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コンセプトは、いちから作り直す“モンスターハンター”「モンスターハンター3(トライ)」開発者インタビュー(1/4 ページ)

「モンスターハンター3(トライ)」の辻本良三プロデューサーと藤岡要ディレクターに熱烈インタビューを敢行! Wiiで生まれ変わった新生“モンハン”について、いろいろな話を聞くことができた。

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入っている安心感よりも、新しいものの新鮮感

藤岡要氏(左)と辻本良三氏(右)

―― 「モンスターハンター3(トライ)」の開発が始まったのは、いつ頃なのでしょうか。

辻本良三氏(以下、辻本氏) 「2(ドス)」(「モンスターハンター2(ドス)」)が3年半前に出ています。「2(ドス)」発売後から“3”とつくタイトルを据え置き機で、っていうのはありました。

藤岡要氏(以下、藤岡氏) 実質、動き出してからは2年強って感じですね。

―― 「モンスターハンター3(トライ)」の大まかなコンセプト、テーマは何ですか。

藤岡氏 モンスターハンターも世に出て5年経過しますが、開発スタッフの中でモンスターハンターでやりたいことがたまってくるんですよ。ユーザーの方々からも、もっとこうしてほしいという要望もあります。いろんな人のプレイしているところを見たりもしました。それらをふまえて、もう一回いちからモンスターハンターを見直して自分たちの思うモンスターハンターを作ってみよう、というのが開発の大きなコンセプトのとっかかりでした。ハードを変えるというのはひとつのいいきっかけになったと思います。このタイミングなんで、自分たちがやりたいことをバーッとならべてそこから拾い上げる作業をしました。

辻本氏 ハードが変わるタイミングというのは、ひとつの僕らの言い訳でもあります。いちから作り直すというタイミングは難しいんですよ、シリーズものは特に。こちらとしては、きっかけがほしいんです。そのきっかけにピッタリはまったのが、ゲーム業界的にハードが切り替わってくる時期だったので、ちょうどよかったんです。

藤岡氏 「2(ドス)」までの流れだけだとやれることにも限界はきていたので、モンスターハンターを新たに立ち上げ直す瞬間は絶対必要だと思っていました。新しいハードになったということもあって、自分たちのやりたいことを、まず大きく「今モンスターハンターを作るとしたらどんなことをやってみたい?」というような話をして、水中という要素だったり、モンスター同士の生態表現を強められないだろうか、という話をして、土台からの練り直しを始めました。

辻本氏 一番簡単に言う、大きなコンセプトといったら“モンスターハンター”なんです。“モンスターハンター”を作ろう、と。その土台にあるのは、今までの経験と蓄積した技術です。

―― 登場モンスターがガラリと変わったのも、いちから作り直すというコンセプトのあらわれでしょうか。

辻本氏 シリーズのモンスターは「3(トライ)」(「モンスターハンター3(トライ)」)に全部は入ってないですね。入っている安心感よりも、新しいものの新鮮感を重視したんです。僕らはそれに対して責任をとれる、絶対にそう感じてもらえるだろう、というところに対して徹底的にやった、という結果です。

藤岡氏 モンスターハンターのステップアップとなる土台を作りたかったんです。ここで、もう一度モンスターハンターに期待感を持ってもらいたかった。だから、土台としてもしっかりしたものを作らないといけない。それを作るためには、今までの概念を捨てて、いちから想像しやすいもの、想像をいれやすいものを選択していく必要があります。水中っていう要素がある以上、水中のモンスターがいます。新しい環境に対して新しいモンスターがどんどん入ってきます。新しいモンスターでほぼ一新して始め直そうというのは強く思っていました

―― 今後もし、旧モンスターにこの世界で会えることがあったらとか想像すると楽しいですね。

藤岡氏 想像するだけでも、わくわくするじゃないですか。そういうわくわくする環境を作るのが大事なのかなと思っています。

辻本氏 これだけ新しくしたら、けっこうなんだかんだでおなかいっぱいになってもらえる。深くすることによっておなかいっぱいになってもらえる。豪華な料理がその都度運ばれてくるというような感じになってます。

―― 実際プレイしてみたのですが、それぞれの大型モンスターがよくできてて、なかなか飽きが来ないです。

藤岡氏 同じクエストに行っても違うことが起こったりします。採取ポイントひとつとっても毎回同じ場所にあるわけじゃなくて、採取することが楽しくなるような工夫がしてありますね。アプトノスが違うところにいたりとか。そういう土台を作っておく、というのが今回のコンセプトです。いちから作るために環境から一新したんです。

辻本氏 それだけチャレンジをいっぱい入れてます。

苦労はあったが楽しさもあった――コントローラとの格闘

―― Wiiでの開発で苦労した点、逆に楽だった点、楽しかった点などはありましたか。

藤岡氏 ゲームを作るときに“楽”ってことは基本的にはないと思っています。Wiiだからってことではなく、どんなハードでもそうなんですが同じように苦労はあります。そういった意味では、特に今回のWiiでの特徴的な部分でもある、コントローラには思い出が多いです。そこには苦労もあったんですけど、その分楽しさもありました。新しい操作感覚、インタフェースに挑戦しているという楽しさです。

辻本氏 “楽”ってことはないって言うと、しんどいだけなのかって思われるかもしれないですけど(笑)、楽しさはあります。開発スタッフを見ているとヌンチャクコントローラは正直言って楽ではなかったですが、楽しさはありました。

藤岡氏 意外と、水中操作などプラスされた要素が多かったんで、クラシックコントローラでも色々と悩みは多かったですけどね(笑)。

辻本氏 ヌンチャクは難産でした。難産でしたが、ちゃんとこの子が生まれたらすごいものになるかもしれない、操作として新しいモンスターハンターを提供できるかもしれない、というのはありました。これはクリエイターとしての藤岡の楽しさの部分ですね。(リモコンとヌンチャクでの操作に関して)これどうしようもねえやというところから始まってたら絶対にいいものはできません。ヌンチャクでの操作がチャレンジしがいがあるということが藤岡には見えてたんです。

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