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スローライフも楽じゃない? Wiiで始まる新たな牧場生活「ルーンファクトリー フロンティア」レビュー(2/2 ページ)

ファンタジー世界を舞台に、農作業と戦闘のマッチングが新感覚を生み出している「ルーンファクトリー」シリーズ。ニンテンドーDSで2作展開され、最新作がついにWiiに進出! 大きな画面で充実感たっぷりの暮らしが味わえる。

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充実した農作業パート

 ゲーム開始当初、ラグナの前に荒れ果てた畑が広がっているのはいつも通り。石ころや枝が散らばり、雑草も生え放題。そこで邪魔なものを取り除き、クワで耕して種をまき、毎日水をやる。丹精込めた結果、野菜ができたら収穫&出荷してお金を稼ぐ。これが農作業の基本。1個1個収穫していくのは手間がかかるが、季節ごとにいろいろな野菜ができて“今回もたくさん実ったなあ”という実感が湧いてくる。

photo 最初に託された畑はぐちゃぐちゃ状態。農具の性能も悪いので、とりあえず小枝や石だけを取り除いてこぢんまりした畑を作る
photo トランルピア村の風景。水が豊かに流れ、風車が回る美しい場所だ。海開きや収穫祭などのイベントもある

 外の牧場だけでなく、家の中でもやれることは非常に多い。

●料理
 作物や釣った魚を材料にして料理を作る。料理を食べるとHPなどのパラメータが回復するばかりか、攻撃力や防御力もアップし、戦闘の際には欠かせない。レパートリーを増やすため、鍋やオーブンなどの調理道具をそろえる必要がある。

●鍛冶
 鉱石を消費して、武器や農具を加工する。強い武器を作れば、ダンジョン攻略が楽になり、深い階層からいい鉱石が手に入る。するとまた強い武器が作れる。ただし、自分のレベルに合わない武器は振るだけで相当疲れるので注意!

●クラフト
 クラフトでは防具、アクセサリーなどを作成する。モンスターから手に入れた「獣の皮」や「尖った牙」が「皮のベルト」や「イヤリング」に変わる。これらは頭・体・首・手に装着できて、防御力が上がる。見た目も変わるので、コーディネートにこだわるのもアリ!?

●調合
 草を組み合わせて主に薬品を生成する。ダンジョン内には状態変化攻撃をしてくる敵も多いので、毒を中和するドクケッシン、マヒを治すマヒロンなどは必須。また、作物の成長を早める栄養剤も作れる。

 これらの作成はすべてゲージの目押しで行う。作成を始めると白いバーが左右に動くので、うまく青のゲージ内で止めると成功だ。ただし、作りたいもののレベルが高すぎると、青いゲージ幅が狭まってしまう。また、いきなり失敗扱いになってしまうことも。簡単なものをコツコツ作って各スキルレベルを上げていこう。

photo キッチンで「カブの酢漬け」にトライ。下のゲージを青で止めると成功。緑で止めると“いい感じ”に仕上がる
photo 装備をつけると見た目も変わる。麦わら帽子にカマで草刈りルック! 格好良くはないが雰囲気は合っている!?

 さらに今回、新たに導入されたシステムが、空中を漂う精霊「ルーニー」だ。赤=ルーニーロック、緑=ルーニーグラス、黄=ルーニーツリー、青=ルーニーアクアと4種類存在し、食物連鎖の関係がある。トランルピア村では「教会地区」「商業地区」など、地区ごとにルーニーの数がカウントされており、生息数のバランスが崩れてルーニーが壊滅すると作物の成長が遅れたり、場合によっては枯れてしまったり、などの被害が出る。そこでバランスを調整するために、ふわふわ浮いているルーニーを収穫器で集めて、各地区に放し直す作業が必要だ。

photo ルーニーが浮かぶ様子はとても幻想的。自宅前の畑では、収穫可能状態の作物9マスにつき1日1体のルーニーが生まれる

 大気の精霊にも捕食関係が存在し、それが作物に影響を及ぼすという概念は面白いし、また、生態系を整備して発展させるというゲーム性自体もいいと思うが、今回はまだアイディア止まりの感もある。ルーニーのバランス調整はかなりプレイヤーにとってはちょっと手間のかかる作業なので、もう少し改良・進化されれば新たな切り口になっていくだろう。

