あえて今、レコーダー付きプレイステーション「PSX」を振り返ってみる:日々是遊戯
発表されるやいなや、各所で話題を呼んでいる「torne(トルネ)」ですが、「録画できるプレイステーション」と言えば、PSXの存在も忘れてはいけません。
早すぎた名機?
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)が先日発表した、プレイステーション3専用地デジレコーダーキット「torne(トルネ)」(PS3で地上デジタル放送の録画ができちゃう――地上デジタルレコーダーキット「torne(トルネ)」発売)。発表以来、すでに各所で話題沸騰の本製品ですが、実はこれよりもっと前に「録画ができるプレイステーション」が存在していたことをご存知ですか?
その製品とは、2003年にソニーが発売した「PSX」。簡単に言えばプレイステーション 2にHDD・DVDレコーダー機能が付いたもので、ゲーム機としてPS・PS2規格のゲームが遊べただけでなく、HDDおよびDVDにテレビ番組を録画することもできるのが特徴でした。発売当時は大きな話題となっていましたから、覚えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、後にファームウェアアップデートで機能改善が図られたものの、発売当初はレコーダーとしての機能面がやや不十分だったこともあり、セールスで同社の「スゴ録」に惨敗。2004年、2005年にはさらなる機能を追加した新モデルも発売されましたが、現在は当初の出荷予定台数が終了したとして、残念ながら生産終了となっています。
そんなわけで、結果的だけを見れば決して成功とは言い難かったPSXですが、改めて振り返ってみると、かなり時代を先取りした製品であったことが分かります。例えば、PS3やPSPのメニュー画面としてもおなじみの「XMB(クロスメディアバー)」ですが、実はこれをはじめて採用したのはPSXでした。ゲーム機ならではの高い処理能力を生かし、それまではいかにも無機的で分かりにくかった家電のインタフェースを、グラフィカルで分かりやすいものにする――という発想には大いに驚かされました。
また、後期のモデルでは録画した番組をPSPに持ち出して視聴することができたり、取り込んだ写真に音楽やエフェクトをつけて、動きのあるスライドショーを作成することもできたりと、今のプレイステーション 3の前身とも呼べそうな機能もちらほら。市場からは姿を消してしまいましたが、所有者からの評価は総じて高く、今でも現役で使っている人も多いと聞きます。
PSXの生産終了から5年、今こうしてtorne(トルネ)が大きな話題になっているのを見ると「やはり早すぎた製品だったのかなぁ」と思わずにはいられませんが、PSXで培われた技術や設計思想は、間違いなく今のPS3やPSPにも息づいているはず。残念ながらPSXは地デジには対応していないため、HDD・DVDレコーダーとして使えるのはあと1年半とちょっとになりますが、まだ使っている人は大事にしてあげてくださいね。
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