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パレットタウンと「チョロQ」タウンゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)

9月9日は「チョロQの日」だったらしい。それにちなんで今回は、プレイステーションなどで発売された、タカラ(現・タカラトミー)の「チョロQ」ゲームシリーズを取り上げてみよう。あと1年弱で姿を消す、お台場の大観覧車を惜しみつつ。とあるバンドの楽曲に心を動かされつつ。

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RPGと化すチョロQの世界

 ゲームの話に戻ろう。「チョロQ3」発売後の1998年から1999年にかけて、「チョロQジェット レインボーウイングス」「チョロQマリン Qボート」「コンバットチョロQ」など、チョロQを主役とした数多くのゲームが発売されている。また、セガサターンやニンテンドウ64にもチョロQのゲームが登場。テレビゲームの分野でも、チョロQはタカラの主力商品となった。

 1999年、「チョロQワンダフォー!」発売。これまで1つだったチョロQの町が4つに増えた。RPGテイストが強く、町を走っているほかのチョロQや、建物の中にいるチョロQに話を聞ける。

 ただし、ゲームバランスがかなりきつい。走れるコースが少ない上に、敵車が強くてなかなか入賞できないのだ。しかもパーツを買う店もない。町に隠されたパーツもあるが、数が少なく、十分にパワーアップできない。わたしは2つめのレースでなかなか3位以内に入れず、話が先へ進まなくてかなり苦労した。

「チョロQワンダフォー!」では、チョロQが誤って前回の優勝トロフィーを壊してしまったところから、物語が始まる
どうせRPG風にするなら、経験値によるレベルアップの要素も取り込んだら、もっと先へ進みやすかったのに
「ぼくのチョロQ」のマップ画面。マップ上の印を選ぶことで、ミニゲームに進んだり、交通ルールを学んだりする

 その後も「チョロQ」シリーズは続く。2002年には「みんなのタカラモノ ぼくのチョロQ」という、変わり種のソフトも発売された。これはチョロQが出てくる知育ソフトで、ミニゲームによって交通ルールや、いろいろな仕事について学べるようになっている。なお、みんなのタカラモノシリーズにはほかに、「わたしのリカちゃん」というソフトもあるらしい。

「チョロQ HG」の画面。さすがにプレイステーション2、光源処理がかっこいい。広告看板も読みやすくなった

 プレイステーション 2では2000年から、「チョロQ HG」シリーズが4作、ほぼ1年に1作のペースで発売されている。最初の「チョロQ HG」は、プレイステーション版「チョロQ」をグレードアップさせた感じのゲーム。チョロQの町は出てこない。

真夜中のBlue Sky

 「HG」もいいが、わたしが個人的に好きなのは「チョロQ HG2」。町の規模が半端ないのだ。江戸時代風のフジシティや、プレイヤーが発展させていくマイシティなど、個性的な町がいくつもあって、それぞれにコースが設置されている。

 複数の町を渡って進むという、「ワンダフォー!」に近い形だが、「HG2」はあらゆる面で進化している。まず、イベントやクエストが豊富になった。クリアすると、持っている手帳にスタンプが押される。手帳のスタンプ欄には100個の枠があるので、それを埋めていく楽しみがある。スタンプ自体は「ワンダフォー!」にもあったが、HG2のスタンプは、入手条件が「ワンダフォー!」ほど厳しくない。

 町から町への移動ルートが、単なる通路ではなくなり、さまざまなイベントやミニゲーム、チョロQコイン(こちらも全部で100個)が隠されている。

 景色も良く、広いフィールドをただドライブしているだけでも楽しめる。丘の上にある風力発電の風車とか、高速道路のジャンクションとか、海の中とか。眺望のいい場所には「プチクラショップ」なる店が存在し、現実世界の観光地さながらに、記念写真シールを作ることができる。プチクラショップも100店舗あって、撮ったシールを貼る手帳の枠を埋めていくのも楽しい。

 なお、町と町の間の距離はかなりあるが、素早く移動したい場合はワープできて便利。

 「ワンダフォー!」と格段に違うのが難易度。序盤のレースは、ゲーム開始直後に入手できる装備だけでも上位入賞が可能だ。たとえ入賞できなかったとしても、自由にフィールドを移動できるから、先へ進めなくなることもない。さらに、屋根に広告看板をつけて走れば、少額ながら収入が得られる。

プチクラに写るチョロQの姿は、そのとき使っているボディやパーツ、カラーリングによって変わる
フジシティの風景を望む。この美しい町の裏で、実は悪代官の陰謀が……
レースでは24台ものチョロQが一度に出走する。スタート直後は大混戦必至

 そして「チョロQ HG2」の、大きな魅力の1つがBGMだ。

 フィールド移動中のBGMはラジオという設定になっていて、音楽専門の「Q-WAVE」、音楽中心だがトークも入って、いかにもFMっぽい「ピーチFM」、トーク中心の「E-放送」の、3局から選べる。

 黎明期のネットラジオのような、フリーダム過ぎるトークが印象的だった。とりわけ、ゲーム内時間の夕方にE-放送でやっている、「夕焼けごっこ」という番組は、あり得ないくらいゆるい(ほめ言葉)。

 音楽の方では、ピーチFMで午後6時半(ゲーム内時間)から流れる、ピンクサーディンというバンドの曲が素晴らしい。

 夜のハイウェイを走りながら「Blue Sky」を聞くと、現実世界で、渋滞を避けるため真夜中に乗っていた車の中で、深夜の音楽番組を何となく聞いていたときの感覚を思い出す。人の姿が見られない街の風景に、音楽が相まって感じられる幻想的な雰囲気。それが「チョロQ HG2」の中でよみがえる。

 「Blue Sky」というタイトルの曲なのに、夜にしか流れないけど、この際それは関係ない。

 あと、もう1曲収録されている「爪痕」の方もいい。ものすごく情念が込められている曲で、チョロQの世界観に合ってるかどうかは別としても。

 「チョロQ HG3」にも、ピンクサーディンの曲が収録されている。ゲーム中にアイテムとして、「爪痕」「Blue Sky」を含む6曲を入手できる。

 ちなみに、ピンクサーディンは現在も活動中。そういやわたしはまだCDを買っていなかった。今度買おう。

高速道路を走る車はほかにいないので、サンドポリス市街地の見事な夜景もひとり占めできる

 2008年に発売された、Wii版「チョロQ Wii」には町が出てこない。でもプレイステーション版や、プレイステーション 2版の1作めもそうだったので、次回作でまた町が復活する可能性もある。

 お台場のパレットタウンは、いったん更地になった後、新たな建物と観覧車が造られ、今より大きな町へと生まれ変わる。シリーズを重ねるたびに発展してきたチョロQの町も同じように、より大きな町へと変わっていくことだろう。


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