 また、収穫器で集めたルーニーは時計台に住む女の子キャンディに渡すと、ルーンワンダーという魔法のもとになる。翌日を雨の日にしたり、ダンジョンの扉を開けるルーンストーンを生成したりと、使い道はさまざま。お金とは違った新しい通貨という意味で、こちらも次回作があるなら、発展の余地がありそうだ。


ダンジョンの戦闘も充実

 生活パートと並んでもうひとつの柱がダンジョンでのアクションパート。モンスターは青い光「モンスターゲート」の中から出現して、ラグナを襲う。大元のゲートを壊さなければいくらでもモンスターは現れる。

 戦闘では、一見モンスターを倒しているかに見えるが、実は本来のすみかである「はじまりの森」へ帰らせているのだ……と、まあ細かい設定はいいとして、経験値を稼いでレベルアップするのは、一般的なアクションRPGに近い。

 気をつけたいのは、HPとRP(ルーンポイント)の関係だ。RPは行動力のようなもので、どんな作業をしても減っていく。RPが0になった後で作業を続けると、今度はHPがなくなっていく。直接モンスターにやられてHPが削られるのは仕方ないが、RP切れを起こし剣を振るたびに自分でHPを減らしては悲しい。RPが0にならないように対策が必要だ。

 ルーンファクトリーシリーズで面白いのはダンジョンにも畑があって作物が栽培できること。ダンジョンの中は季節が固定されている。だから、春のダンジョンならいつでもイチゴが栽培できるというわけ。これで、目当ての女の子に渡す果物が切れる心配はないし、何十日もかかってゆっくり成長する花も育てられる。さらに、合計9マスの畑に作物が実った状態になっていると、白い光の玉、ルーンが発生し、取るとRPを回復できる。ここは農作業とダンジョン攻略が融合している部分だ。

 また、牛やニワトリの代わりにモンスターを捕まえて飼えるのもシリーズの特徴。戦闘中、やられながらも必死にブラシでなでなでするとモンスターが仲間になる。ミルクや卵が取れるモンスターのほかにも、収穫を手伝ってくれるモンスターや、乗って移動できるモンスターもいる。序盤のオススメはシルバーウルフ。乗ると移動が速く、ちょっと格好良い。湖に行ったり浜辺に出たり、風のように村を駆け抜けよう。

photo 炎が熱そうな「つるくさの遺跡」。ダンジョンごとに優位な属性があるため、弱点を突くような武器を作ると有利かも?
photo ダンジョン内でも作物の栽培は可能。収穫せずに放っておくと毎日ルーンが出現し、RPが補給できる。これで剣を振りまくっても大丈夫

photo モンスターは家畜として飼育できる。毎日ブラシでなでると仲良し度が上がり、頼んだ作業の効率が高まる
photo 愛狼のシルバに乗って橋で記念撮影。ダンジョン内でも乗れて、さらに乗ったまま攻撃もできる、デキるヤツ

一本立ちし始めたシリーズ

 ニンテンドーDSからWiiに移って若干ロードは遅くなったが、村も広く、景色もきれいになって緑が豊かな雰囲気が良く出ている。

 また、操作回りも工夫され、道具の持ち替えなどのショートカットが便利になった。リングメニューからすぐに使いたい道具がセレクトできる。このシリーズでは道具の使い分けは煩雑だが、今回はさほど気にならない。

 ただ、チュートリアルらしいチュートリアルがないのはWiiのユーザー層を考えるとどうなのだろうか。プレイのベクトルが最初から多方面に広がっているので、初めてだと戸惑いやすい。本編とは別に何かしらガイドがあっても良かったのではないか?

 ついでにもうひとつ書くなら、セーブデータがコピーできないというのもやや不満だ(本体からSDカードへのコピーは可能)。ひとつのデータが1個の人生、という考え方もあるのかもしれないが、いろいろとトライしてみたくなるゲーム性だけに、ここはユーザーの利便性を考慮してほしかった。

 今回のフロンティアで、牧場物語の外伝というポジションから飛び立ち、新鮮な魅力を持ったシリーズとして歩み出した感もあるルーンファクトリー。今後、どういった方向へ進化していくのか? 個人的には冒険色をもっと強めて、各地で自給自足しながら戦うゲームなんてのもいいかな、と思ったり。

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RPG | Wii | 牧場物語 | スローライフ


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