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コンピレーションアルバム「Elements Garden III -phenomena-」発売! Webリレー企画第5弾Elements Gardenメンバー全員集合インタビュー(4/5 ページ)

音楽制作集団Elements Gardenのコンピレーションアルバム第3弾「Elements Garden III -phenomena-」のリリースを記念して、メンバー全員にお話を伺った。

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──今回のアルバムElements Garden III -phenomena-、全16曲ですが、選曲・曲順はどうやって決めたのですか?

藤田 「選曲に関しては、メンバーがまんべんなく入るように、そして個人が入れたい曲をチョイスしました。曲順は全曲並べてみて、“今まで自分が聴いてきたアルバムってどんな曲順だったっけ”とか考えたり。僕とかはiTunesじゃなくCDの人間なので。『ここからのこの流れとかはないよね』とか、『これは物語が急すぎる』とか、あれこれ話し合いながら悩みました」

菊田 「悩みますよね」

藤田 「うん。だからこそCDっていいなって思うんですよね。曲順も意図したものなので」

上松 「一番意見を言うのって誰だろうね? 菊田かな?」

菊田 「最近はそんなに」

上松 「“最近”は(笑)」

藤田 「昔は“曲順の菊田”みたいなのがあったけど」

菊田 「昔はありましたけど、最近は違うかなって。みんなと一緒にやろうと」

上松 「でも水樹奈々ちゃんのCDの時は『曲順だけは俺が』って乗り込んだって(笑)。プロデューサーも『曲順、菊ちゃんにお願いできるかな』、『菊ちゃんの意見はどうなんだろう』みたいな。そういうのあったよね」

菊田 「曲順とか好きですね。若い頃、自分のマイベストアルバムとか作るじゃないですか、MDとかで。あれがすごく好きで、同じ曲を使って、違うバージョンを3つ作ったり。最初だけ変えたらどうなるとか」

上松 「今回のアルバムの曲順は誰がメインでやったんだっけ? 淳平?」

藤田 「僕と中山と菊田かな。曲名を短冊にバラバラに書いてテーブルへおいて、順番を並べてました。僕も自分で曲順並べて、ご飯食べに行って戻ってきたら変わってたり(笑)」

菊田 「できた、と思ったら風でふわって飛んだり(笑)」

藤田 「これで完璧だ! と思っていたら(笑)」

──サブタイトル“phenomena”はどのように決められたのですか?

上松 「だいたい出てこないんだよね、まず(笑)。コンピレーションアルバムというか、Elements Gardenはコンセプトが強くあるわけではないんですよね。音楽制作集団で、プロデューサーが100求めているものを150返すとか。もちろん、この音楽どうすればいいと聞かれれば全力で応えますし。そういう職人気質が強いので、意外と0を1にするとき迷ったりします。だからこそ毎年こういったアルバムを出すことは、僕たちの感性を刺激するので、そういった面でも意義があります。今回のサブタイトルはどうやって決まったんだっけ?」


藤田 「これはですね……覚えてないですね(笑)」

中山 「気づいたらそこに」

上松 「気づいたらそこにあったね。この前はギリギリだったよね、“TONE CLUSTER”」

菊田 「MIX中もずっと考えてましたね。でも今回は早かったですね」

上松 「みんなと話していて、Elements Garden IIIのコンセプトとしてあったのは“変化”、変化をしていくことはとても大事というのがあって。守りに入ると、同じようなことしかやらなくなってしまうので、『Elements Gardenは常に挑戦している』ということを出したくて。だからこそ谷山紀章さんにお願いしたり。“phenomena”はそういうことをすべて内包する言葉と思って選びました」

谷山紀章氏起用の経緯

──表題曲のヴォーカリストはどのように決まるんですか?

上松 「その年、いろんな仕事をしていたら、いろんなヴォーカリストに会うんですよ。そういった中で谷山紀章さんはグッとくる人だなと思ったのと、あとElements Gardenは男性ファンがすごく多いんですね。女性ヴォーカルで男性向けコンテンツの音楽を多く作っているので。そんな中『うたの☆プリンスさまっ♪』という作品の曲を作っていて、男性声優の魅力、ヴォーカリストの魅力に気づきはじめて、これはまた広がる面白さというか、なにかあると思って。そういった時に歌をいっぱい録っている中で、めっちゃ野性的で、アーティスティックで『こういう声優さんもいるんだ』と思って。もちろん宮野真守さんとかいろんな方の声を聴いていたんですが、今回激しい曲をコンセプトにしたいというのがあったので。じゃあ激しい曲ということなら谷山さんにダメ元でお願いしてみて、ダメだったらまた考えようかと思っていたら、二つ返事で引き受けていただいて。『これまた誰も予想していなかったコンビじゃないの!?』と。毎回毎回驚かせたいというコンセプトもあるので」

──1曲目「introduction」はどのようにできたんですか?

