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目指すは米国App Storeナンバー1──ハドソン 柴田氏が語る「iPhoneアプリにかける思い」ゲームプラットフォームとしてのiPhone(3/3 ページ)

国内の大手ゲームベンダーの中でも、特に積極的にiPhoneアプリをリリースしているハドソン。同社はiPhoneをどうとらえ、どのような可能性を見いだしているのだろうか。発売当初から「めちゃめちゃおもしろいデバイスとして注目していた」というハドソンの柴田真人氏に聞いた。

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年末から年明けにかけて、さらに数タイトルを投入予定

 これまでに、計14本のアプリを投入しているハドソンだが、これからも積極的にiPhoneアプリを展開していく姿勢は変わらない。柴田氏は「年末から年明けにかけて、軽く5タイトル以上は出していく予定です。すごくいいゲームもいっぱいあるので、楽しみにしていてほしい」と胸を張った。

 iPhoneのSDKが公開されてから、まだ8カ月ほどしか経過していない。それ以前から、ある程度研究はしていただろうが、そんな短期間で何本もゲームタイトルを発売できるほど、iPhone向けの開発は簡単なのだろうか。

 「端末の仕様が1つしかないので、ケータイ向けのアプリ開発などと比べると劇的に簡単です。この部分はコンシューマー向けのゲーム端末に近いですね。また、開発環境もよくできていて、もともとMac OSの環境を継承しているので、開発経験が少ない人でも、ちょっとしたツールくらいならすぐにできてしまうでしょう。SDKのバージョン2.1からは、NDA(機密保持契約)の制限が緩くなったので、いろいろな情報交換やノウハウ共有もしやすくなり、より開発環境はよくなると思います」(柴田氏)

 ソフトウェアベンダーにとっては、時間をかけずに開発できることは大きな魅力だという。開発コストは開発にかかる時間とほぼイコールなので、短時間で開発できればコストは抑えられる。ハドソンでは、iPhoneアプリを「20人月以下で作っている」(柴田氏)そうで、開発コストはとてもリーズナブルに抑えられている。

 とはいえ、やはり日本市場だけをターゲットにしたアプリというのは、まだコストに見合うだけの売り上げにはならないという。現在販売中の「花札狂」や、この冬に発売予定の「麻雀刑事」(現在開発中)といった、花札や麻雀ゲームは、「やっぱり自分たちが欲しいので作りました」(柴田氏)。特に麻雀刑事は、柴田氏が「最高によくできていますよ」と話すほどの自信作だ。

 「日本人向けに作ると、やはり市場が限られますので、正直厳しいです。ただ、おごった言い方ですが、我々のコンテンツがあることで、少しでもiPhoneやiPod touchが売れてくれれば、という気持ちで作っています。今後iPhoneを買う人が、必ず麻雀と花札とボンバーマンは買ってくれるというくらいの定番商品を目指したいですね」(柴田氏)

ユーザー同士のコミュニティが、常時接続のiPhoneによってつながる?

 最後に柴田氏に、今後の展開を聞いたところ、非常に興味深い話が出てきたので紹介しておきたい。柴田氏がお気に入りのアプリを聞いていたときに、偶然その話になったのだが、柴田氏は現在、ユーザー側からのインプットを反映させられるような世界に将来性を感じているという。

 「iPhoneには、ネットワークに常につながっているということと、インタフェースが分かりやすいということで、お客さんが入りやすいという利点があります。今後はお客さんと近い距離の新しいアプリを作っていきたいですね。距離が近いというのは、ゲームそのものだけでなく、ゲームにコミュニティが同居しているようなもの、という意味です。プレイした後で、そのゲームについてわいわい話せるような仕掛けを一緒に提供できたらと思っています」(柴田氏)

 柴田氏は「ユーザーはきっと、自分がプレイしているゲームについて、いろいろ話したいことがあると思うんです」と言う。しかし、ネタバレの関係とか、それぞれのユーザーの進み具合によって、話していいことといけないことがあるので、おそらく一般の掲示板などでは、皆が気を遣いながら話している。あるいは、気を遣わない人がいることでけんかになったりもする。「それはそれでコミュニティだと思うんですが、そこをサポートする仕組みを用意してあげたら、もっと盛り上がるんじゃないかと思っているんです」(柴田氏)

 具体的には、レーティングのような形で、ゲームのあるレベルやあるステージまで達した人たちをセグメント化し、同じレベルの人たち同士で、気兼ねなく話せるような仕組みにしたいという。そうすれば、まだそのレベルに達していない人に対してネタバレの心配をする必要はなくなるし、細かな部分に突っ込んだ話もしやすくなる。「こうすることで、ユーザーさんは思いっ切り、自由に話せるようになると思うんです。ゲームについての思いは、きっとみなさん熱く語りたいはずです。ですから、それをうまく受けられるような場が提供できたら、と思っています」(柴田氏)

世界市場へ向けた取り組みを強化し、ハドソンブランドを広げていく

 SDK提供が明らかにされる前に公開されたハドソンのiPhone向けWebサイト「Do the Hudson」は、現在アプリ開発に注力しているためなかなか力が入れられていないそうだが、今後はtouch Trixの充実を図るほか、無料のWebゲームなどもてこ入れして、このサイトをキーにして、全世界へ向けた取り組みを強化していく考えだ。

 「Do the Hudsonは、最初から日本語と英語のサイトを立ち上げたように、もともと世界を目指した取り組みです。今後はWebサイトとアプリの両面で盛り上げていきます」(柴田氏)

 今までのゲームも面白かったが、それにさらに磨きをかけたゲームを多数展開していくと笑った柴田氏。これからもハドソンの“iPhoneプロジェクト”から目が離せない。

Photo
東京ゲームショウ2008のビジネスデイには、ハドソンブースでiPhoneアプリのデモも行っていた。ただ、ストラップホールがなくて「固定しにくい」という理由と、「固定するとiPhoneならではの操作ができない」という理由から、コンパニオンのお姉さんが端末を持ち、希望者はプレイできるという形で披露した。こんなところにも、今までになかったデバイスならではの悩みが

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