まさにSense of wonderなアイデアを発掘。ゲームの伝統に縛られない、個性的な9作品を一挙紹介!:TGS2010【センス・オブ・ワンダーナイト 2010】(5/5 ページ)
東京ゲームショウ ビジネスデー最後のプログラムとして、9月17日に国際会議場で行われたセンス・オブ・ワンダーナイト。ゲームの伝統に縛られず、創造的、実験的なゲームを紹介するイベントで、今年が3回目の開催となる。今回は9作品を選考委員が選出し、プレゼンテーションが行われた。
ゲームと音楽、両感覚から生まれる新しい感覚を目指した「アノソノコノミチャン」
プレゼンテーションの最後を飾るのは芸夢中心(ゲイムセンター)の、深見氏と宮本氏が発表する「アノソノコノミチャン」だ。「音楽ゲームの新しい形を模索する事で始められました。まずは今の音楽ゲームの現状を確認するため、手当たり次第に音楽を主題に扱っているゲームをプレイしました。そこで解ったことは、プレイヤーはゲーム上で成功と判定される箇所で報酬として音楽を鳴らすことによって、そのゲームプレイは結果的に、ほぼイコール、リズムをとったり演奏するなどの音楽的な方法が、現在成功している音楽ゲームに用いられている、ということです」。そう述べる深見氏は、この成功している音楽ゲームに使われている手法を用いて、より完成した音楽ゲームができるのではないかと模索して、その結果作った実験的ゲームが「アノソノコノミチャン」ということになる。
本作のゲームプレイの目的は、赤く染められた惑星を、一つずつ緑に染めていき、最後の惑星までたどり着くことだ。さらにゲームは昼夜が分かれており、昼間はプレイヤーが強く、夜中は敵が強くなる。昼と夜の攻防が、ゲーム的な感覚として、音楽的な部分とゲーム的な感覚が混ざることによって、新たな感覚を生み出しているそうだ。
なお、この「アノソノコノミチャン」は、マイクロソフト XNA ゲームソフトウェアコンテスト 2010にて優秀賞を受賞しているうえ、今年の「センス・オブ・ワンダーナイト」プレゼン作品で初の3Dゲームである。このゲームを作りたいがために、勤めていた会社を辞めたというエピソードもあり、この作品にはかなり力の入った作品となっていた。
2時間以上に渡って行われた9作品のプレゼンテーション。どれも個性的な作品ばかり
愛を表現するゲームに始まり、社会的メッセージや数学的ゲームなど、幅広い作風が見受けられた今年の「センス・オブ・ワンダーナイト」。ぱっと見て、仕組みを知った瞬間に「Sense of wonder」な世界に引きずり込まれる、とても面白いイベントだった。2時間以上の長丁場だが、最後まで“pico pico”が衰えることもなく、参加者も十分楽しめたようだ。
プレゼンの内容については非常に高評価で「皆さんがどういう考えでゲームを作られているのかがよくわかる」というコメントもあったほどだ。また、「ぱっと見たときに、これは何をやるゲームなんだろう? と解らないゲームというのは、最近ではかなり貴重だと思うんです。なので、次回以降全く何が起こるかわからないゲームというのも、個人的に面白いと思います」そんなコメントをしたのは長 健太氏。確かに最近のゲームには、ぱっと見で何となくどんなゲームかわかってしまうものが多い。そういう意味では、意表をつく勢いで新しいアイディアが溢れてくるこのイベントは、「Sense of wonder」な気分で一杯だった。
最後にGOW氏から新氏に「センス・オブ・ワンダーナイトは来年もありますか?」と聞くと、「実は、日本のタイトルが今回3つしか選ばれなかったのは、正直に申しますと、海外とのレベルの差がハッキリしているのもあるんです。今、インディゲームというのは世界中でブームになっています。どうすればそういうものを日本でも作れるのか、もしくは今回来てくれた人たちと、一緒に楽しむことが出来るのかというのは、もっと来年に向けて考えて生きたいと思ってます。ですので、日本でもインディゲームを盛り上げたりするのに、皆さんにご協力していただきたいんです。その上で是非、来年もやっていきたいなと思います」そう、IGDA日本代表 新 清士氏は締めくくった。
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