところに供給ってこと)」を実現しませんかね? と本当に思うハニィでした。PC向けにゲームを開発されている方々! ぜひコンソールにも息吹を送り込んでくださいませ!
ハニィのあとがき
Wii版の特典付「シレン」を4月に予約して、指折り数えてましたじょ。そろそろお届けかしらん。こういうRPGはなかなか海外で爆発的に売れてくれないのはどうしてだろ。コツコツと積み上げてモノを作っていくとか「地道」な喜びを、海外ではゲームに求めていないのよね。残念。このおもしろさを伝えたいと思って海外で力説してみるんだけど、やっぱりエンターテインメントとは「派手」でなければいけないのかしら。またやり込んで懲りずに伝えに行くぞと。
ところで、「GTA IV」の影に隠れてるんだけど、「Mario Kart Wii」といい、「Wii Fit」といい、ものすごく売れていますね。もはや任天堂はゲーム業界ではなく、任天堂業界と思われるほど違う方向に突っ走ってるとも言える。そういえばニュースで言い忘れてました(ダメじゃん!)が、「WiiWare」は北米で5月12日に無事ローンチされ、さらに欧州と豪州では5月20日にローンチされましたよ。欧州のローンチタイトルは下記8タイトル。やっぱり「もじぴったん」はローカライズが無理みたいです(当たり前か?)。
- Dr. Mario & Germ Buster (Nintendo)
- Final Fantasy Crystal Chronicles: My Life as a King (Square Enix)
- Lost Winds (Frontier)
- Pirates: The Key of Dreams (Oxygen Interactive Ltd)
- Pop (Nnooo)
- Star Soldier R (Hudson Soft)
- Toki Tori (Two Tribes B.V.)
- TV Show King (Gameloft)
残念ながら任天堂が発表しない限りダウンロード数は分からないのだけど、バーチャルコンソールの結果を噂レベルで聞いていると、海外では日本の数倍の数は期待できると思われるのだ。海外のユーザーは日本人に比べてダウンロードってこと自体に抵抗がないってのはよく言われることだけど、モバイルコンテンツの例があるからそうとも言い切れないと思うのね。インフラに加えて供給側がいかに簡単に抵抗なくダウンロードまで誘導するか、ってことだからね。
ゲーム性の意味でも、流通の意味でも、インターネットはもう無視できない時代なのだね。スペックの一部ではなく、インフラ自体が変わっているということに気がつけば、自ずと変革を迫られていることが見えてくる。しつこいけど、「オンライン」は追加ではなく改革なのだね。
くねくねハニィのプロフィール
1967年アメリカサウスダコタ生まれの日本人。
小学生からはゲームセンターに通いまくってやたら大きく育つ。
1990年に都内K大学を卒業後、大手ゲーム会社にて海外ソフト担当となり、2001年に退職。それ以降は自称フリーのゲームアナリストとして暗躍。暗躍しすぎたので名前を変えて表舞台に。くねくねと唐突に現れて「親父ギャグ」をかまして周りの人々のレベルを下げまくる困ったやつ。独特の語り口調ですが、もう慣れてくださいとしか言えません。言ってる中身は至極マジメなので。ちなみに「風来のシレン」が好物で、名前もそこから借用。なんだか公認してもらったそうです。
そういえば、ハニィさん、海外取材に連れて行ってくれるスポンサー募集をシレっとしておりますな。僕も連れて行ってもらいたいものです。もちろん、ハニィさんの見張りで。連絡は編集部まで。
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