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国家事業としてe-sportsが推進される韓国も、日本人の想像を絶する世界だった(3/3 ページ)

昨年に引き続き開催された中韓政府主催のデジタルゲーム競技イベント「International E-sports Festival」に、今年も行ってきました。e-sportsの本場韓国の現状をリポート。e-sportsスタジアムの取材もしてきましたよ!!

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韓国e-sportsスタジアムに行ってきました

 帰国前日、ソウル市内に宿を移した筆者は、電気街を回りつつ、市内にあるというe-sportsの専門施設に案内してもらった。まず、ヨンサン区に広がる電気街を歩くと、ゲーム関連ショップがとにかく多いことに驚かされる。筆者が見た限りでは、日本のゲームショップの様にディスプレイされている店舗はあまり見かけず、ケースの中にところせましとゲームソフトや、ゲームハードが並べられている。興味深いのが、中古ソフトも新品も一緒に並べられていること。お客さんはどれでも好きなものを選べばいい、といったスタイルのようだ。

 また、さすがにe-sports先進国ということもあってか、どのお店でもゲーミングマウスやキーボード、ヘッドセットのラインアップが充実していたり、日本ではなかなかお目にかかることのないスタークラフトやカウンターストライクのパッケージソフトが売られていた。ある店舗では、なぜかネオジオCDの製品版ROMがあったり、ワンダースワンカラーのFFが売られていたり、PCエンジンのソフトがあったりと、謎な商品構成のお店も。

 筆者が、国内で手に入らなかったとあるゲームソフトの在庫を訪ねると、店員は自分の棚をひとしきり眺めたあと、「ちょっと待って」とどこかに電話を始めた。一言二言会話をすると、「そこにいてくれ」とどこかに行ってしまった。しかも店舗は無人……。しばらくまっていたらどこからか戻ってきた店員が手にしていたのはお目当てのソフト。しかも、未開封の新品だ。話を聞いてみると、ショップ同士である程度在庫を共有しているようで、他のお店から譲ってもらうこともしばしばあるという。なお、価格の交渉もある程度は可能なので、トライしてみるのも一興だろう。

韓国のゲームショップの一例。鬼武者専用コントローラーがなぜか売られていた……
ゲームデバイスも多種多様。韓国格闘ゲーマー御用達のナスレバー型ジョイスティックも陳列されている

一体どういった経緯でここに並ぶことになったのかよく分からないものも売られている。オールドゲームファンは行く価値アリかも

 そして、電気街から歩いてすぐのところにある大型ショッピングモール「I`PARK mall」の最上階にあるのが、「e-sports Studium」だ。ここはゲーム専門のテレビチャンネル「OnGameNet」の公開収録スタジオを兼ねており、筆者が訪れたときは、オンラインRPG「AVALON ONLINE」を使用した「AVALON LEAGUE」の試合が行われていた。ちなみに、この会場では日本人選手を招いての「ストリートファイターIV」や「アラド戦記」イベントが行われたこともある。

 会場自体はそれほど広くはないものの、平日の夜にもかかわらず、シートほぼ満席で、プレイヤーの人気の高さを感じさせる。会場にいた関係者に話を聞いてみたところ、人気の高い番組の公開収録の際は、会場に入れないこともあるという。入場は無料なので、興味のある人は一度足を運んでみるといいだろう。

いかにもデパートっぽいつくりの壁にサインパネルが掲出されている
試合ステージの中央にある巨大なスクリーンで、試合の状況を観戦できる
AVALON OnlineはRPGとシミュレーションの要素を融合させたゲームだ

e-sportsシーン激動の2009年。そして来年は?

 経済不況のあおりをくらってスポンサーが獲得できずに解散するチームや、運営が立ちゆかなくなったイベントが多く見受けられた2009年のe-sportsシーンだったが、日本では、東京大学の馬場章教授が会長となり、e-sportsを学術的に調査・検証するための団体「日本eスポーツ学会」が立ち上がったり、文化祭でのe-sportsイベントが行われたりと、ゆるやかではあるが、日本ならではの動きが始まっているように見受けられる。

 また、11月に中国・成都で行われたWorld Cyber Games2009では、日本チームが「バーチャファイター5 Live Arena」部門で金メダル、「REDSTONE」、「アラド戦記」部門で銀メダルを取り、総合成績が世界78カ国中4位と好成績を収めた。やはり、日本で人気の高いタイトルでは、優秀な成績を収められるといいうことだろうか。

 今後、国際e-sports連盟の設立をきっかけに、さらに国際的に連携が始まっていくであろう世界のe-sportsシーンに対して、日本が孤立していかないためには、入賞を狙えるタイトルに選手を送り込むことと、カウンターストライクやスタークラフトといった国際的な競技タイトルで選手を送り込むこと、この両方を持続することができれば、少しずつ海外とのギャップも埋まっていくことだろう。

 現時点で決定している2010年のイベントとしては、アメリカ・ロサンゼルスで行われるWorld Cyber Games、上海万博のスウェーデン館で行われるDreamhack、フランスのディズニーランドで行われるElectronic Sports World Cup、などがある。現時点で、どのイベント、どのタイトルで日本予選が開催されるのかは不明だが、続報がわかり次第、引き続き情報をお届けしていきたい。

 なお筆者は、IGDA日本で「デジタルゲーム競技研究会」を主宰させていただいており、不定期ながらe-sportsに関連する勉強会を開催している。興味のある方はお越しいただきたい。

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