藤田 「菊ちゃん(促す)」

菊田 「俺? ああ……」

上松 「どうしたの、考え込んで」

藤田 「いつの間にかできてたよね」

菊田 「その、元々introductionは2曲目のPLEASE KILL OUR MUSICと一緒に作っていた感じなんですね。introductionありき、というわけではなくて」


藤田 「2曲目の主題曲は、みんなスタジオに集まって、作るんです。最初は何もできていなくて、なんとなくのテンポ感、リズム感、こういう曲かなというイメージはあって。

 そこでひとりひとりパソコンに向かって、曲ができたら手を挙げて、その曲をみんなで聴くということを何回も繰り返してできたんですね。その中で、いつものように『メロディができて編曲して肉付けしていく』というよりも、「曲の中のいろんな場所が、段階を踏んでできていく」というか。サビができたと思ったら、イントロがちょっとできて。と思ったらサビの前ができてたりとか。そういう断片的な作りをしていて。そんな中でいつの間にかイントロもできていました」

菊田 「そういう意味ではイントロって結構最初の方にできましたよね」

藤田 「メロディより先にできてた気がするね」

中山 「これからアルバムの表題となる曲を作ろうとする中で、自分たちの気持ちを盛り上げる意味でも、無駄に壮大なイントロを作っていったら勝手に生まれていくみたいな感じはありますね」

上松 「母里くんの『う゛ーん』というのも入っているしね(笑)」

藤田 「母里くんにマイクを渡して、ちょっと即興で歌ってみてって(笑)」

菊田 「でもそれ、結局生きてるしね」

藤田 「うん。母里くんの声も生きてて。声というか鼻息が(笑)」

中山 「鼻息というと夢がない(笑)」

藤田 「なんか『はぁーーっ』っていってるんだよね」

菊田 「そんな感じだね」

藤田 「そんな風に曲を作っていて、パズルのごとくいつまでたっても全景が見えないっていうか」

中山 「定まらなかったですよね。ふわふわしたまま最後まで行って」

藤田 「いきなり完成したみたいな。その中でも一番大きかったのは、途中の段階で谷山さんに歌っていただいたんですけど、そこで完璧に出た、歌に助けられたというか」

菊田 「歌はすごく良かった」

藤田 「素晴らしい歌だった」

──アルバムの表題曲でもあるPLEASE KILL OUR MUSIC、これは“そのまま”の意味ですか? 「OUR」というのは「自分たち」?

上松 「一応考えたのは僕なんですけど、実は音楽自体、表題曲には全然関わらないようにしようと思っていて。本当にパッと思い浮かぶ今の状況とか、谷山さんを起用しようと思って、その谷山さんのイメージの言葉だったり。

PLEASE KILL OUR MUSICというとエゴイズムな匂い、あと挑戦的なイメージもあるかもしれませんが、ちょっと違っていて。僕たちは音楽でずーっと迷っていて。音楽というのは99.9%、99.9のあとに“9”がずっと続いていって100%には絶対行かないんですよね。100%のものを作ろうとはしているんですけど、いつだって“9”を続けていく作業で。

 僕たちは恐らく一生音楽を作っていくんです。一生音楽家で生きていくという中で、音楽に埋もれて、迷っていく。そういった中でふと、“僕らの音楽殺してよ”という言葉でやるというのは面白いなと思ったんですよね。それは直感的に考えていることですが、その言葉をただドンと出したわけではないんです。谷山さんと、今やる。僕たちと、音楽をやる。僕たちの、音楽に対する迷い。僕たちを、音楽から助けてよ。そういったいろんなこと。深い意味で僕は考えたつもりです。

 そこから音楽的にも猟奇的なイメージだったり、いろいろと湧いてくるんだろうなと。だからタイトルだけ関わって、みんなはどういうことやってくるんだろう、Elements Gardenはなにをやってくるんだろうと見ていました。

 だから歌詞もこうかなというのを中山に渡して、『これ、自分っぽい言葉になっているから、Elements Gardenとしての言葉にするとどうなるかな』と言って任せて」

──渡された時はどんな気持ちでしたか?

中山 「歌詞がワンコーラスぐらいあって、イメージがあって。あとは煮るなり焼くなり自由にやってって言われて(笑)。それで煮るなり焼くなりしたんですけど(笑)。

 上松さんとは、これはどういう意味なんですか、という会話はあえてせず、今回はオリジナルアルバムだし、ちょっとアーティスティックにやれたらいいかなと。自分の中で、具体的にはこういう意味というのはあるんですが、その考えを理屈によって言葉に意味を持たせるのではなく、漠然としたまま広げていきました。言葉も、意味よりエッジの方を重視してるところもあったり、意味をきちんと持たせるところもあったり。そういうのを全体で表現しようとしてこの歌詞ができました」

上松 「みんな、出てきたものに批判的になることがないんだよね。そこから、僕の考えをどうふりかけようという感じなので」

藤田 「ああ、いいじゃん、と思って(笑)」

一同 「(笑)」

中山 「やろうと思えば誰かがひとつの方向に固めて決めちゃえるんだけど、あえて誰かが出したものをそのまま受け取って、ふわふわさせたまま進めていって、どうなるか分からない、でも何か新しいものができそうだから、と。そしてそのまま最後までいきました」

藤田 「迷走してたつもりはないけど、でも時間はかかりましたね。進む方向は間違っていなかったんだけど。アレンジもいつもよりかかったよね」

上松 「あと曲名に“KILL”って入れられるのは、自分らの企画でしかできないだろうと(笑)。 もちろんプロデューサーは大反対しましたけど。『いいの? 自分たちの音楽、殺しちゃっていいの?』って言われて(笑)。でもやりたいことをやらせてもらえました」

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