“レッツゴー!陰陽師”へ至る道のり「豪血寺一族」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/4 ページ)
連載第84回は「豪血寺一族」(アトラス)。動画サイトで「レッツゴー!陰陽師」がすっかり有名になってしまいましたが、第1作から個性的なBGMとアクの強いキャラクターには定評がありました。
あいつこそが豪血寺の頭主様
さらにぶっ飛んでいたのは、出てくるキャラクター全員が、親族という設定だ。アメリカ人もイギリス人もイタリア人も中国人も、みな親戚なのである。
彼らが戦うのは、豪血寺一族の頭主を決めるため。5年ごとに開催される格闘技大会で優勝した者は、一族の頭主となり、豪血寺家の莫大な財産を手にすることができるのだ。
システム面での特徴は、全キャラクターとも2段ジャンプ(ジャンプで空中にいる間のジャンプ)ができること。両者とも空中に上がると、フィールドが上にスクロールする。また、レバーを左右どちらかに素早く2回倒せば、全キャラクターがダッシュを使える。
最終ボスは現在の頭主で、お種の双子の姉・お梅。お種と同じ技を使うが、それぞれ威力がパワーアップしている。ちなみにお種は幼い時、お梅に箱詰めにされて捨てられたという壮絶な設定。
BGMは、後に「レッツゴー!陰陽師」で有名になる田中敬一氏が、この1作めから手がけている。ホワイト・バッファローのステージBGMは歌声入り。礼児大山(2作め以降「大山礼児」となる)のBGM「男の空手道」には、声は入っていないものの、歌詞が設定されている。
「豪血寺一族」はスーパーファミコンとメガドライブに移植されている。スーパーファミコン版では、本来対戦中にうろついてるはずの黒子が、戦いの前後にしか出てこない。さすがにアーケード版をそのまま再現というわけにいかなかったか。
Princess Clara 始動!
1994年、「豪血寺一族2」がアーケードに登場。豪血寺家の格闘技大会は5年に1回のはずだが、頭主の座に就いたお種が失踪し、急きょ新頭主決定戦が行なわれることになったという設定だ。
システム面では“忍耐メーター”と“一発奥義”が新たに加わったという特徴がある。が、それよりも何よりも、オープニングがすごい。新キャラクターの花小路クララを全面的にフィーチャー。魔法少女のクララが変身して、セクシーなスーパークララになるという、前作のイメージからは想像もつかないムービーにあ然とさせられた。クララの声が三石琴乃さんだし。
今までヒロインといえば、割と地味なアニーしかいなかっただけに、派手派手なクララを前面に立ててプッシュしようという意図が、このオープニングから見て取れる。
後に、クララを主人公にした、クオータービューのアクションゲームも発売された。タイトルは「プリクラ大作戦」。アトラスの「プリント倶楽部」に掛けたタイトルだが、ここでの“プリクラ”は“プリンセス・クララ”の略。
「プリクラ大作戦」では、クララは“ミラクルワールドのプリンセス”ということになっていて、ウララという姉と、キララという双子の妹がいる。このゲームはアーケードで登場し、セガサターンに移植された。
このようにクララが目立つ「豪血寺一族2」だが、ほかの新キャラも濃い。戦う幼稚園児・孤空院金田朗は、相手の精気を吸うと、筋骨隆々の犬に変身する。お梅の元夫の孤空院干滋(かんじ)は、スーパー干滋として登場し、一発奥義(爆裂放屁)を放つと本来のお爺さんの姿に戻る。さらに、ランプの魔人を操るサハド・アスラン・リュート。そしてお梅とお種の母、御年101歳のお志摩。
前作からのキャラでは、アンジェラが前作と違って、見た目も声もちゃんと女性になっている。あと今回はお種が頭主なので、お梅とお種のポジションが入れ替わり、お種が最終ボスとなる。
BGMはさらにパワーアップ。陳念ステージ「坊主でダダダ!」や、クララステージ「魔法みたいな恋したい」、才蔵ステージ「涙の『…』」(ポパペパプ)、金田朗ステージ「悪がき幼稚園園歌」など、歌入りのBGMが大幅に増えた。礼児ステージの曲にも歌声が入ったが、変なアレンジまで入っていて、初めて聞いたときは笑ってしまって勝負に集中できなかった。
「豪血寺一族2」はプレイステーションに移植されている。アーケードでの次作「豪血寺外伝 最強伝説」の要素を取り入れた、チームバトルモードがついていた(ただしプレイヤー2人による対戦専用)。このためタイトルが、「豪血寺一族2 ちょっとだけ最強伝説」となっている。コマンド系の技がやや出にくい点や、背景が寂しくなった点、CDの読み込みでゲームが止まる回数が多い(特に、キャラが変身するたびにいちいち止まる)点などが惜しまれる。
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