「でろーんでろでろ」って何?:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)
連載第80回にして、初めてテクモのゲームを取り上げます。プレイステーション初期にヒット作を次々とリリースした同社ですが、実はプレイステーション第1弾は、「でろーんでろでろ」なるソフトだったのです。
深谷市で! ねーソックリ
今回取り上げるゲームは「でろーんでろでろ」(テクモ)。1995年に登場したアーケードゲームで、同年末プレイステーションに、翌年セガサターンに移植された。いわゆる落ちものパズルであり、落ちてくるぷ……じゃなかった、“でろ”は四角くて、積み重なるとまるでレンガのようだ。
というわけで、レンガにゆかりの深い埼玉県深谷市を訪れた。深谷駅で降りて駅舎を見てみると、東京駅にそっくりだった。深谷市は実業家・渋沢栄一の故郷で、渋沢らが1887年(明治20年)に日本煉瓦製造という会社を設立。地元の良質な土で造られたレンガは、法務省旧本館や日本銀行本店、赤坂迎賓館など、東京の大きな建物に使われた。
そして、日本で多分最も有名なレンガ建築物である東京駅。ここにも日本煉瓦製造のレンガが使われている。それにちなんで、深谷駅は東京駅を模した建物になっているのだ。もっとも、駅舎が線路をまたぐ形で建っていて、本当に全部レンガで造るとつぶれてしまうため、駅舎自体は鉄筋コンクリート製で、外側をレンガ調に装飾してあるのだとか。それにしても壮観である。
さて深谷といえば、生産量全国1位を誇る長ネギが有名だが、「でろーんでろでろ」の“でろ”も、ネギのように長く伸びるのが特徴だ。
くじけるな! 落ち込むな! ぷよ○よするな!
1996年から1997年にかけて、テクモはプレイステーションでヒットを連発した。刻命館、ギャロップレーサー、モンスターファーム。また同時期にアーケードで人気となったデッドオアアライブも、後にプレイステーションへ移植された。だがそんなテクモのプレイステーション第1弾ソフトは、刻命館でもギャロップレーサーでもなく、落ちものパズル「でろーんでろでろ」だった。
2個セットで落ちてくる“でろ”は、同じ色のものが4個くっつくと消える。“でろ”を消して、対戦相手のフィールドに“じゃまでろ”(おじゃま玉)を落とし、相手フィールドの左から3列めを埋めると勝ちとなる。
……「ぷよぷよ」(コンパイル)そっくりな仕様である。
そっくりなのはゲームシステムだけではない。“でろ”の色味や顔の表情、「おじゃま」「連鎖消し」などの用語、2つのフィールドの間に敵キャラクターがいる画面構成まで。
「ぷよぷよ」と違うところは、消えた“でろ”の周りにある“でろ”が横に腕を伸ばす点。伸びた腕が別の“でろ”に触れて、それで同じ色が4つ以上くっつくとまた消えて、連鎖消しになる。また、伸びた腕はおじゃまぷ……じゃなかった、“じゃまでろ”を消すことができる。
もう1つの特徴は、連鎖が起こった時に動くスロットが画面上部にあること。ボタンを押してどこかの列に止めると、その後その列に落ちてくる“じゃまでろ”はコインになって消える。
「ぷよぷよ」については単行本「レトロゲームが大好きだ 平成編」にも書いたので、詳しくは述べないが、「ぷよぷよ」のヒットに触発され、色や絵柄を合わせ、連鎖を狙って何かを消す落ちものパズルがいくつか登場した。
「ぷよぷよ」自体は2000年発売の「ぷよぷよBOX」に収録されるまで、プレイステーションに移植されておらず、「ぷよぷよ通」も「でろーんでろでろ」の発売時点では、まだ移植されていなかった。
かつてスーパーファミコンに「ストリートファイターII」(カプコン)が移植される前、対戦格闘ゲームの「らんま1/2 町内激闘篇」(メサイヤ)がヒットしたという例もある。「でろーんでろでろ」もその線を狙ったのかもしれない。
でもそう考えると、既に「ぷよぷよ通」が発売されていたセガサターンにまで、なぜ移植されたのか説明がつかない。
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